【1.6万字超】難病「特発性後天性全身性無汗症(AIGA)」とコリン性蕁麻疹の治療、回復までの記録と、症状緩和のコツ、医療費軽減&助成金情報、役立った記事など
多くの方にお読みいただき感謝しております!
また、多数の嬉しいメッセージをお寄せいただきありがとうございます!
読者の方々から特に質問や相談の多かった「コリン性蕁麻疹の効果的な対処法(緩和方法)」について、この記事の最後に3000字以上加筆しました。ここで紹介したやり方を実践されて、「症状が良くなった」「汗が出るようになった」という方がたくさんいらっしゃいます。
この加筆部分は、「コリン性蕁麻疹のかゆみで悩んでいる」という方にとって非常に有益なアドバイスになると思います。具体的には、
といった悩みを抱えている方々に向けて、ステロイドや内服薬を使わずに症状を改善させられる方法をお伝えしています。
自身で考え実行した対処法を定期検診時に話したところ、主治医の先生からも「非常に模範的なやり方。自分で考えてそこにたどり着いたのはすごい」とおっしゃっていただけ、その方法について細かくヒヤリングしてくださいました。改善事例のひとつになると良いです。
また、闘病生活について書いたエッセイもあります。よろしければお読みください。
はじめに
ライターの中村洋太と申します。普段は朝日新聞デジタルなどで文章を書いて暮らしています。
この記事は、32歳(2020年5月現在)の筆者が「特発性後天性全身性無汗症(AIGA)」という汗が出なくなる指定難病と、その無汗症に起因する「コリン性蕁麻疹」という病気と闘った2019年の出来事の記録です。
病気に気付いたときは、「まさか自分が難病になるなんて・・・」とショックを受けました。あまりの症状の辛さ(尋常ではない全身の痒みや痛み)にうずくまったり、悲鳴をあげたくなる場面も多々ありましたが、数ヶ月間の治療とその後の維持努力によって、病気の発症から1年経った今は、以前と変わらず、普通に仕事ができるまでに回復しています。
患者数が少なく、この病気に関する患者視点でのリアルな情報発信がほとんど存在しないため、症状緩和のアドバイスや、闘病と回復の記録が何らかの支えになればいいなと思い、書きました。
この記事では、症状が発覚するまでの流れや、実際にどんな検査を行ったか、症状緩和に役立ったアイテム、医療費の軽減方法や助成金に関する情報(知人に教えてもらえて25万9920円→5万850円に。その後さらに安くなりました)、さらに病気の理解に役立った記事のリンクをいくつかご紹介しています。コリン性蕁麻疹や無汗症に関するあらゆる記事を時間をかけて読み漁った中で、特に有益と思われる記事たちです。
また、当時の日記もいくつかそのまま載せることで、精神的な辛さや病気を前向きに捉える気持ちなど、心情面のリアルな様子が伝わると思います。
実際にこの病気になってみて辛かったのは、想像を絶するような全身の痒みの辛さを、体験していない人にはどうしても伝えられないことでした。蕁麻疹が現れずに、ただ痒みだけが押し寄せるときもあります。本人はとても辛い状況なのに、外見上は大丈夫そうなので、「親や職場の人に理解してもらえない」という相談や悩みを、これまで多数いただきました。そのことによる孤独を自分も感じたので、そういった点での精神的サポートができたらなと思います。きっと同じ病気で苦しんでいる方にとって参考になる情報があるはずです。
2019年の時系列
先に時系列をお伝えします。
2019年
1月:時々身体が痒くなることがあった。まだ蕁麻疹はない。
2月:身体の異変に気付く。謎の蕁麻疹がよく出て、猛烈な痒みに襲われる(後に「コリン性蕁麻疹」とわかる)。
3月:フットサルの試合中、猛烈な蕁麻疹に襲われるも、近所の皮膚科では原因がわからず対処不能。
4月:身体から汗が全く出なくなっていることに気付く。このとき必死に検索し、病名が判明。
5月:大学病院で検査。正式に診断され、入院(1度目・7日間)
6月:大学病院で入院(2度目・3日間)
7月:大学病院で入院(3度目・3日間)
8月:ついに汗が出るように!ランニングで汗の量を増やす。
9月:どんどん調子が良くなっていき、下旬からは仕事も少しずつ再開。
10月:順調で、ほぼ完治か?と思われたが、、、
11月:気温が下がるにつれてまた悪化し、コリン性蕁麻疹が一時再発。
