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尿意を我慢しながらTOEICに挑んだ話


我が人生に一片の悔いなし。
そう思ってホームレスは席についた。

もう今から戻って着替える時間はない。
全部ぬいでなにもかも終わりにしてやろうか。

そんなことを考えているうちに試験の時間になった。

僕はTOEICを受けるのは3回目で、今回の試験をかなり楽しみにしていた。
試験は楽しい。


特にTOEICのようなバンバン捌いていかないと終わらない時間ギリギリのテストはとても楽しい。
昔夢中でやったモンハン3のナルガクルガを狩るときの感覚に似ている。
それに僕はTOEICを最後まで解き切ったことがない。
今回はとにかく文法を高速で片付けて時間内に全ての問題を終わらせることを目標にしていた。


「途中でトイレ休憩はありません。行きたい人は今この時間に行っておいて下さい」
試験監督の先生がそう言った。

(ふっふっふ。トイレならあんたが来る前に行ってあるぜ。よって今の僕の膀胱パーセンテージは5%!計算に計算を重ねられたこのおしっこ管理体勢のおかげで安心して試験を受けられるぜ!)


僕は1日に平均9回トイレに行く。

おしっこ大魔神と呼んでいただいても差し支えない程だ。

よって長丁場の試験の際には緻密な膀胱コントローリングの技術が必要とされる。
ここで初心者は完全におしっこがない0%の状態で挑もうとするが、チッチッチ。
甘いぜベーべちゃん。

0%にしとくとなぜが突然尿意に襲われることがある(尿意0の惨劇)。
だからプロはここで5%ほどにしておくことによって、膀胱を落ち着かせ、試験に挑むことができるのだ!


試験が始まった。
TOEICのリスニングは不正解の選択肢が結構突拍子もないことを言うので聞いていて楽しい。
間違えるとこんな感じの会話になることがある。


Mike「ハイ!ジェシー!実は車の調子が悪くて、困っているんだ。」
Jessie「ハイ!マイク!あら、それは大変ね。ディーラーには電話した?」
Mike「今日は定休日で、明日の朝きてくれるらしい。ジェシー、悪いんだけど僕の職場まで送ってもらえるかい?」


Jessie「朝食ならもう済ませたわ。」


ありえないほど怖い。
全く会話になっていないし、ジェシーの “飛び具合” がちょうど一番怖い。
ジェシーの明るい表情と、マイクがマジで心の底から恐怖する姿が目に浮かぶ。

リスニングが終わると今度はリーディングだ。
TOEICはマジで時間との戦いだ。1秒たりとも無駄にしてはならない。


さあ、いざまいらn・・・・・・・・アレ?


おかしい。

おしっこしたい。

・・・・クソ!!!なんでこんな時に!!!!

しまった!!そうか!


足りていない睡眠時間!
覚醒させるためにたくさん飲んだコーヒー!

こいつらのせいで膀胱機能が狂っちまったんだ!!

クソ!!!どうする!!!!!

今手をあげて試験監督に「膀胱が壊れる」と伝えればトイレに行ける。
しかしそれをやったが最後、TOEICを最後まで解き切ると言う夢は儚く散ることになる。


こりゃあ、一世一代の大賭けになりそうな予感がするぜ。


僕は腹ならぬ膀胱を決めた。

解き切る!!!!

襲いくる尿意と戦いながら、このレースを走り切ることを決めた。
時間も相当ギリギリだ。
問題文から意識を離してはいけない!!

ちょっとでも気を緩めたら、、死ぬ!


初日におしっこ漏らして自主退学なんで万死に値する。
なんとしても避けねば!!!


きつい!トイレ行きたい!
いや!解くんだ!問題!!
いやだ!膀胱イズ限界!!もう無理!!
大丈夫!!お前ならきっと絶えられる!!
あとちょっと!!!
あと3問!!
2分!!
2問!!
1分!!
1問!!
もう時間ない!!!
終わった!

「試験終了の時間です」


・・・・・・・・・・・勝った!!!!

僕は、勝った!!!!!!

解答用紙が回収され僕はトイレに飛び込み、この試合に勝ったことを喜んだ。
あの会場で唯一、僕だけが2つの勝負をしていたのだ。

そして僕は勝ったのだ。勝負に。


まだ手のひらに残る汗を感じで、ホームレスは試験会場を後にした。

その後学生センターに行ったらまだ12:55なのに13時からの昼休みをとっていて窓口が空いていなかったので「そういう働き方、嫌いじゃないぜ!」と思い、1時間後に出直すというプチハプニングもあったが、無事に大学生活の初日を終えた。

地球から肉眼で国際宇宙センターが観測された日のことだった。


どうも。 サッと読んでクスッと笑えるようなブログを目指して書いています。