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経済同友会って「どうゆう会?」

こんにちは!マネーフォワードの辻です。

いきなり思わせぶりなタイトルですみません。早々にタネ明かしをしますと、僕は今年4月に、経済同友会の副代表幹事を拝命し、身に余る役職をお引き受けすることとなりました。

みなさん経済団体って、どんなイメージをお持ちでしょうか?

おそらく、「重い・堅い・何やってるか分からない」と、だいぶ距離を置いて眺めている方が世の中の大半ではないかと思います。僕もつい最近までそうでした。

自分には縁遠いものだと思っていたのですが、遡ること5年前、当社もお世話になっている大先輩から、「辻さん、経済同友会に入らない? 私ね、新入会員歓迎の責任者になったんですよ。ね、ぜひ入ってください」と言われて……。NOの選択肢はあるはずもなく、入会させていただいたというのが、ありがたいご縁の始まりでした。

あらためて、同じく経済団体の「経団連」や「新経連」と混同されることも多いので、一番分かりやすい違いを説明すると、経団連は主に「大企業」の会員組織、新経連は主に「デジタル中心の新興企業」であるのに対し、同友会は企業の経営者が「個人」として会員になる団体です。つまり、所属している企業ではなく個人の意志として入会し、団体活動に参加するというものです。

経団連が日本の高度経済成長を牽引した製造業を中心とした大企業が中心であるのに対し、同友会の会員が所属する企業は業態や企業規模も幅広いのが特徴です。設立はどちらも1946年と同じ年数の歴史を歩んでいるわけですが、その成り立ちの趣旨や構成は根本的に違うものなんですね〜。

とはいえ、経済同友会の会員には誰でもなれるというわけではなく、「赤字経営の企業はダメ」など厳格な基準があるのですが、大先輩が僕に声をかけてくださったタイミングはちょうど「スタートアップの若手経営者にもどんどん入ってもらおう」という方針が強化されたそうで、「ノミネートメンバー1期生」として、僕も一員に入れていただいたというわけです(同期には、ユーグレナの出雲充さんやWiLの伊佐山元さんなどがいらっしゃいます)。

当時(2019年)は、上場後の組織改革でめちゃめちゃしんどかった時期でしたので、正直「時間がないので、なかなか参加難しいなあ」というのが本音でした……が。
巻き込まれてみると、まったく知らない、面白い世界が広がっていました。

経済同友会は、企業経営者の視点で、自社利益誘導ではなくパブリックな立場として、日本社会がよりよく進化するための方策を考え、実行に結びつく提言を目指す団体です。

それまであまり接点を持てなかった大企業の経営者の方々と同じテーブルで、公益のための議論をするという時間は非常に刺激的で勉強になります。

僕たちスタートアップは、自分たちの未来を切り開いていく力を心の底から信じているし、世の中をより良くするために本気で走っています。ただ一方で、本当に抜本的に日本経済の活性化を進めるには、すでに大きな影響力と力をお持ちの大企業が、よりリスクをとってイノベーションを起こしていくことが不可欠であることも分かっています。

スタートアップと大企業の経営者が垣根を越えて、思いやパッションをぶつけ合って、同じゴールに向かって知恵を出し合えば、日本の社会は絶対によくなるはずです

正直に告白すると、中に入ってみるまでは、「経済団体って何やってるのか、よく分からんな。ひょっとして、政治と癒着してるんじゃないか?」なんて浅はかに疑っていたのですが、実際にはそんなことはなく、本業だけでも死ぬほど忙しい人たちが、身を削って知恵を出し合って議論をして……という驚くほど真面目な活動をしている団体でした。

先日も、同友会の「夏季セミナー」が、令和モデル「共助資本主義」の実現 というテーマで開催されました。

一番右が僕です

テーマも、社会保障改革、政治改革、人口減少社会、エネルギー、"共助経営"の実践、DEI(Diversity,Equity& Inclusion)、日本への投資の促進、生成AI、地政学の時代における企業経営など、本当に多岐に渡ります。

