ライターコンサル 激動と感謝の半年間
ライターさん向けにコンサル(通称:ライターコンサル)を始めて、はや半年。これまでに教えた生徒さんは27名。何気なく始めたコンサルがまさかここまで拡大するとは、と自分でもビックリしている。
ひとえに温かく支持してくださった皆様のおかげである。年末でようやくひと息付けたので、この半年間を振り返ってみたい。
ライターコンサルで何を教えているのか?
生徒さんたちには、ぼくのこれまでの経験をもとに様々なことを教えている。
添削が主軸のひとつではあるが、「添削指導」だけならココナラやランサーズでもサービスとして出品されている。あえて「ライターコンサル」と名乗っているのは、「ミクロ視点の添削とマクロ視点の助言、その両方が受けられること」を売りにしているからだ。
まず添削ひとつとっても、その中にミクロ(木)とマクロ(森)がある。
「日本語的に正しい表現になっているか」「もっと端的でわかりやすい表現に変えられないか」というミクロ視点の添削はもちろん、「記事の目的を考えたときに果たしてこの構成でいいのか」というマクロ視点でのアドバイスも行っている。
ぼくはかつて4年ほど、旅行情報誌の編集者だった。編集長と二人で、毎月締め切りに追われながら原稿を書いていた。
大学時代は学生ブログランキングで半年間日本一になったこともあった。しかし、社会人になり、プロの文章にふれたとき、所詮は「ブロガー」レベルの文章だったのだと思い知らされた。「自分は文章が下手くそだ」と自覚するところから始まった。
毎日ひたすら原稿を書いて、編集長から厳しくチェックされ、必ず何かしらダメ出しをされて、修正する。これを数年繰り返すなかで、文章力が鍛えられた。楽な道ではなかったが、おかげで文章が身体に染み付いた。
会社員時代に書いた記事、校正した記事は、500記事を軽く超えるだろう。生徒さんたちの原稿に赤字を入れながら、「ぼくも昔このことをよく指摘されたな」と思い出しながら、感慨深く一文一文を見ている。
また、たとえば3000文字くらいのエッセイをチェックしていると、同じことが何度も書かれていたりすることがある。あるいは話の順序がおかしかったり。そういうときは、マクロ視点で構成面の指摘をする。
「話が脱線している部分もあるので、本筋以外はカットして、せいぜい2000文字くらいにまとめましょう。たとえばここのエピソードはなくても通じます。読者の貴重な時間を不要に奪ってはいけません」と伝えることもある。(と言っておきながらこのnoteが5000文字←)
それから、よく伝えて喜ばれるのは、インタビュー記事のノウハウ。
・どのようにインタビューの企画を考えるか?
・取材対象者へのアポはどのように取るか?メッセージの書き方は?
・どのような質問を考えるのか?事前に質問リストを送るのか?
・どのような下調べをするべきか?
・当日インタビュー時に気をつけることはあるか?
・インタビューをもとに、どのように構成を考え、記事にしていくのか?
・構成の工夫は?
・どうしたら取材時の温かみを再現できるようなインタビュー記事になるか?
各段階でいくつかのアドバイスがあるので、経験をもとに伝える。ぼくは誰かにインタビューの方法を習ったわけではなく、自力で100人以上の方にインタビューした経験から、独自のノウハウを身に付けた。そのやり方に、「目から鱗でした」と言われることもある。
インタビュー記事制作のノウハウについては、また時間があるときにnoteでまとめたいと思っている。
コンサルでは、Twitterのプロフィール文章の添削も行っている。どのようなプロフィールにしたら、よりプロっぽく見えるか。より差別化を図れるのか。これはブランディングの話にもつながる。
自分の差別化ポイントを自覚できていないと当然書けないので、「強みがわかりません」という方には、まずは質問の深掘りを通して「強み」を一緒に考える。この部分も、ぼくのスキルのひとつだと思う。「自分の強みがわかりました」と喜んでくださる方も多い。
そして、noteのポートフォリオの添削も行っている。どのような書き方をすれば、よりお仕事の依頼が来るのか。マーケティングに近い。
最近驚いたのは、「中村さんに添削していただいてから、嘘みたいにお仕事依頼がくるようになりました」と由衣さんやカミイマイさんからご連絡をいただいたことだ。自分で添削しておきながら、「ぼくより依頼きてません?笑」とちょっと羨ましく思っている。
そのほか、記事の単価を上げていくためにはどうすれば良いか、仕事の依頼を増やすためにはどうしたら良いか、など、ライティングのノウハウに関することはもちろん、仕事術や仕事の進め方に関するアドバイスも行っている。
「書きたいメディアがあるなら自分から提案文を送りましょう」と伝えると、何人かの生徒さんから「メディアへの提案文を添削してください」と言われ、添削するとかなり高い確率で採用されていて、これにもビックリした。
