岡本洋太郎@メディア・ユースフル研究所

元全国紙の記者でメディアコンサルタント、メディア研究を志す大学院生です。新聞社や放送局…

岡本洋太郎@メディア・ユースフル研究所

元全国紙の記者でメディアコンサルタント、メディア研究を志す大学院生です。新聞社や放送局などのニュースメディアのビジネスで奮闘する方々を思いながら、参考になりそうな海外発の情報を紹介します。業界誌の記事、討論の動画から官民の調査報告書、研究論文まで縦横無尽に取り上げます。

最近の記事

購読料と広告収入 なぜ減る一方なのか

 スマートフォンはニュースをどのように変えたのでしょう。前回の新聞自体の変化に続き、今回は周辺環境について考えてみましょう。  第1回で紹介した英国政府の調査報告書「ケアンクロス・レビュー」を担当した経済ジャーナリスト、フランシス・ケアンクロス氏は、2021年に「ニュースの終焉?」というテーマで講演しました。ニュース業界の劇的な変化は、2007年に発売されたスマートフォン「iPhone」から始まったとみており、スマートフォンによる三つの大きな変化を指摘しています。  それ

    • 「ニュースは無料」では未来はない

       ニュースメディアが経営的に衰退している原因について、みなさんはどのように見ていますか。「スマートフォンが普及したから」という見方は間違ってはいませんが、より丁寧に分解して本質を見極めることがニュースメディアの再建には必要に思われます。ここでは、デジタル化による①新聞自体②周辺環境③利用者の視聴習慣の三つの変化から順番に探りましょう。まずは、新聞自体のデジタル化に伴う問題です。  新聞はデジタルの電子新聞になり、紙面とは違って、掲載できるニュース、図表や画像、動画などの分量

      • 新聞業界の「未来予想図」がここに

         ちょうど10年前のことです。2012年9月、私は41歳で新聞社を休職し、英国への私費留学に踏み切りました。デジタル化の最前線の英国でニュースビジネスについて学びたい一心で、英国の代表的なジャーナリズムスクールがあるカーディフ大学に向かいました。  当時、英国の全国紙は、保守系のデイリー・テレグラフとタイムズ、リベラル系のガーディアンとインディペンデントの計4紙。有料デジタル版を成功させていた経済紙フィナンシャル・タイムズとは対照的に、スマートフォンの普及などを背景に、軒並

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