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①あゝ愛おしき吹奏楽部よ

前回の吹部話がなぜか好評だったのでもう少し書こうと思う。

僕も戻れるものなら戻りたいと思えるほど楽しかった。
読んでてわかると思うが僕は吹奏楽部という、その特殊な世界が愛くるしくてたまらないのだ。


当時は楽譜が配られるたびに
「なぜこんなに四分音符が並んでいるのか」
「ふざけないでほしい」
「印刷ミスか何かか」
「リズム練習してるみたいだ。3Dだこんなの」
(3Dは当時の基礎練本。緑色。旧盤と新盤でページ数にズレがある)
と悪態をついていた。


チューバは単純で奥が深い楽器だ。
よっぽど難しい曲じゃない限り楽譜が単純だ。



新しい楽譜が配られて、やけに機嫌のいい先生が
「じゃあ初見で一回やってみようか〜」
と言い
「ええ〜〜〜!」とみんな嬉しいような悲しいような声をあげ
「なんとか吹けた〜〜!」という達成感イベントがある。
(たまに1年生が調を間違えてビビるくらいの不協和音が鳴る)

チューバ以外全員楽しい。
J-popの吹奏楽譜とか特につまらない。
永遠に四分音符が並んでいる。


たまに練習中にトロンボーンの3番(トロンボーンの中でも1番低い音を担当する人。大体2年)と目が合い
「そうだよな。暇だよな。わかるよ」
と同情すると
うっそだよ〜〜〜〜〜ん!と言わんばかりに超かっこいいメロディラインを吹いたりする。
バスクラリネットやバリトンサックスもそうだ。

かっこいいとこだけ浮気しやがって。

ユーフォに至っては浮気癖が強すぎる。
チューバと同じ形してるのに引っ張りだこだ。
アクション映画で出てくる主人公のお母さんくらい尻軽である。
気づけばユーフォ、そこになし。
遥か遠くでファンファーレ。



たまに連符が吹けなすぎて泣いているフルートに羨ましがられることもある。
都会人が田舎を羨むのと一緒だ。
「行くのはいいが住むのは嫌だ」とか言うんだろうどうせ。

愚痴みたいになってしまったが僕はチューバがたまらなく好きだ。
愛ゆえに、と言うところを分かって欲しい。


吹奏楽部の中で最大にして最長の管楽器。
光り輝くその姿はメロディーの最低音を担う頑張り屋さんだ。
みんな僕の音を聞いて耳を合わせる。



大好きな先輩のソロの伴奏を吹いたあの瞬間、たった数十秒だが、人生で1番心地いい時間だった。
心から憧れていた、最高の先輩だった。
先輩もこのソロが大好きで、僕は彼女を支えられることが喜びだった。


僕の葬式にはムーンライトセレナーデを必ず流してほしい。


どうも。 サッと読んでクスッと笑えるようなブログを目指して書いています。