歩行時の蹴り出し改善はどうすればいいか?筋腱複合体の考え。

歩行時の蹴り出し改善はどうすればいいか?筋腱複合体の考え。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits1996/11/10/11_10_28/_pdf

ちょっと装具とは離れますが、知らないと装具の選択にも支障をきたす大事なものです。

遊脚でつま先がひっかかる。クリアランス不足からぶん回しになる。過度に股関節を屈曲してクリアランスを確保する。

これらの歩容は臨床でよく見かけると思います。

こんな時にどういうような声かけをしていますか?

「立脚終期に蹴り出せ!」みたいな声かけをしていないでしょうか?

実はその考え間違っているかもしれません。

筋腱複合体というものを知っていますか?

筋と腱の移行部のことをいいます。近年この部分が大切だとわかってきています。

学校では腱伸びないと習ってきたかもしれませんが、筋腱の部分は伸びていることがわかってきました。

歩行でいうと腓腹筋をイメージして下さい。起始部からアキレス腱になって踵骨に着きます。

立脚終期に蹴り出すというのは筋を収縮するという事です。つまりは求心性収縮になります。立脚終期で腓腹筋を求心性収縮させて、蹴り出す。それにより遊脚を作る。

いっけん間違ってないように見えますが、健常者において立脚終期での腓腹筋の筋活動はあまり起こっていません。

つまり、収縮によって蹴り出してはいないのです。

だけど、立脚終期になるにつれ、足関節の背屈は起こっている。どこが伸びているのかエコーで調べると筋腱部が伸びているのがわかりました。

今までの常識とは違うことがわかったんです。

この筋腱複合体が伸びるとゴムのように元に戻ろうとします。この戻ろうとする力が足関節の底屈を生じ、蹴り出しが生まれます。

なので収縮ではなく伸ばすことが大切だとわかったんです。

脳卒中などで背屈が生じないと下腿後方組織が伸ばされることが無くなります。そのため、立脚終期での腓腹筋の伸長がなくなり、蹴り出しが生じない。上記した歩容の異常はそこも原因なのかもしれません。

改善するには、しっかりと可動域を確保する。立脚終期での背屈を出す。速い伸長−収縮の練習をする。などが効果的です。

歩行は無意識での運動です。意識して蹴り出すって事は皮質脊髄路を使用することになります。麻痺などではこの随意的な運動が難しいことがあります。そんな場合はしっかりと背屈を出して、筋腱複合体を伸ばして蹴り出しを出すというセラピストの技術が必要になると思います。

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