ぼくも自分の言うことが100%だとは思ってないし、他人の心なんか完全には読めないから、文章術以外では「きっとこうしたらうまくいくんじゃないか」というアドバイスしかできない。それでも本当にうまくいくことが多く、実際、その口コミだけでコンサルの生徒さんがここまで増えたのだ。
とはいえ、採用されたのは、なんだかんだで生徒さんの実力が大きい。「中村さんに添削してもらうと仕事が取れるらしい」と不確実な噂が広まっても困る。そのうち、「コンサルを受けると仕事が増えるらしい」「中村さんの写真を待受にしたら・・・」とスピリチュアルな生徒さんが増えても困るが、家の前に賽銭箱くらいは置いておきたい。
また、ぼくのコンサルにはメンター要素やコーチング要素もある。辛い状況に置かれた生徒さんには、励まし、自信を持たせる。書くことにまつわるあらゆる相談に乗っている。
ひたすら「傾聴」する
学校の授業のような「講義形式」とは真逆のスタイルを取っている。どんな瞬間も大切にしているのは、「傾聴すること」である。相手の課題をひたすら聞く。どんなことを感じているのか、考えているのか、困っているのか、悩んでいるのか。何が好きなのか、何をやりたいのか。
それらを全て吐き出していただいて、課題を整理していく。そしてそれぞれの課題に対して、瞬時に的確なアドバイスを送るのがぼくの役目だ。
「無数にいるWebライターのひとり」だった無名の生徒さんたちが、今やそれぞれの道で強みや個性を発揮し、「何者か」になりつつある。人の個性はこんなにも素晴らしいのか、と感じている。
素晴らしい成長を遂げ、活躍を見せてくれている。一人ひとりの葛藤や努力や試行錯誤や成長のプロセスを見ていることが、今はとても楽しい。教師冥利に尽きる。
指導では、「これが正解です」と断言するような教え方はせず、余白や余地を残すようにしている。ぼくが教えたいことよりも、「生徒さんが何をしたいと思っているのか」を大切にする。
その上で「自分にどんなサポートができるのか」という考え方でコンサルを行っている。
ライターの世界での成功というのは決して一方向的なものではない。人の数だけ成功の形がある。だから他人と比べる必要はなく、各自が自身のやりたいことと向き合えばいい。
武者小路実篤の名言が好きだ。
「この道より我を生かす道はなし この道を歩く」
我が道をひたすらに突き進む。それがライターとして「代替不可能な存在」になることだと思っている。「君じゃなきゃダメなんだ」と言われるようなライターになってほしい。
コンサルのきっかけ
改めて、ライターコンサルが生まれたきっかけや経緯を振り返りたい。
この記事を書いたことが、そもそもの始まりだった。
これまでに2万5000PVを獲得し、「私のバイブルです」と言ってくださる方まで現れた。
6月末、この記事を読んでくださった池田あゆ里さんという方からDMをいただいた。
「noteの記事を読んで、感銘を受けました。本業は社交ダンスのインストラクターをしているのですが、ライター業をどのように発展させようか方法がわからなくて困っております。不躾なお願いで大変恥ずかしいのですが、中村さんのアドバイスを少しだけでもいただけたら嬉しいのですが、お時間をいただけないでしょうか?」
Webライターの方がどんな悩みを持っているのか、純粋に興味があったので、ヒヤリングも兼ねてLINEで1時間ばかりお話することになった。様々な悩みを聞き、「自分の経験も意外と役に立つんだな〜」とか思いながら、ひとつひとつ助言をしていった。そのアドバイスが池田さんにとっては随分と有益に感じていただけたそうで、後日noteで紹介してくださった。
ぼくとしたら、「お役に立てて良かったです!」という気持ちで、一度限りのボランティアで終わるはずだった。しかし、
「できましたら、受講料のような形(?)で、今後とも学ばさせていただけたら嬉しいです」
と言われて、「え?受講料??」と戸惑いながらも、何か新しいチャレンジになる気もしたので、「必要としてくれているのだから、とりあえずやってみようか」と軽い気持ちでコンサルがスタートした。
池田さんとの2ヶ月間
今だから言えるが、最初に池田さんから「添削お願いします!」と送られてきた原稿を「どんな文章なんだろう」とドキドキしながら開いたとき、
「どうも、LILYです。」というブロガーのような書き出しを目にして、「・・・ぼくには無理かもしれない」と思った。
(この人を、一流のライターにすることができるだろうか)
文章は、ハッキリ言ってアラだらけだった。添削は真っ赤っかになり、池田さんはかなり落ち込んでいたと思う。
ぼくとしても、「良い文章ですね!」とお世辞でも褒めるのは簡単だった。池田さんも、そう言われた方が自信を持てたかもしれない。
だけど、「この人はプロのライターを目指しているのだ。そのつもりで指導しなければいけない」と自分に言い聞かせ、心を鬼にして、言うべきことはハッキリと言った。
毎週のように、池田さんから原稿が送られてきた。
「この人、やる気がすごいな」
ドキュメントに細かく添削後、電話をかけて、ひとつひとつの赤字の意味や理由を、丁寧に解説した。