12月以降〜2020年5月現在:再び効果的な対処法を見つけ、現在に至るまで快適に過ごせています。
それではここから、汗が出なくなってから、回復するまでの記録を記します。
2019年4月 病気が判明
異変そのものは、2019年2月頃からありました。友人とフットサルをしていて、試合中に謎の痒みに襲われることがありました。全身に小さな蕁麻疹が出ていました。訳がわからず、混乱。しかし蕁麻疹は数分で消失してしまうもので、収まればさほど問題はなし。地元の皮膚科で相談しても、判然としませんでした。どうやら体温上昇との関連がありそう、ということだけわかりました。
はっきりと病名がわかったのは、4月になってからです。スーパー銭湯に行き、たまたまサウナに入ったところ、まったく汗が出ていない異常に気付きました。身体が温まるにつれてフットサルの時と同じ蕁麻疹が出てきました。
この謎の現象をネットで調べまくり、「おそらくこの病気ではないか」というのを特定しました。それは患者数が少なく、珍しい病気のひとつでした。
そして最寄りの皮膚科の先生に、「○○大学にこの病気の権威の先生がいるようなので、紹介状を書いていただけませんか?」とお願いして、その先生の診断を受けることができ、入院が決まりました。幸いにも都内に住んでいて、第一人者である先生に直接診てもらえたのは良かったです。
珍しい病気だけに、この病気に気付くまでに何年も時間がかかる人もいるそうですが、幸運にもぼくは気付くのが早い方でした。そして早いほど治りやすくなるとのことなので、少し希望を持てました。
2019年5月25日の日記
「特発性後天性全身性無汗症(AIGA)という難病を患いました」
突然ですが、5月20日から一週間、大学病院にて入院しています。
最初の3日間、検査をしていました。
入院初日。発汗の有無と発汗部位を調べるために、ヨウ素デンプン反応を利用した「ミノール法」という検査を受けました。これがなかなか貴重な体験でした。
まず、検査室で裸(パンツ一枚)になり、3人の看護師さんたちからイソジン(ヨウ素)を全身に塗りたくられます。ペンキで色を塗られるように。すごい光景でした。
一度ドライヤーで乾燥させ、また全身に、今度はテカテカとしたコーンスターチ(デンプン)を上塗りします。
その後、一人用のサウナに15分間入ります。小麦粉→溶き卵→パン粉→油に入れられる海老を思い出しました。
正常ならば、サウナに入ると汗が出ます。すると、汗によってイソジンとコーンスターチが混ざり合い、ヨウ素デンプン反応が起きます。反応によって汗が出た箇所が黒く染まるので、発汗部位を計測できるというわけです。
しかし、本来この反応により全身真っ黒になるところなのですが、ぼくは鼻や首のごく一部、腋などを除いて、ほとんど変色しませんでした。結果、身体の約97%に発汗が見られない、ということでした。もともとは、ものすごく汗っかきな人間だったのに、不思議です。
入院2日目は、検査が3つ。
1. 交感神経皮膚反応(SSR)
ベッドに横たわり、両手の裏表と両足の表裏、計8カ所にセンサーを貼り付けました。その後、おでこに電気刺激を与え、両手両足の皮膚の電気的な変化を測定します。
検査目的は、汗腺活動に伴う皮膚の電気的な変化を記録することによって、汗腺活動を司る交感神経系、特に節後の無髄神経の機能を評価するとのこと。
少し難しい話だったけど、ぼくにとって重要なのは、電気刺激が痛いのか・痛くないのか。少しビリっときたものの、痛みというものではなかった。無事クリア。
2. コリン性蕁麻疹の確認
裸になり、サウナへ。昨日は全身にイソジンとコーンスターチを塗ったけど、今日は何も塗りません。銭湯でサウナへ行くのと同じ。
「コリン性蕁麻疹が出てきたら外に出てください」
コリン性蕁麻疹は、通常の蕁麻疹よりも小さな膨疹が生じる、ピリピリとした痛みと痒みを伴う蕁麻疹。毛穴のある場所から出現するのが特徴。
サウナに入って5分くらいで、コリン性蕁麻疹が出てきました。証明のための写真を撮るとのことなので、そこからさらに2分我慢。
全身に蕁麻疹が広がります。これが本当に辛い。ぼくが暑い日、外に出られないのは、この症状のせい。直射日光を浴びると一瞬で発症します。
「うわ〜、見事に全身に出てますね」
