サッカーのゲーム

サッカーを観るコツのひとつは目を離さないこと

日本は今も圧倒的に野球文化の国だ(と思う)。
サッカーも以前よりは遥かに発展したものの、文化が根付いていないとよく言われるように、基本的には今も一部のマニアに愛されているスポーツで、本質的に広く国民的な人気には至っていないと思う。
これは本当に頑固なテーマなので、なぜそうなのか?自分はどう見て楽しいと思っているのか?ということをよく考えたりする。

で、まず野球の場合である。野球は1球1球ゲームの進みがゆっくりで、攻撃の途中でちょっとトイレに行ったりしても、展開が分からなくなることがほとんどない。戻ってきて例えば1アウト1塁が1アウト1・2塁になっていたら、さっきの打者はシングルヒットを打って走者が1塁ずつ進んだんだな、と分かる。四球やデッドボールもあるけど頻度はあまり高くないだろうし、その後の解説を聞いていれば何だったのかは大体すぐ分かる。いずれにしても1塁ずつ進んだことが事実として重要だ。
そんな風に野球はある意味ゆったりと気楽に観ることができる。

一方でサッカーは、流動的に動き続けているものを休みなく集中して観るタイプのスポーツだ。
ちょっと目を離した隙にゴールを見逃すこともあるし、ちゃんと見ていても速すぎて何がどうなったのか分からないことも実はよくある。
でもゴールの瞬間の熱狂がとても大きいスポーツだから、サッカー好きはそれを見逃すまいと思ってゲームを見ている。
熱狂に乗り遅れると、今まで何のために見ていたのか、、という気持ちになってテンションが下がるのだ。

小学生のころ、家でサッカーを見ていて、母親が掃除機がけでテレビの前の視界を遮るたびに「ちょっとー見えないよ!」と言って怒っていたのを思い出す。
そのたびに母親は「別にどうってことないでしょ!」「なんでそこまで釘付けになる必要があるのよ?」と言っていた。
分かっていない人の典型的な発言である・・・(笑)。
当時は自分も言い返せなかったけど、要するにサッカーは90分間ずっと途切れない。そしてすごく速いパスが2~3本パン!パン!パン!と通って、ものの10秒くらいでゴールになることもある。次の瞬間には何が起こるか分からないこと、そしてそれを見逃したら台無しなことを子供なりに分かっていたのだ。

また、自由度が高いので展開も無限にある。
どんな風に相手を崩してゴールを取ったかは毎回違うし、新しい驚きがあるので、その過程もまた見逃したくない。

野球は、(タッチプレーを除いて)ホームベースを踏む瞬間自体がそんなに大事というわけではないし、点が入るルートはただひとつ、3つの塁を進んでホームベースまで到達した時に固定されているから、打者が打った瞬間に「あーランナーが1人かえってくる」みたいなことが分かる。
どうやってランナーを進めたか?に関係するのはせいぜいヒットの種類くらいで、右に打ったか左に打ったかもあまり重要ではない。
ゲームの構成要素が圧倒的に単純なのだ。

だからサッカーをしこたま見続ける生活から、たまに野球を観ると、なんて脳みそが楽なのか!とそのギャップに驚く。疲れない。

こういう事から考えても、サッカーを楽しむコツのひとつは(逆説的な言い方になるが)やはり「ちょっと大変でも目を離さないこと」なのだ。
ある程度の集中力がいるが、野球と同じようなペースや感覚で目を離してしまうと、もうその試合には入り込めなくなるようなところがあるから、それでサッカーがつまらないと思ってしまわないようにして欲しいです。

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