GSDマスターしてみませんか?

ゲイトソリューションデザイン(以下:GSD)をマスターしてみませんか?

GSDがなぜ爆発的に人気になったのか?知りたくないですか?これが分かると臨床で使えるようになります。

京大の大畑先生の論文を参考にGSDの使い方を紹介したいと思います。

まず、このGSDを語る前に知らなければいけないこと。

人間の歩行は非常に効率がよく出来ています。

位置エネルギー(高くにあるものはエネルギーを持っている=1キロの重りを1mの高さから落とすより、3キロの重りを1mの高さから落とすほうが当たった時に痛い)

運動エネルギー(速い物体の方がエネルギーを持っている=10km/hの速度の車より、50km/hの車の方が当たった時に痛い)

を巧みに変換して最小のエネルギーで歩行を行なっています。

これは「倒立振子」によってなされています。

この倒立振子一番大切なのはヒールロッカー。

ヒールロッカーの際に前脛骨筋の遠心性収縮により下腿を前傾させる力が生じて、立脚中期に重心が上がり位置エネルギーが増します。

そこで大事になるのがヒールロッカー時に底屈が生じること。

SHBのように足関節が固定されていればヒールコンタクトの際に過剰な膝屈曲(足関節背屈)が生じてしまい位置エネルギー下がってしまう。

事実、SHBとGSDを比較した際SHBでは正常歩行と異なり、早期に背屈が生じてしまいます=重心が下がる=位置エネルギーが下がる。

筋電図でもヒールコンタクト時の前脛骨筋の働きがSHBでは生じにくく、逆に下腿三頭筋の働きが生じています(早期に背屈してしまうため、下腿三頭筋の収縮が生まれる)。GSDではヒールコンタクト時に正常歩行と同じように前脛骨筋が働きます。

つまりGSDを使用することで前脛骨筋の働きを促す事ができる。油圧を強くすると前脛骨筋の補助が強くなり筋収縮も少なくなります。逆に油圧が弱過ぎると膝過伸展し、倒立振子は破綻します。

その辺の調整は歩容を見てPTが対応していく必要があります。

GSDは麻痺を補うものではなく、歩行時の筋活動を改善させることが可能かもしれません。

まとめます。

①GSDを使用する事で倒立振子を実現することができる。
②倒立振子を実現するためにはロッカーファンクションが必要。ロッカーファンクションにはヒールコンタクト時に底屈方向の動きが必要。
③GSDを使用する事で前脛骨筋の補助となる。
④GSDを使用する事で前脛骨筋の筋収縮が得られる。
⑤GSDを使用する際油圧を強くし過ぎると前脛骨筋の収縮が弱くなる。逆に油圧を弱くし過ぎると膝過伸展となるかもしれない。
⑥GSDは歩行時の筋活動を改善させるかもしれない。

参考文献
大畑光司 Gait Solution付き短下肢装具による脳卒中片麻痺の運動療法とその効果

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