歩行時に底屈トルクを発生させている正体は?

筋腱複合体は歩行にも強い影響が生まれています。

まず、正常な歩行の遊脚期振子を生み出すには前遊脚期において十分な底屈トルクが必要です。

実際に片麻痺患者では前遊脚期が顕著な問題点であるとされています。

この振り出しの不十分さが、遊脚期膝屈曲や遊脚期運動エネルギーを減少させるとされています。

この問題により、片麻痺特有の股関節屈曲、骨盤の引き上げなどの異常歩行につながっていきます。

では、底屈トルクをどのようにして産むかが課題になってきます。


図を見てください。

下腿三頭筋の底屈筋活動と、実際底屈トルクのタイミングがズレています。

これがこのズレの正体は筋腱複合体です。筋が底屈トルクを発生しているのではなく、腱が底屈トルクを発生させている。

歩行でのトルクと筋活動とがズレているので筋腱複合体の影響がよく理解できますね。

繰り返しになりますが、蹴り出し改善させたい時は、前遊脚期で腱にエネルギーをためる。そのために下腿三頭筋のトレーニング、速い伸長−収縮、歩行スピード、背屈可動性などなど、、、、を意識していく必要があることを考えていかなければなりません。

そうなると、背屈を制限する装具ははたして正解なのか?よく考える必要があるのがわかりますよね。

参考文献
大畑光司 Gait Solution付き短下肢装具による脳卒中片麻痺の運動療法とその効果 PTジャーナル 2011

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