相当重度なようで、お医者さんもびっくり。全身と部位の写真を撮り、終了。この蕁麻疹は保冷剤や氷で冷やせば数分で治ります。なので外に出るときは必ず保冷剤入りのバッグを持ち歩いています。とりあえずクリア。
3. 皮膚生検
「皮膚生検って何ですか?」
「汗が出ていない箇所の皮膚の一部を切り取って、顕微鏡で詳しく調べる検査です」
「怖い・・・><」
「切り取るといっても少しだけですからそんなに心配ないですよ。局所麻酔もしますし」
一応、手術になるので目的などが書かれた同意書に署名し、手術室へ。
「切り取る部位はどこがいいですか?」
「ぼくが選ぶんですか?どこが一般的ですか?」
「お腹や太ももとかですかね」
「じゃあ太ももで。ひい。。。」
ぼくは手術にビビるタイプです。小さい頃に手塚治虫の『ブラックジャック』を読みまくった影響があるのか、自分の身体にメスが入ると想像するだけで全身の力が抜けてしまい、意識が遠のきそうになりました。。
局所麻酔は太ももの4カ所に。またこれが腕の注射と違って、鈍く痛かった。
ジワジワと麻酔が効いたところで、「では、切り取ります」
想像すると本当にダメなので、目をタオルで覆って、お医者さんたちの会話が聞こえないように耳を塞ぎ、ずっと深呼吸してました。大した手術じゃないのに恥ずかしいですが、なんとかそれで耐えました笑
3日目は横になったときと起立したときの、脈だか血圧だかを測る検査をしました。これは、病気の診断基準のひとつに、「明らかな原因なく後天性に非髄節性の広範な無汗/減汗(発汗低下)を呈するが、発汗以外の自律神経症候 および神経学的症候を認めない」というものがあるから。自律神経に関わる検査でした。
そして、4日目に検査結果が出ました。
自分が予想していたとおり、「特発性後天性全身性無汗症(通称:AIGA)」という病気で、厚生労働省が定める指定難病のひとつです。
参考記事:汗をかくことができない病気-特発性後天性全身性無汗症とは?
患者数が日本に数百人しかおらず、非常にレアな病気です。傾向として10代〜30代の男性がなることが多い、また、もともとよく汗をかいていたり、激しいスポーツなどをしていた方が発症するケースが多いようです。ぼくもこれに当てはまります。
症状としては、汗が出ない or ほとんど出ない。ぼくの場合、検査により全身の約97%から汗が出ていないことがわかり、重症患者とのこと(75%以上で重症)。
人間は運動をしたり、体温が上がったりしたとき、自動調整機能が働いて、汗を出すことで、体温を下げます。
しかしぼくの場合、汗腺になんらかの問題があり、汗が出ません。そのため、身体に熱がこもってしまいます。だから暑い日に外に出ると、すぐに熱中症になりかねません。
また、体温が上がるとすぐに「コリン性蕁麻疹」という膨疹(ぼうしん)が発症して、身体中に赤いブツブツが出てきます。これがピリピリとした痛痒さがあり、本当に辛い。うずくまって、叫びたくなるような辛さです。
なぜ汗が出なくなるのか。その原因は未解明ですが、「汗を出せ」という脳からの指令を受け取る汗腺の受容体に何らかの問題があるのではないか、と言われています。季節によって症状が異なることから、暑熱順化と関係があるのではないか、とも。
人と会うと「元気そうじゃん」と言われたり、涼しい場所にいれば何も問題ないので、なかなかこの病気の辛さは伝わりづらいのですが、実際にはほとんどの時間、身体に氷を当てている状態です。今この瞬間も痒みと戦っています。
未確立だけど効果的な治療法として、「ステロイド・パルス療法」というのがあり、3日間、それをやっています。大量のステロイドホルモンを点滴で入れていきます。通常の30倍の量を投与すると聞いてゾッとしましたが、この病気ではこれが一番効く確率が高いとのことで、やるしかありません。胃炎や不眠や動悸などの副作用はあるようですが、命に関わるようなリスクは低いとのこと。
ただ実際、初日の点滴を終えて、不眠に悩まされています。深夜2時に起きてしまってから、朝まで全く寝付けませんでした。ひどい場合は24時間7日間起きっぱなし、という方もいるそうで、ちょっと恐ろしいです。今夜は寝られるといいな。(追記:その後1〜2週間あった副作用は不眠症、味覚障害、むくみ、筋肉痛などでした)
おそらく今後、定期的に検査と入院を繰り返し、治療を続けていくことになります。
暑い日が続き、外に出るのは本当に苦労しますが、気持ちは元気です!
