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One life, Live it.

2022年12月。3年半住んだ宮崎を離れ、オーストラリア・ケアンズに来た。
もちろん日本とは逆の季節。肌に刺さるような強烈な太陽と、少し動けば汗が滲む真夏の気温。少し前まで着ていたダウンジャケットはバックパックの奥に仕舞い込み、半袖短パンにサンダルの格好でプールに向かう。
そこでは2〜3歳の子供から熟年夫婦の老若男女、地元の人たちから観光客までみんながこの季節を待ち侘びていたとばかりに想い想いの時間を過ごしている。

僕は約3年前に宮崎でカメラを始めた。
きっかけは「優しい人を増やしたい」という想いで宿を作ろうとしていたが、物件探しが難航。サーフィンに明け暮れるうちに、この海や自然、サーファーの美しさに改めて感動した。
カタチは違えど優しい人は増えるんじゃないかと思い、海やサーファーの写真を撮ろうと決断。
コロナの給付金10万円全額を水中撮影ができるハウジングの購入費に充てて、カメラはメルカリで安く買った。泳ぎながら撮るので足ヒレも買った。(リサイクルショップで500円。笑)
F値やシャッタースピードなんて知りもしなかったど素人。
一番最初に撮った時は少しでも緊張が減らせるようにと、人が全くいないタイミングで撮ったことを覚えている。
「何事にも笑顔が肝心や!」と「肖像権の確認も大切や!」と思っていたからその場に居合わせた数人のサーファーさんには「写真、撮らせていただいても大丈夫ですか?」となるべく笑顔で伺っていた。
何度もセットの波に飲まれたり、足が攣ったりもした。
ただシンプルに、あの美しい海と宮崎の美しいサーファーの姿を撮ることが楽しかった。
そして、そのことでみんなから「素敵な写真をありがとう。」と言ってもらえることが何よりも嬉しかった。
「優しい人を増やしたい」という信念でカメラを始めたが、この言葉があったから続けて来れたのだと思う。

話をオーストラリアに戻すと、今いるケアンズはサーフィンができない。
この辺りの海には猛毒のクラゲや、なんとワニがいるからだ。
ではなぜケアンズにいるのかというと、日本からの飛行機の直行便があったからと、せっかくなら車をここでゲットしてヌーサやバイロンベイ方面にロードトリップがてら南下してみるのが面白そうだと思ったから。

実際到着してから10日ほどで車は手に入れた!
イギリスの車、ランドローバー・ディスカバリーという4駆でオフロードもガンガン走れる車。しかもルーフトップテントもついていてこれでロードトリップもし放題!
古い車なので所々修理はしたが、このタイミングでヌーサでの新しい家も決まり、意気揚々とキャンプグッズを車に押し込め、Googleマップに新しい家の住所を打ち込む。

やっとサーフィンができる!っと気分が上がり、ケアンズをいよいよ超えるところに差し掛かった時、車の水温計がいや〜な方向に上がってきた。。
すぐに路肩に止め、ボンネットを開けエンジンルームを確認すると、エンジンオイルと冷却水が吹き出している。これまでの細々とした修理をお願いしていた車屋さんに連絡を取ると、「直せるけど修理に1週間はかかる。しかも修理箇所なだけにそんなに安くはない。」と返答。
まだ仕事を始めていない身からすると痛い出費だが、背に腹は変えられず修理をお願いする。

少し落ち込んでレッカー車に運ばれるランドローバーを見た時、背面タイヤに書かれた「One life, Live it.」が目に入る。

思い返すと最近撮る写真は優しい写真だけじゃなく、自分のスタイルや好みが以前よりも出ているものが多く、これで人は優しくなるのだろうかと少し違和感を感じていた。
「優しい人を増やす」という想いは、僕自身がサーフィンや自然に囲まれた生活を送るうちに僕の心が優しくなっていくのに気がついたから生まれたもの。
けれど、そうなる前に僕は、僕の好きなこと、生き方を、誰の目も気にせずに貫こうとしたからなのではないか。
安定した仕事をやめ、やりたいことだけをやると腹を括り、その結果ミラクルが重なり、今オーストラリアにいる。
僕は一般的にみると変な人生だが、そんな僕の人生が嘘偽りなく好きだ。
自然のそばに住もうが都市部に住もうが、大切な人と暮らそうが1人で暮らそうが、物を作ろうが人に何かを教えて生計を立てようが、週に3日働こうが毎日働こうが、どんな生き方でもその人が好きな自分の生き方をしているなら、世の中は優しくなれるんじゃないのだろうか。

「One life, Live it.」

たった1度の自分の人生を、自分が好きなように生きていく。
みんなの人生に好きが集まれば、この世の中は優しさで溢れていく。

そんな願いを込めて、走り去っていくサンドローバーを見ながらこの言葉を僕のコンセプトに決定しました。
(ランドローバーよ、頼むから今回で直ってくれよ。の願いも込めて。)

サポートしていただけると大変嬉しいです! いただいたサポートはありがたく、キャンパー製作やサーフフォト撮影、家のセルフビルドなど僕の今後の活動に使わせていただきます。