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[79] 銀河ステーションの約束

病床で聞かせてくれた
あの物語のあらすじが忘れられません
一足さきに旅立つ
私のカバンには
録音してくれたきみの声を
詰めこみました
ながいながい 列車の道中で
退屈しないように
イヤホンから
あのほしの物語に 身を委ねます

私たちが愛したステーションへと
向かいながら
心残りと言えば心残り
完成を夢みながら
未完のままの物語
置き去りにされた 無念の紙屑
引き継いでくれるのは
きみだけ
きみのイメージする力は無限だから
きっと果たしてくれる
私は信じています

新しく生まれつづける
広大無辺の宇宙には
想像もつかないような夜空がある
暗い深い闇に覆われていることさえ
忘れ去ってしまうほど
控えめだった星々が
声をあげてはしゃぎまわる
圧倒的な夜空がある
それを見あげる 無数の輝く瞳がある

あなたのほしの
どんな盛大なパレードも
遠く及ばないでしょうと
紳士な駅員さんは教えてくれました

一夜限りの
夜景にひたりながら
私たちの想像を はるかに超えた
すばらしい夜空で
待ち望んでいます きみの吉報を

至極の夢心地
あんなにも熱気にあふれ
いのちが詰まった夜はないと
紳士な駅員さんはほほえみました

一夜限りの
夜景にひたりながら
私たちの想像を はるかに超えた
うつくしい夜空で
待ち望んでいます きみの吉報を


※幻想宇宙でうたう星々
(胸がときめく星の声 後編)

お読みいただきありがとうございました。なにか感じていただければ幸いです。