月の光が砕け消え、闇の粒子が沈んでいく
月の光が砕け消え、闇の粒子が沈んでいく
時計の秒針がとまるほどゆっくりふかく
底の見えない海溝に沈んでいく
波のうねりに溺れた鳥は
喰われ朽ち分解されて海の雪
音も光も吸い込んで
はらりほろりとおちていく
舞う雪は闇の粒子と引きあって
しんしんと深深と
はるか虚空にふりつづく
闇の壁に穴が開き
七色に輝く海月が漂い来る
雪の欠片がわずかに浮かび
光の穴は針の先に消え失せる
雪夜のしじまにぽっつりぽつり
仄暗い魂の青いかなしみが
ためらうように揺れている
雪と粒子と魂は、幾万年降り積もり
地殻が動き隆起して大洋の孤島となる
やがて、珊瑚の堡礁が築かれ、船が通い
シレーナの涙岩に、渡り鳥が羽を休める
【AO0WNB0】
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