失調患者に対する装具を使ったリハビリテーション。

失調患者に対する装具を使ったリハビリテーション

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/45/6/45_11479/_pdf/-char/ja

失調患者に対しての装具療法の論文はなかなか見つからないですが、最新の理学療法学に症例報告が載っていました。

失調患者に対する、理学療法としては弾包や重錘などが古くから言われています。装具においては装具で固定をする事で、コントロールする関節を減らして改善を図っていく治療法が報告されていました。

今回の症例報告はGSDを使用したことでロッカー機能が改善し、歩行スピードの上昇、正常歩行に近づいたとのことです。

患者はバックニーで歩く歩容であったとのことです。これはバックニーにすることで、膝のコントロールをしないでも良い歩行をしていたのではないかと考えられます。

そのため、下腿の前方傾斜が起こらず、歩行スピード低下が生じていました。

難しい点としては失調があり、足関節、膝関節の同時にコントロールすることが困難。学習も起こりにくいと考えられる。高次脳機能障害や知能低下により、治療が効果的に進められないなどがあったようです。

装具を使用しないで治療を行っていましたが、改善がしなかったため。治療戦略を変えていったとのことです。それは、足関節部分は装具でコントロールし、歩容改善を図っていく作戦をとったようです。

なぜ固定のタイプではないかというと、ロッカー機能の問題が膝のコントロールにも影響を及ぼしていると考えたためとしています。

つまりは、バックニーとなるのは膝のコントロールだけではなく、ロッカー機能がうまく使えないため可能性もあるよね。そのためには、ロッカー機能が使える装具=GSDを選択(APSも検討しておくべきであったと論文では反省してました。)してやってみる方がいいんじゃないの?って考えだったみたいです。

この論文の図3が面白いんですが、GSDを使い始めた時は逆に膝が屈曲位になってしまっているんです。またバラツキも強い。しかし、だんだんと関節角度は正常に近づいていき、バラツキも少なくなっていきます。

使い続けることで学習が起きてきているんでしょうか?装具を外しても効果は残っています。

かなり、時間はかかってますが、難しい条件のなかでバックニー歩行から脱却できたのは凄いと思います。

欲を言えば、固定式の装具ではどうだったのか?GSDを選択した理由がもう少しわかりやすいと、いいと思いました。

失調に対しての装具の使い方ではとても参考になると思います。

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