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働くひとの健康を創るために

iCAREの山田です。
iCAREは、働くひとの健康を世界中に創るをパーパスに12年挑戦し続けてきました。もはやベテランの部類に入るのではないかと思われるくらいこの業界に長いこといます。

今回は、厚生労働省の「我が国における健康をめぐる施策の変遷」と「保健師活動の歴史的変遷から公衆衛生看護を考える」をたまたま読んだので感想も含めて私の考えも共有したいと思います。特に、保健師活動の歴史については大変参考になって面白いものでした。

働くひとの健康(産業保健)は、国の考え方としては地域保健の1つという位置づけです。これは職域接種を経験された方であれば、体感したものだと思います。ところが、地域保健という位置づけだと理解が難しい部分も出てくるのがこの業界の概念的複雑さと言ってよいでしょう。

労働者の健康に関しては27ページ目に記載がありますが、下記のような図を見ると勘違いしてしまう人が出てしまうことを懸念してしまいます。少なくとも産業医の職務をこのように考えてしまうと現実的な産業保健の職務と異なっているため困ってしまうでしょう。

労働者の心と体の健康づくり(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)


読んでみた感想

言いたいことは理解できるが、「弱者を救う」という大義の中で健康づくり(健康を害さない)が歴史的に推し進められていたのに、いつの間にか「健康であるべき」が前に出されていて、本人の価値観がどこかに言ってしまっているような印象を受けました。

例えば、

  • 感染症:コレラや結核で本人たちの価値観無関係に感染する健康障害

  • 母子保健:自分の身を守ることの出来ない小児とその保護者の健康障害

  • 禁煙対策:受動喫煙という他者への影響による健康障害

を国が強制力をもたせて健康増進をすすめることには大いに賛成できるのですが、

  • 生活習慣病:本人の遺伝的要因、環境的要因、行動的要因による健康障害

を国が健康増進という大義ですすめていくことに違和感があるのです。特に生活習慣病は、遺伝的要因という本人の努力ではどうしようもない影響が多くあるにも関わらずです。
※ 保健指導が不要だと言っているのではありません!

外部環境要因・遺伝要因・生活習慣要因


働くひとの健康を創るために

離島の久米島での体験から私の健康に対する考え方は昔から変わりません。

健康は価値観

なのです。
健康が価値観である以上、社会が、国家が、企業が、専門家が健康の考え方を主張するには、大義が必要です。

働くひとの健康の場では、今でも多くの方が健康を損ねる現実があります。全世界で年間5500万人が亡くなっている中で、脳心臓で1500万人が、タバコによる肺気腫で300万人が亡くなっています。減少傾向にありますが、約280万人が労働関連死、働くことで亡くなっているのです。

この大きな問題に対して「働くことで健康を損ねない仕組み、環境をつくらなければならない」という個人の価値観を超えた大義があるのです。だから健康診断実施後に就業制限を産業医として企業に意見を出すこともあれば、長時間労働者の睡眠を確認して働き方の変更を企業が検討する必要があるのです。

働くということは、人にとって成長の機会であり、幸せを感じるものでもあります。同時に、働くことは危険なことなのです。その危険をよく理解して、身体的にも精神的にも社会的にも満たされた健康を実現していくことをiCAREとして支援できることを誇らしく思います。

私たちは、従業員の健康に対して向き合っていくことを人事や産業医、産業保健看護職、上司の方々が、これまで以上に活躍できることでこれらを実現出来ると信じています。



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