そして、よくある批判や表面的な提言で終わるものではなく、どの議論も本質的、かつ深い議論が多く、実際に実現まで持っていかないと意味がない、という経営者の方々の意地と誇りを感じることができました。

特に同友会代表幹事の新浪さんの、世界を代表する経営者、政治家とも互角、もしくはそれ以上に渡り合える強く温かいリーダーシップは、ご一緒していて大変勉強になりますし、多岐にわたるテーマに対しての深い知見と洞察力、何より日本に対する強い危機感は、聞いていて大きな刺激をいただくことができています。

実際、提言をまとめて政治側に提案する際にも、様々なステークホルダーの方々との調整が生じるのが常で、ようやく進んだかと思えばふりだしに戻り……の繰り返しで、すぐ実現するような単純な仕事ではありません。

外側から見ていると「何もやっていない」ように見えたとしても、内側ではいろんな試行錯誤が行われている。そして、その試行錯誤の中に入ってみると、大企業経営者の方々の中長期的な視点に立った深い思考や、多角的に戦略を立てる姿勢に触れる場面に立ち合っては、「やっぱりすごいなーー!」と感嘆すること一度や二度ならず。

いくつもの変数が絡み合った複雑な方程式をなんとか解いて、一歩でも社会を前に進めようと挑む姿は、まさにチャレンジャーですし、僕の経営の悩みなんてまだまだ大したことではないレベルだなぁと背筋が伸びます

10年前の僕だと、「なんで社会はこんなに変わらないんだろう」と腹を立ててばかりでしたが(その怒りのエネルギーも、ある意味、変革には必要だとは思いますが)、今は「いろんな立場の人たちの、いろんな主張がぶつかりながら、社会は少しずつ進んでいくのだ、本当に変えていくためには、口だけだと変わらないんだ。」という見方が少しはできるようになり、どうすれば変えていけるのかが少しは見えるようになってきました。

やはり大事なのは「具体的な案、ステークホルダーの理解と対話、そして実行力」

社会を構成する多様な立場の人たちが、同じテーブルで、膝突き合わせて対話をする。その価値は大きいなと実感しています。

経済活性化のカギを握るビジネスのプレーヤーである企業経営者たちと、プレールールをつくる側である政治家や行政の方々、大きな影響力を持つメディアの方々が、タイムリーに情報を共有しながら対話をするのがやはり重要。いわゆる「リボルビングドア」と呼ばれるキャリア面での行き来も、もっと活発になるといいなと個人的に思います。

僕は学ぶばかりでまだ何も貢献できていないですが、この度、まさかの副代表幹事就任です(現職の副代表幹事では最年少になります)。

今回の人事では、IT分野に身を置く僕のほかに、サービス業から、「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングス会長の菊地唯夫さん、NPO法人からピースウィンズ・ジャパン代表理事の大西健丞さんの就任も決まり、「製造業中心」で意思決定をしてきた過去からのアップデートを感じられるものとなりました。

特にソーシャルセクターからの副代表理事就任は、規約を変更してまで実現したことなので、ダイバーシティ&インクルージョンを進める本気度が見えます。

僕のメインで担当する領域は「スタートアップ推進」です。ビジネスの当事者として、岸田首相が推進する「スタートアップ5カ年計画」の流れの中で新たに生まれる課題・問題に対しても、しっかり提言、アクションをしていきたいと思っています。

詳しくはまだ明言できませんが、社会に少しでもインパクトを出せるようにがんばります。

定例会議もスケジュールに入り、なかなかハードになりますが、僕なりの「Society Forward」のアクションとして本腰を入れていきたいと思います。

お金の困りごと解消を通じて、社会を前に進めるマネーフォワードの重点テーマと、官民のステークホルダーと手を組みながら、社会を前に進める同友会の役割と。ダブルの「Society Forward」が、これからの僕のテーマになりそうです

というわけで、テーマが多岐に渡るため、ますます勉強不足未熟さを痛感する立場となりましたので、勉強していきます!これからも、どうぞご教授いただきますよう、よろしくお願いします!

そして、同友会に興味をお持ちになられた経営者の方々、ぜひ僕までお声がけくださいませ。


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