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フリーライター奮闘記(1)「シンクロニシティ」の起こし方

note公式に掲載されたおかげで、この記事は3日間で15000PVを超えた。

ライター仕事に関する記事の需要の高さを改めて感じたので、経験やノウハウを棚卸しして、もっといろいろなことを書くことにした。

上の記事のなかで、こんなことを書いた。

ぼくも2017年にフリーライターになったばかりの頃は、仕事が何もない状態で会社を辞めたから、どうやって稼げばいいのか、どうやって仕事を探せばいいのか、何もわからなかった。

最初の3ヶ月間はほとんど収入がなかったに等しい。そして4ヶ月目に100万円が振り込まれた。その冗談のような話はここでは割愛するが、・・・

今回はこの、「割愛していた冗談のような話」をしたいと思う。

フリーランス生活がスタートした2017年の1月から4月にかけて、ぼくの身に何が起きたのか。

フリーランスとして最初のチャレンジ

2016年12月30日に、6年勤めた旅行会社を退職した。晴れてフリーランスライターにはなったものの、仕事は何も決まっていなかった。しかし不安よりも、ようやく獲得した自由に心を踊らせていた。お正月は実家でゆっくりしながら、今後の計画を練ることにした。

「いつかやりたいこと」のひとつに、「東海道五十三次(日本橋〜京都・三条大橋)を歩く」というものがあった。また仕事が忙しくなると、長い旅は難しくなってしまう。

それに、たとえ自腹の旅でも、何かインパクトのある面白いことをすれば、今後の仕事に繋がるかもしれない。

今こそ実現すべきタイミングだと思い、古本集めが趣味の父に、何気なく聞いてみた。

「今度、東海道を歩くつもりなんだけど、何か関連書籍持ってたりする?」

しばらくして書斎から戻ってきた父が、重たそうな段ボール箱を抱えていたから驚いた。

「まさか、それ全部本?」

まさに、自分が求めていたけど本屋で見つけられなかった本たちが、箱にびっしりと埋まっていた。

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「なんでこんなに・・・? 昔、東海道を歩いたの?」

「まさか。広重の『東海道五十三次』が好きでね、頭の中で歩いた気になって楽しんでるんだよ」

何か偶然という言葉では片付けられないものを感じた。東海道に呼ばれている。東京から京都まで、歩いてみたい。

「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」

「東京から京都まで、歩いたら何日かかるのだろうか?」

Google Mapsで各宿場間の距離を測りながら、旅のルートを考え、所要日数を計算した。1日25km前後歩いて、18日程度のようだ。

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そして1月2日、旅の決意をFacebookに投稿した。

【500km徒歩の旅。東海道五十三次を歩きながら、53杯のクラフトビールを飲む企画「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」】

1月10日からやろうとしている、新しい挑戦についてお知らせします。

大学生の頃、司馬遼太郎の歴史小説にハマりました。読むなかで驚いたのは、昔の人が、山口(萩)にいようが、高知(土佐)にいようが、京都にいようが、何か用があると、「ちょっと、江戸へ行ってくる」と、あっさりと言って、何百kmという距離を歩き始めることでした。新撰組も、江戸から京都まで歩いて行きました。

現在は車もあるし、鉄道もあるし、飛行機もあります。乗り物を使うことが当たり前の世界に生きているので、「江戸に行ってくる」というセリフから受けた衝撃は本当に大きかった。

「え、歩いて何日かかるの?」と思いました。だけど、新橋〜神戸間が鉄道で繋がったのは、1889年(明治22年)のこと。ほんの130年前までは、徒歩での移動が当たり前のことで、長い歴史の中では、むしろ現代の方が特殊な状況のような気もします。

「ぼくにも、東京から京都まで、歩いて行けるのだろうか」

時代は異なれど同じ人間。やってできないはずがない、とその頃から思っていて、いつか東海道五十三次を歩くことが、ぼくの夢のひとつになりました。

歌川広重が描いた東海道五十三次。東京・日本橋から始まり、京都三条まで、約500kmの区間に、五十三の宿場が設けられました。今も宿場町の姿を残している場所はほんのわずかですが、とにかく東海道五十三次を最初から最後まで歩いてみたい。そして退職した今、それを実現できる環境が整いました。毎日20〜30kmを歩き続けて、京都を目指します。

あくまで予定なので、体調や天候に合わせて柔軟に変更していきますが、下記が現在の計画です。もし東海道沿いで、泊まらせていただける方がいましたら、募集したいです。節約のため、基本は漫画喫茶に泊まる予定でいます。

1/10 (東京・日本橋スタート〜)横浜
1/11 茅ヶ崎
1/12 小田原
1/13 箱根
1/14 沼津
1/15 由比
1/16 静岡
1/17 島田
1/18 掛川
1/19 浜松
1/20 豊橋
1/21 岡崎
1/22 大府
1/23 名古屋
1/24 四日市
1/25 亀山or関
1/26 甲賀
1/27 草津
1/28 京都三条 ゴール
(1/29 京都STAY)
(1/30 枚方)
(1/31 大阪 ゴール)

京都からさらに大阪まで延長して「東海道五十七次」というものがあります。できれば大阪まで歩きたいです。

また、ただやるだけではつまらないので、最近ハマっているクラフトビールと絡めようと考えました。調べてみると、日本各地にクラフトビール(小規模生産のビール)が存在することを知りました。静岡や愛知などの、知られざるクラフトビールを味わい、ブログで紹介しながら旅をしたいと思います。

企画名は、「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」

東海道五十三次を歩きながら、53杯のクラフトビールを飲む(注ぐ)ことが、目標です。日本古来の道を歩きながら、クラフトビールという新たな日本の魅力を発信する企画。歩いて飲んで、飲んで歩いて。

脚や体力に限界がきて、チャレンジを途中で断念することもあるかもしれません。それもよしとします。とにかく今年は、失敗を恐れず挑戦します。やるだけやって、ダメならトレーニングを積んで、再チャレンジします。

ブログなどのサムネイル画像用に、企画のイラストを描いてくださる方も募集いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

するとイラストの得意な友人が、旅の出発前に素敵なイラストを描いて贈ってくれた。

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前職の同期からは、こんなコメントがついた。

原(静岡)の宿場町は、うちの先祖がやってたはず。実家の前にも看板有るし。泊まる?

また別の知人からも連絡があった。

愛知県の岡崎に住んでいます。ぜひお越しください。

実際、どちらのお宅にも泊まらせていただけた(感謝)。

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以前上の記事にも書いたが、やりたいことを宣言すると、不思議な偶然が次々と起こるようになる。「シンクロニシティ」とも呼ばれるこの現象を、これまでの人生で何度も経験してきた。

だから、なんでも発信してみるものだ。思わぬ人が、思わぬ形で力になってくれるかもしれない。最初の一歩は自分にしか踏み出せないのだが、一歩踏み出しさえすれば、そこから先は自分の頭で考えられる領域を遥かに超えた、大きな流れに乗ることができる。

父が段ボール箱いっぱいの本を抱えてきたあの瞬間から、もう自分でも抗えない「流れ」が始まっていたように思う。

(つづく)



最後までお読みいただきありがとうございました!