一回の原稿につき、2時間くらいは電話した。深夜0時を過ぎることもあった。池田さんが必死にメモを取る音が電話越しに聞こえてきて、ぼくはその真面目さに胸を打たれて、とにかくこの人をどんな仕事でも任せられるような一流のライターにしようと決意した。
添削は一切妥協しなかった。教えたことを見事に吸収しながら、短期間でメキメキと実力をつけていった。見違えるほど、インタビュー記事が上手になっていった。
社交ダンス界で最も有名な雑誌『ダンスビュウ』1月号で、池田さんは女優さん2人へのインタビュー記事を担当した。先日、書店で手にとって、感動した。
ぼくですら紙の雑誌に記事を書けることなんて滅多にないのに、今年、社交ダンスのインストラクターのかたわら、副業で始めたばかりの初心者ライターが。本当にすごい。もう彼女は、「初心者」ではない。
池田さんが途中で折れてやめていたら、ぼくもコンサルを続けようとは思わなかっただろう。その意味でも、改めて感謝したい。
9月、生徒は一気に10人に
7月、8月と2ヶ月間にわたり池田さんの成長を見ていて、「他の人にもぼくの教えは通用するのだろうか」という好奇心が湧いてきた。
ちょうどその頃、池田さんがコンサルで学んことをTwitterやnoteで発信してくれていたおかげで、それを読んだライターさんたちから続々とDMが届いた。
「私も中村さんのコンサルを受けたいのですが・・・」
一瞬で、生徒さんが1人→10人に増えた。ドキドキしながら全員との初回セッションを終えたが、たくさんの方が感想をnoteに書いてくださり、これらを読んだ瞬間、手応えをつかめた。
そこからは、もう毎日が戦いだった。池田さんひとりへの添削やコンサルでも結構忙しかったのが、様々な角度から10人の原稿が降りかかってくるのだ。ぼくにも本業のライティングがある。それをこなしながら、ひたすら斬りまくる(赤字を入れまくる)日々だった。一時、土日も働きまくり忙し過ぎて倒れるんじゃないかと思ったけど、なんとか乗り越えた。
由衣さん、村嶋杏奈さん、佐藤純平さん、麻来さん、ぺんちゃさん、由希奈さん、桃沢もちこさん、大塚さん、仲奈々さん。
皆、最高にユニークな存在で、AKB48でいう「神7」的なメンバーだ。まだ知り合って3ヶ月程度なのに、なんだか昔からの知り合いのような気さえする。いつかライターコンサルが有名になったとき、18期生あたりから「え、由衣さんって、もしかして初期メンバーの!?」と言われるような存在になってほしい。
まだ「ライターコンサル」が得体の知れないものだった初期の段階に、この人たちはリスクを負ってDMをくれた。その勇気に感謝したい。おかげで、今のライターコンサルがある。
それぞれ、最初はとても悩んでいたが、今ではものすごい成長を見せてくれている。
「今度はこんなお仕事が決まりました!」とたくさんのご報告をいただいて、「え、すご・・・!」と半分嫉妬しながら喜んでいる(笑)
一人ひとりとたくさんの思い出、感動のエピソードがたくさんあるが、とてもここには書き切れない。
10月以降も増え続ける
10月には、さとうれいこさん、森野みどりさん、かいりかこさん、たかしおさん、まつひらさん、梅澤あゆみさん、おっくんさん、藤野沙優さんなど、これまた個性的なメンバーが加わった。第1回オンライン交流会も開いた。
これだけ生徒さんがいると、「どうやって中村さんひとりで対応しているんですか?」と疑問に思われるかもしれないが、みんながみんな、毎週のようにご相談をくださるわけではない。
頻繁に連絡をくださる方もいれば、1時間のセッションで悩みが解決して終わる方もいるし、1〜2回添削をご依頼くださっただけの方もいる。
ぼくはそれで全然構わないし、むしろそれを理想としていた。人それぞれ、何かを聞きたいタイミングは異なる。必要な時に必要なだけ、自由にコンサルを受けられるカタチがいいと思う。
何度か友人に「オンラインサロンにしたら?」と言われたこともあるが、現時点でそうするつもりはない。というのも、オンラインサロンにしたら、全員に向けた一律の発信も増えるだろうし、コミュニティづくりにも意識を向けなくてはいけなくなる。
今はそこに気を取られたくない。「一律」よりも「個別最適」。それゆえの1on1。純粋に文章を通して人と向き合う時間が楽しいから、その人の文章力を高めることや、「より仕事を取れるようにするには」「どうしたら単価を上げられるか」という課題解決に集中したい。
11月、12月も生徒さんは増え続けた。
佐野さん、堺清さん、秋音ゆうさん、こあさん、カミイマイさん、齊藤綾乃さん、かるめりさん。
ユニークな人たち。みんな悩んでいるのだが、ぼくからしたら、個性が輝いている。
そして最近、ぼくは初めて企業からコンサルのご依頼をいただいた。2021年はどんな展開を迎えるか分からないが、ぼくも生徒さんたちに負けないよう、頑張っていきたい。
ひとりひとりの個性、人間性と向き合い、使命感を持って取り組めた半年間だった。生徒の皆さま、かけがえのない時間を過ごさせていただき、本当にありがとうございました!
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