火曜から金曜まで、4日間で12人もお見舞いに来てくださいました。本当にありがとうございます!
明日で一度退院ですが、入院中、たくさんの人が励ましの言葉をかけてくれて、たくさんの人がお見舞いに駆けつけてくれて、本当に人の優しさや支えを感じられた日々でした。自分を必要としてくれる人がいるんだなと知れました。点滴のための入院はこれからも繰り返しますが、治療に向けて頑張っていきたいです。(終わり)
2019年6月のある日のFacebook投稿
「オートロック事件」
そしてこんな、ほんのわずかな日光で毎日悩んでいたのです。。
2019年7月30日の日記
「かすかな汗、一縷の望み」
証拠写真を撮るまで汗を拭けなかった。
3度目の入院を終えて、夕方、日刺しが弱まったのを確認して散歩に出た。やっぱりまだ、途中で体温が上がり、背中が痒くなる。それでも珍しく保冷剤を当てずに耐えて、2kmほど歩いて家に近づいた。
しかし状況はさほど変わっていない。やっぱりまだ治らないか。いつ治るのかわからない。希望が持てない。
世界1万kmを自転車で走った。東京から大阪まで歩いた。汗は自分の象徴でもあった。それを失うのは辛い。
と諦めかけたとき、「いや、」と思った。毎月入院して、これだけ治療しているのに、そんなのおかしい。 働くこともできず、医療費がかさむ。貯金尽きるから流石に治れよ。
そもそも、そこまで食生活や栄養が偏っていたわけでもないし、しばらく運動不足だったとはいえ、もっと運動していない人だっているはず。
それなのにこんな病気になるなんて、ストレスとか自律神経の乱れとか、何か精神的な問題が原因だったと思うほかない。暑さだけでなく、緊張しても同じ痒みの症状が出るし。
数日前、友人のお父さんから「病は気から」と強く言われたことも影響していたかもしれないし、昨日から読んでいた本の影響もあるかもしれない。
「やっぱり治らないか。仕方ない。成り行きに任せるしかない」という弱い気持ちでは、心の持ちようを変えずに環境(難病)を変えようとするようなものだ。それは愚かだと思った。心に原因があるのだとしたら、心を入れ替えよう。
「本当は汗が出ているのだ」「絶対に治る、いや実はもう治っているのだ」と思い込んでみた。検査結果では全身の97%から汗が出ていないと言われた。ということは、3%は実際に出ているのだ。それを4%、5%と少しでも汗の出る範囲を拡げられないか。
家を通り過ぎて、そのまま近所を走ってみた。すると不思議なことに、それまであった痒みが、徐々に和らいでいった。いつもなら痒みが増すところなのに。
藁にもすがる思い、とはまさにこのこと。もう息が途絶えるまで走ろうと思った。
そしたら、額がほんのわずかではあるけど、湿っているような気がする。そしてしばらくして、肘や背中もうっすらと。目に見えるような汗ではないけど、0ではない。0.01か0.001かわからないけど、かすかにベタついている。
とにかく、今までとは違う。鼻先には水滴がある。もしかしたら4%、汗が出たかもしれない。そのまま3km近く、無我夢中で走った。脱いだTシャツがわずかに湿っていた。
これまでは200mでも走れば、激しい痒みに襲われてダメだった。それがこんなに長く走れたのは何ヶ月ぶりか。運動不足だったから呼吸が苦しい。でも希望が持ててはるかに嬉しい。
実は1回目の点滴直後も、ほんの少しだけ背中から汗が出るようになっていた。だけどそれで「もう治りそうだ」と油断していたら、4日後くらいには元に戻ってしまった。
だから今回もまったく油断はできない。けど、明日も明後日も、できる限り発汗トレーニングとしてランニングしてみて、汗の出る範囲を伸ばしていきたい。
なんのために中国の古典を読み漁っているかといえば、そこに生き方の手本を見ているからだ。逆境や苦難にどう立ち向かうか。難病との闘いは苦しい。でもそこでこそ己の存在や生き方を通して、人を鼓舞できる人間でありたい。
一縷の望みをつないだかもしれない、と希望を持つことにする。(終わり)
2019年8月14日の日記
「難病からの回復」
今日は3度目の退院から2週間後の検査。経過は良好とのことで、ひとまず今後の入院は不要になりました!
