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メンバーが動く企画の実行のコツ

このnoteの概要

こんにちは、村井庸介です。
就職・転職における内定取り消し、自宅待機が増え今後のキャリアについて悩む方の話を聞く中、僕が世の中に貢献出来ることは何かと考え、働き方・キャリアについて、出版した2冊の著書をもとに、このnoteを始めました

前回からは、「GISOV」を使って提案をする際に注意すべきポイントを、解説しています。前回は、まず前提となる①相手を知ると②相手への想いについて、話しました。今回は、提案相手が実際に動く提案に欠かせない要素について、お伝えしていきます。

実行計画では、適切なハードルを設定する

ここでは、「GISOV」で相手の共感を呼んだのち、実行するメンバーの「やる気」を保つための注意点を挙げます。これは言い換えれば、「これならできそう」と思ってもらうための工夫です。

はじめてのことを「やってみようか」「それならできるかも」と感じさせ、さらに継続するために重要なのは、ハードルの設定の仕方。

そのポイントは3つあります。

①仕事の「型」に沿っており
②すぐに成果が目に見えて
③現状での負荷が大きくない

このようなハードルが理想です。

それを実感した、母校水泳部での初心者のコーチ時代の経験をお話しします。

最終的に記録を目指すレベルの選手であれば、もちろん筋トレは必要です。瞬発的な筋肉の力と持久力を同時に備えていなければなりません。

しかし、私が担当したのは、高校に入学してから水泳を始めた初心者です。いきなり「腕立て伏せ100回!」とやらせても、そもそもできませんし、すぐにイヤになってしまいます。彼らの現状のモチベーションは、腕立て伏せの回数が増えることではなく、とにかく「いまよりも速く」泳げるようになることなのです。

部全体のゴールは、選手がそれぞれ自己ベストを更新することです。それに対して私は、「水泳を通じて〝努力する姿勢〟を身につける」という、「裏」のゴールを設定しました。

とくに私が担当していたのは初心者ですから、全員を選手にするのはなかなか難しい。「いまよりもちょっとでもよくなろう」と努力する経験をして、前向きな姿勢を身につけてほしい。その結果、レベルが上がった生徒が出てきたら、選手育成のコーチのところに行かせればいいと考えました。

では、努力する姿勢を身につけさせるためにはどうしたらいいか。その答えは、「ひたすら厳しい試練を与えるのではなく、タイムがいまよりも短くなる楽しさを知りさえすれば、本人たちが勝手に努力し始める」ということでした。

通常であれば、
「とにかく速く」「スタミナをつけろ」「気合いが足りない」
という指導をするのかもしれませんが、まったく逆をやりました。

注目したのは「成果の取れ高」

1という量(時間)の練習をした結果、
5の成果が上がるものと10の成果が上がるもの、
2つの練習内容があるとしたら、10のほうが「取れ高」が大きいので、それを先にするということです。ここでの成果とは「タイムの改善」です。

初心者の場合、「取れ高」が大きいのは、「きれいに」「基本に忠実に」泳ぐこと。正しいフォームを覚えることです。一方、筋トレによるスタミナ強化は「取れ高」が小さいのです。

正しいフォームを身につけると、スタミナが必要な長距離はあまり速くならないかもしれませんが、50メートルの短距離ではすぐに結果が表れます。

フォームの確認を徹底的にしたら、50メートルのタイムをどんどん測ります。目に見えて自分が速くなっていくことを実感するのは、本人が楽しいのです。すると、もっと速く泳ぎたいと思うようになります。一定のレベルに達したら、今度は正しいフォームの「取れ高」が小さくなってきます。

次の段階は「スタミナ強化」の「取れ高」のほうが大きくなるのですが、そのころには本人たちはタイムが速くなるのが楽しいし、同じタイムにとどまっているのが悔しいから、勝手にきつい筋トレやインターバルトレーニング(高負荷の運動と低負荷な運動を繰り返す、強度の高いトレーニング)に励むようになるのです。

はじめから腕立て伏せをやらせたら、たぶんついてこられない生徒が出てくるでしょう。しかし、「取れ高」が大きい順番でハードルを設定することで、最終的には勝手に腕立て伏せを始めるのです。

もちろん、初心者にまず正しい泳ぎ方のフォームから教えることは、「型」から入るということでもあります。最初に悪いクセがついてしまうと、あとあとどんなにがんばってもタイムが縮まりにくくなるからです。

①まず「型」から始めるという基本的なことでもあり
②同時に「取れ高」が大きい(すぐに目に見える成果が得られる)
③本人たちにとって「腕立て伏せ100回」ほどには負荷が大きくない

仕事においても、こうした条件を満たしたハードルを設定することで、プロジェクトの車輪は動き出し、いったん動き出したら、あとは勝手に回るという好循環を起こすことができるのです。

今日は、仕事ではなく、水泳コーチ時代の事例をもとに、お届けしました。
プライベートでは、泳げなかった知人・友人がまずは楽に泳げるようになるところまでサポートしていたりもしたので、コロナが終わり次第、またそうした活動もしたいですね

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