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『ハニーボーイ』を見た

シャイア・ラブーフが自ら脚本を書いた自伝的映画。
シャイア・ラブーフのダメ過ぎるステージパパっぷりはさすがだが、
ルーカス・ヘッジズとノア・ジュプが素晴らしかった!

暑い日差しとモーテルのプール、子供の視点で語られていく物語から『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』を思い出した。

爆発と共に主人公・オーティスが物理的に「ひっぱり戻される」シーンから始まる。
この映画はまさに「ひっぱり戻される」映画なのだ。
そのトリガーとなるのは父・ジェームズだ。

オーティスの現在と過去が交互に描かれていく。
昔ピエロをやっていたジェームズは子役として才能を開花させるオーティスに経済的にも依存している。
確実に何かしらの「傷」を残したジェームズの姿は現在パートにはない。

時折夢か現かわからなくなるシーンが挟み込まれ、それが気味の悪い幻覚のようだった。
まさにオーティスの苦しみを視覚的に体験させられるシーンだった。

オーティスと仲良くなった娘がFKA twigsと知り驚いた。この方、役者さんもやるのか。

あのパントマイムだけでのやり取りが愛おしかった。
あのオーティスの動きはジェームズが教えたのだろうな、と思うと目が潤む。

バイクの二人乗りのシーンが気持ちよかった。
オーティスが望む幸せがまさにあの時は体現されていた。
だからこそ、あのクライマックスでの「反転」は素晴らしかった。
オーティスは乗り越えたのだ。

子役の頃から才能を開花させ、世間的にはスターだと思われていた人物が、実は肉親の依存や不和によって心に大きな傷を負っていた……
この映画を見終えた時、最近見たニュースを思い出した。
とても悲しいニュースで、いまだにふとした時に思い出してしまう。

オーティス(シャイア・ラブーフ)はボロボロになりながらも自らの過去を脚本にし、トラウマだった父を自ら演じることで一本の映画に昇華させることができた。

これは相当な覚悟だと思うし、強い人なのだと思う。
だって自分に傷を負わせた当人に自らなりきるのだから。

しかし強い人ばかりではない。
この映画が、そんな人々の日差しになってくれたらいいなと思う。


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