気になるあの子は幾度も死に


群馬県は車の保有率トップの県だ。
そこらじゅうに車が走っている。
というか自転車で爆走する20代などあまりいない。
僕くらいだ。

帰り道に熱唱しながら自転車を漕いでいたら曲がり角におばあちゃんがいて気まずくなったことは誰しもあるだろう。
しかし車なら大熱唱しても大丈夫だ。移動型カラオケボックスだ。
もはや車カラオケが付いているのではなく、カラオケにタイヤが付いていると言っても過言ではない。


僕もドライブ大好きおじさんである。
以前はミラジーノという軽自動車に乗っていた。
ボンネットから黒い煙を出す非常に愛くるしい相棒だ。
ミラジーノと一緒に京都、仙台、箱根と色々行ったものである。
メーターがたくさん付いているのでパイロットになった気分を味わえる。



これはうつ病の影響なのかわからないが、最近ドライブが忙しい。


意外かもしれないが私は防災士と救急法救急員と早口言葉のような資格を持っている。
救急車が来るまでにできる簡単な処置や災害時の避難方法などを学んだことがある。

つまりだ、普通に生きている間に発生しうる事故パターンを、人より多く知っている。


だから考えてしまうのだ。

運転を始めた瞬間に発生しうるあらゆる事故パターンを想像する。
後ろから突かれたら…、あの中央分離帯にぶつかったら…、隣の車が急に寄って来たら…、今車が壊れて急停止したら…、今地震が起きたら、富士山が噴火したら、宇宙人にさらわれたら、地球が爆発したら…。

後半は嘘だが頭は事故映像でいっぱいになる。
道端を歩いている淑女が頭の中で何度も亡くなる。
マジでセクハラに近い。
あの時はゴメン、とはダメ男の常套句だ。


道を歩いていたら突然「今あなたが死ぬところを何度も想像した」と言われたらどうだろう。
クラスの女子達が男子の話題で「よーちゃんはちょっとね〜」と告ってもないのに振られたような気分になるアレである。これは実話だ。

憤慨案件である。
洋画だったら「お前が事故れF××k you」と言われてしまう。


だからすぐ疲れてしまう。何食わぬ顔で運転しているように見えて頭の中ではミッションインポッシブルが同時上映されている。
(MI-1の「ヘリがトンネルに!」は名台詞だ。1が1番好きだ)
時には事故後の対応やかかる費用の概算を始めることもある。

生まれた瞬間に葬儀屋を呼ぶようなものだ。



悪いことばかりだと思ったらいいこともあった。

僕は絶叫アトラクションを人の何倍も楽しめる。
センターオブジアースはもう何度も乗っているが毎回過去一で怖い。
(センターオブジアースの入り口には超絶分かりにくいところに隠れミッキーがある。分からなかったらクルーに聞いてくれ。行った際にはネモ船長によろしく伝えといてくれ)
ドドンパに至ってはもう死んだかと思ったら隣でモカが高笑いしていた。
FUJIYAMAに乗った時に発車前に作業服を着たお兄さん達が軽い点検を初めて疑いが増幅した。
事故映像がTwitterに上がりYahoo!ニュースに乗るところまで想像した。
めっっちゃくちゃ怖かった。
早すぎたためにコースの上に語彙力を落としてしまって、乗り終わった後は「やばかった!!」としか言えなくなった。




これは治るのだろうか。
流石に自分の子供の隣でセンターオブジアースにマジビビリしていられない。


今も私は、自分の子供の「僕のお父さん」作文でセンターオブジアースマジビビリ野郎として書かれている姿まで想像済みだ。


どうも。 サッと読んでクスッと笑えるようなブログを目指して書いています。