汗が全身の3%からしか出なくなるという恐るべき病気でしたが、3回入院して、その後の毎日のランニングが発汗機能を回復させました!主治医の先生にも驚かれた!万歳!
まだ汗の量は少ないものの、広範囲で汗が出るようになってきました。7月の時点では鼻先しか汗が出てなかったから、本当にすごい進歩。汗腺の詰まりも改善されてきて、悩まされていた汗疹の症状も減ってきました。
今後は入院も薬もなし。ランニングを継続しながら自然回復させていきます。
治療法が確立されておらず、いつ治るかもわからないし、もしかしたら一生治らないかもしれない難病だったけど、普通の生活ができるようになってきて本当に良かった。
「もう飛行機に乗れないかもしれない」と、旅行できない人生も覚悟していました。「外に出られない人生なら絵描きにでもなろうか」と思って画材を買ったものの、センスのなさに余計に絶望したこともありました。
4月から働けずほぼ無収入だったので、貯金を切り崩すだけの生活で精神的にも辛かったです。「食費を削っているのではない、半日断食しているのだ」と自分に言い聞かせ、いかに少食で過ごせるようになるか、みたいな研究もしました。辛かったけど、思い返せば色々な発見のある時間でした。いつか笑い話に変えてやろう。
特発性後天性全身性無汗症という病気に気付いてから約半年間の闘いでした。
まだ完治したとは全然言えませんが、ここでひと区切りつきそうです。電車にもストレスなく乗れるようになったので、少しずつ仕事を再開させていきます。まずは朝日新聞デジタルの連載から。
お見舞いに来てくださった皆様、応援して支えてくださった皆様、本当にありがとうございました!!(終わり)
汗が出ずらくなる秋・冬の罠
ここから10月後半までは、ランニングを継続しながら、本当に順調に回復していきました。しかし、その後に罠がありました。
それは、夏よりも気温が下がる秋・冬の方が、コリン性蕁麻疹の症状が辛くなりがちという特性によるものでした。汗が出始めればその後は問題なく過ごせる人もいると思いますが、ぼくの場合はまた悪くなりかけました。
もうなるべく薬には頼りたくはなかったので、自分で考えた行動を試してみたところ、見る見るうちに改善していきました。後日、病院の先生も「お手本のような対処法」と褒めてくださり、参考にしてくださいました。
この話は記事の後半で書きました。無汗症ではないけどコリン性蕁麻疹に悩んでいる、という方にとって役立つ内容だと思います。
2019年12月31日の日記
「2019年の振り返り」
様々な方に励まされ、支えていただいた一年でした。先にお礼を言わせていただきます。本当にありがとうございました!
