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ophiuchus
みずたまりの魔法
先日、雨が降った日。休日だったが出かけたくて地下鉄へ向かっていた。改札へ向かうなか、4歳くらいの男の子と母親の親子と地下広場で合流した。その時、男の子はずっと「昼下がり」と連呼していた。時刻は朝の8時過ぎで、まだ昼と言うには早い、むしろ朝と言うべき時間帯だったため、私は疑問に感じながら親子の前を歩いていた。
「お母さん、みずたまりあったらしていい?」
「あったらね〜」
階段を下りながら、親子は後ろでそんな会話をしていた。
「みずたまり」。地下で反響して「昼下がり」と聞こえていたのは、どうやら「みずたまり」の聞き間違いだったらしい。
「お母さん、みずたまりあったらしていい?」
「あったらね〜」
また、同じ会話。雨だったこの日、男の子はレインコートとレインブーツを装着し、雨対策バッチリの恰好だった。
「お母さん、みずたまりあったらしていい?」
「あったらね〜」
繰り返し、同じ会話。
おそらく「みずたまりがあったら入って遊んでもいい?」と言いたいのだろう。
地下で反響する男の子の声と足音は楽しそうに弾んでいた。
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