転職直後はどんな提案をするのがいい?
このnoteの概要
こんにちは、村井庸介です。
就職・転職における内定取り消し、自宅待機が増え今後のキャリアについて悩む方の話を聞く中、僕が世の中に貢献出来ることは何かと考え、働き方・キャリアについて、出版した2冊の著書をもとに、このnoteを始めました。
ここ数回は、「GISOV」を使って提案をする際に注意すべきポイントを、解説しています。今回は、転職したての方が社内で「どんな提案から始めればよいのか?」という疑問についてお答えしたいと思います。
最初は新しいものを狙わない
転職直後は、特に過去の会社の記憶も残っていて、違いが目につきやすい状態です。そのため、「○○では、こうやっていたのに、なんでこの会社で△△なやり方をしているんですか?」といった発言をついついしがちです。
けど、前回の記事でも記述しましたが、その会社、組織には、彼等のやり方でやってきた歴史、価値観があります。良かれと思ってした発言でも、反発される可能性が高いでしょう。
では、転職したのち、企画提案するならどんなテーマがいいのでしょうか?
G・I:新しく生み出す前に、すでにあるものを見つける
まずは、すでにあるゴールに全力を尽くします。
一方で、どんな会社にも大小さまざまなボトルネックは必ずあります。それがイシューです。
いま会社で、どんな仕事を誰がやっているのか。その中でうまくできていないのは何か。イシューは現場にあります。
「何かお困りのことはありませんか?」という「御用聞き」の姿勢でまずは十分です。そうすると、必ず見えてきます。
「経営企画の資料作成をAさんに任せているんだけど、彼はエクセルとかあまり得意じゃなくて、どちらかというと人とのコミュニケーションのほうが得意だから、そっちに専念させたいんだよね」
そういう言葉が出てきたら、チャンスです。
「いま、何に困っているのか」を口に出してもらう。そのためには、自分から聞いて回るのがいちばんです。自分ならできると判断したら、「それ、やらせてください」と手を挙げます。
イシューを見つけるために有効な視点があります。それは「大きな仕事やプロジェクトを、小さく分割してみること」です。
どんなプロジェクトにも中間作業があり、細かいタスクが連続しています。それらの分割したタスクの内容と進捗状況をチェックしていくと、どこかにボトルネックが隠れているのです。
入社したてのタイミングでは、いきなり大きな提案をしようとしても、すぐにはネタは出てこないでしょうし、承認される環境も整っていません。
小さなイシューから始めましょう。タスクスケジュールを細かく区切って、困っている人のお手伝いをする。これは立派な問題解決です。その積み重ねが、大きな提案に進むためのステップにもなるのです。
成果の大きさよりもまずはスピード
S・O:自分が得意、かつ早く成果を出せる方法で
転職に限らず、自分の得意な仕事や特性は把握しておくことが大事です。
たとえば、前職までの経験や知識はどういう分野に集まっているのか。どんな仕事なら、ほかの人よりも速く、正確に、内容の濃い結果を出せるのか。見つけてきたイシューと得意な仕事が重なる領域を探しましょう。それがソリューションのカギになります。
私の場合は、調査や分析、それに伴う戦略策定や必要な資料づくりが得意です。「もしほかの方がそういう仕事を抱えていて大変だったら、そこをサポートさせてください」と自ら手を挙げるのです。
すると、負担を抱えていたメンバーは楽になりますし、それで仕事が早く進めば上司も喜ぶでしょう。さらに、自分にとっても苦になりません。まさに「三方よし」です。まずは自分が得意な仕事をやってみる。それがその時点でのソリューションになります。そして同時に、放置されている(潜在化している)ゴールやイシューを見つけるわけです。
得意という内容は、相対的な側面もあります。たとえば営業部においては交渉力よりも企画力に優れていたとしても、同じ人が財務部に行けば、ほかのメンバーと比較して相対的に交渉力が強いということも起こります。
あまりにも自分のバリューを「私は企画力が強いです」と決めつけると仕事のチャンスを逃します。ある程度、柔軟に、「その場において、自分がいちばん得意なことは何か」と考えるのがよいでしょう。
また、新しい会社に転職したばかりのこの段階では、成果の大きさよりも「スピード」そして、その成果を認知される「数」が重要です。
たとえば会議の議事録作成です。ある会社で、それまでは会議終了後1日がかりで議事録を入力して翌日に配布していたところを、私は会議の進行中に同時に入力をして、会議が終わった瞬間に議事録を配布しました。
小さなことのように思えるかもしれませんが、誰からも喜ばれ、スピード感があり、しかもインパクトがある成果です。
「そんなに早くできたの?」と驚かれます。
私にとっては、コンサルタント時代から普通にやっていたことなので、慣れていますから負担もありません。そういった、「小さくてもいいから目に見える成果」を出せる業務内容に絞り込むのがコツです。
V:意識的に「目に見える」成果を出す
この場合のバリューとは、「新参者」の立場を脱却して、会社の核心を突く提案ができる状況になること、つまり新しい会社での「信頼の残高」を早期に蓄えることだと考えてください。
とくに転職した当初から、組織を巻き込んで新しい制度をつくるといった大きなプロジェクトに携わることは、まずありえません。
営業でいえば、大型受注を取るためには、まず商品をきちんと理解して、取引先にアポイントをとって……と、成果を出すために必要な時間とステップが多くあります。
つまり、転職していきなり大きな成果を出すのは難しいのです。もちろん、同じ業界等の転職だったら土地勘もありますから、大きな成果を出せることもあるかと思いますが、基本的には小さな成果を積み重ねることに注力した方が踏み外ししないです。
転職先で、できるだけ早く「信頼の残高」を貯めようとするのであれば、ぜひお伝えしておきたいことがあります。それは、経験上、「売上アップ」よりも「時間短縮」のほうが成功しやすいということです。
そもそも、転職直後はお客様等との関係性も薄いため、売上を上げるためには時間もかかりますし、よほど桁違いの受注でもなければ、成果に対する評価もブレます。
100万円という受注を、「多い」と見る人もいれば、「少ない」と感じる人もいるでしょう。比較によって相対的に評価が決まってしまいます。
一方、時間短縮の評価基準は明確です。「3日かかっていた仕事が、1日でできた」という事実は、誰が見ても変わりません。過去や他者と比較しても、違いは明らかです。
さらにいいのは、時間短縮は、差し当たって自分ひとりでも改善できるということ。転職したてで、まだチームとして機能しない時期でも取り掛かれますから、それだけ早く、たくさんの成果を上げることができるのです。
出展:どんな会社でも結果を出せる! 最強の「仕事の型」
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