1月〜3月:仕事をしていた
・仕事は順調だったけど、ゆっくりする余裕がなかった。ソフトバンクのメディアの編集と、それ以外にも2〜3の仕事を並行していて、土日も原稿書いたりいっぱいいっぱいだった記憶。
・2月頃から、謎の蕁麻疹や痒みが強く出始めていて、かなり辛かった。ソフトバンクのオフィスの冷凍庫に保冷剤を入れて、常に身体を冷やしながら仕事してた。きっと奇妙な目で見られていたに違いない。皮膚科へ行っても効かない軟膏を処方されるだけ。まだ大変な病気だとはわかっていなかった。
・ありがたいことに毎週のように新しい仕事の相談がきて、でもこのままだと身体がやばいなと思った。ちょうどその頃『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』という本の中で、「人生の意味を創造に変えるためのひとつの方法として、ニートとして1〜2年、名実ともに生産を放棄する期間を設けてみる」という一文があり、強く共感した。ちょっと仕事を見直したくて、春から仕事を減らそうと思っていた。
・3月、フットサルをしたら蕁麻疹が出て、サウナへ行ったら汗が出ないことに気付いた。これは絶対におかしいと、必死にネット検索して病名を探した。
4月〜8月:仕事はしてない
・検査の結果、「特発性後天性全身性無汗症」という難病だと判明。全身の97%から汗が出ない重い症状なのに、「良かった、これで仕事休めるな」とちょっとホッとしていた。
・とはいえ、2回入院しても全く良くならないから、かなり不安になった。初夏、症状は想像を絶する辛さで、家から駅まで徒歩3分なのに、なかなかたどり着けない。太陽の光を浴びるだけで猛烈な痒みと蕁麻疹に襲われるため、「日陰しか歩けない縛り」という小学生低学年の遊びのようなことをやっていた。
・常に保冷剤を持ち歩く日々。外に行くだけで辛くて、流石に人生辛いわ。。。と精神的にやばかった。ハイライトは2kgのロックアイスを抱きしめながら耐えたBUMP OF CHICKENのライブ(感動と辛さで涙)
・もう一生、旅行や運動もできない人生かもしれないと覚悟した。いっそ絵描きにでもなるかと、小さな画材道具を買って数枚絵を描いてみたけど小学生レベルでなおさら絶望。
・それでも前向きに生きようと思い、とにかく本を読みまくることにした。涼しいところで本を読んでいることならできた。
・中国の歴史物語にハマり、ひたすら読んでいた。キングダムの元ネタにもなっている物語『史記』を書いた司馬遷は、男根を切除される刑に遭い、「死んだ方がマシだろう」と思うような絶望の淵にあっても、使命感から中国の歴史を書き続けた。「それに比べたら自分なんて」という気持ちになり、今できることをやろうと思った。
・毎日近所のマックにこもり、100冊以上の本を読んだ。計り知れない学びを得た。特にオススメの本はこちらにまとめました。
・7月末、3度目の入院後、わずかだが半年以上ぶりに汗が出た。とにかく嬉しかった。
・それから汗を出し続けるため、月150kmほどランニングをして、薬なしでほぼ通常の生活ができるまでに回復した。
9月〜12月:仕事をしていた
・未だに完治はしていないものの、普通に仕事はできている。9月からはDialpadなど少しずつ仕事を再開していった。
・新たに朝日新聞デジタルでの連載が決まり、リクルートからも英語学習の仕事をもらえた。どちらの仕事も楽しんでいる。ストックフォトモデルの仕事も新鮮!
・あまり無理をすると身体が怖いから、まだほどほどに抑えて仕事している。
・朝活「Breakfast Meeting」は年間54回開催できた。継続できたことはひとつの成果。
ざっくりと今年の総括
今日でフリーランスとして丸3年を迎えた。フリーランスは不安定というが、まさにその通りで、うまくいっている時期とうまくいかない時期の差が大きく、ジェットコースターのような3年間だった。
今年は特に病気もあって、ひたすら「耐えの一年」だった。働けなくて、入院でお金も急速になくなっていくから、精神的にも経済的にもギリギリだった。最悪の状況は免れてよかった。
とはいえ、耐えてただけでもなかった。読書により様々なことを学べたし、Breakfast Meetingという新たな習慣が生まれた。朝日新聞デジタルで連載できたことで、ライターとしても箔がついてきた。改めて自分を見つめ直す時間にもなった。(以降は病気と無関係のため割愛。続きはこちら)
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などを紹介しています。主に患者の方向けの情報となりますので、必要な方のみお進みください。
まだ自分が発症したばかりのとき、わからないことだらけで眠れないほど不安でした。何度も近所の皮膚科へ行きましたが、解決には至りませんでした。そのときに、喉から手が出るほど欲しかった情報の数々をここに書きました。
ぼくは3回入院してようやく日常を取り戻すことができましたが、以下に書いたことを先に知っていたら、恐らく1回の入院で済んだはずです。そのために10万円以上の医療費が余計にかかってしまったので、もったいなかった。
きっと病気の理解と早期の症状緩和・改善に役立つ情報になるはずです!早めの対応が非常に大切な病気です。皆様の一日も早い回復を願っています。
それでは、ここから重要な情報をお伝えしていきます。
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