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2年目社員の受注事例後編_仕込みと会社の文化の重要

このnoteの概要

こんにちは、村井庸介です。

就職・転職における内定取り消し、自宅待機が増え今後のキャリアについて悩む方の話を聞く中、僕が世の中に貢献出来ることは何かと考え、働き方・キャリアについて、出版した2冊の著書をもとに、このnoteを始めました

前回までは、2年目社員が他社の倍の金額で受注した事例をお伝えしました。ただ、それは僕自身の実力がすごかったわけでもなく、先輩方の事前の仕込みや、そもそも会社に根付いた文化・誇りがあったからというお話しを今回はしていきたいと思います。

提案前のひと仕込みも大事

もともとその通信会社から最初に話をもらった時点の予算額は、会社として受けるには安すぎるものでした。その額が三ケタ万円だったのです。

「この金額では、受けられないな」と最初にわかっていましたので、上司と一緒にクライアントに対して、「野村総研ならではの付加価値を出しますので、提示された金額よりも高い提案をしてもいいですか」という話をあらかじめしていました。

「けっこうですよ。そういう提案をお待ちしています」という返事をいただいていたという前提があっての、2倍の提案だったのです。

どんな提案にも予算があります。この事例では、他社はクライアントの予算内での提案をしてきました。

なぜ四ケタ万円にこだわったのか。強いて言うなら「会社としての誇り」です。野村総研が考える調査というのは、「聞いてきたらこうでした」という、データをそのまま提示するものではありません。

調査結果をもとに、クライアントが何をするのがベストなのかという、「最初の一歩」の行動が明確に示唆できるレベルの、多面的な分析をしてはじめて調査だと考えているのです。

生意気な言い方をすると、「調査といっても、他社と一緒にしないでほしい」という、品質に対する誇りです。「うちが調査するなら、圧倒的に高品質なものを提供しますが、その代わり高いですよ」ということです。

この提案においては、野村総研のこだわりと誇りが、うまくクライアントに受け入れてもらえました。

2年目社員が他社の倍の金額の受注ができた背景

この案件は、私が社会人2年目、キャリアの本当に初期のものでした。実質的に、自分の仕事としては最初に手掛けたプロジェクトです。

もちろん直属の上司と2人で担当したのですが、たまたま上司が別のプロジェクトに関わっていて手が空いていなかったために、私に提案のチャンスをくれたのです。

これは本当にたまたまでした。

野村総研の中でも、新人が自分で仕事をとりに行くタイミングは、部署によってまちまちです。5年、10年とアシスタントを経験してようやくという人もいれば、私のように2年目で最前線を任されることもあります。

一般的なコンサルティング会社を見ていると、大体6、7年目くらい、中間管理職に昇進してからはじめて、自分で営業するチャンスが与えられるケースが多いようです。そう考えると、私はラッキーだったといえるでしょう。

しかも幸運なことに、私は1年目から野村総研の仕事の仕方、誇りの根拠となる調査へのこだわりに触れていました。「この会社は、ここまでやるんだ!」と身にしみて感じていたのです。たとえば、こんな先輩がいました

ある会社の調査をするときに、タイの果ての工場まで自分の足で行って、自分の目で見てくる。何でもいいから、とにかく生の情報をつかんでくるのです。さらにその工場で「もっとこういう情報を取りたいから、知っている人にアポがとれないか」と電話したり。

真実の情報を手に入れるために、ここまでするのかと驚きました。お客様の評価でも、ここまで調査をする会社はないということでした。リサーチ会社を使ってデータを大量に集め、それを解析するのが普通のようです。

しかし野村総研は、「そもそも、そのリサーチ会社が出してきたデータは本当か?」と疑うのです。足で稼ぐ情報をとても大切にしていました。
ちょっと面白話でいいますと、昔先輩のところに某外資系戦略ファームから「○○市場のXX技術のポテンシャルについて教えてくれ」という電話がかかり、適当な数字を答えたところ、翌年、あるお客様のところにいったら、提案資料にその数字がそのまま使われていたとのことでした。

これは、ちょっとした笑い話ですが、ちょっとでも「怪しいな」と感じたら、自分の足で現地に行き、確かめる。それが野村総研の誇りだと僕は当時学びました。

そういった野村総研の風土や理念を叩きこまれ、会社が持つブランドと、その型からブレずに提案したことが、大手通信会社を相手に、他社の2倍の金額でも堂々と提案し、受注できました。

この案件は、当初から倍ありきではありましたが、いま皆さまの仕事を振り返った時に、きづいたら、競合と価格競争になっていませんか?
お客様の実現したい事を見据えたら、本当に必要な解決策とそれに伴う「適正な金額」は変わってくるかもしれません。

この投稿がそれらを考えるきっかけになれば幸いです。

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