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リーダーシップはスキル?重要なのは、因数分解と覚悟。

早いもので8月ももう終わりです。暑い暑い夏を抜けると、秋の人事異動の季節。

プレーヤーから一段進んで、初めてマネジメントをする立場となったり、未経験の分野にマネジャーとして異動したりと、新しい挑戦を前に、ワクワクと不安を抱える方々もいらっしゃるかもしれません。

ということで、今日は僕が常日頃から考えている「リーダーシップの磨き方」について、徒然なるままに書き留めたいと思います。

特に、リーダーシップに対して苦手意識を持つ人や、「自分には関係ない」と反射的に考えてしまう人にお伝えしたいなあとおもうのですが、

それは、「リーダーシップを含む経営能力は、後天的に身につけられる部分が実は結構多いのではないか」ということです。

「持って生まれた性格」など先天的要素に着目されることが多いリーダーシップ。勿論持っているに越したことはないのですが、例え先天的に持っていなくても、それを構成するスキルを細分化して習得に必要な経験や努力をすることで、“後天的に身につけることができる”部分も実は多いのではないか、と考えています。

英語を学ぶときに、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングなど習得に必要なスキルの種類を分類して、それぞれの習得に必要なプログラムやトレーニングを組むように、リーダーシップや経営能力もまた因数分解によって、育成の対策ができるものなのでは、と考えています。

昔のような「オレの背中から学べ」の根性論では、上司の当たり外れや相性に依るところが多く、機会が均等に行き渡りませんが、できるだけ説明可能な形に言語化し、ロジカルなプログラムに整理すれば、より効率的かつスピーディーに優秀な若手を引き上げることができると思います

大変ありがたいことに、マネーフォワードは年々成長し、新規事業もどんどん増えていますので、リーダー育成が急務であるという、嬉しいけれど切実な事情があります。

当社でも、メンバーの経営能力やリーダーシップを育成するプログラム「Leadership Forward Program(以下LFP)」を独自につくって、リーダー候補となるメンバーに受講してもらっています。

(ちなみに、自ら学びたいと思わないと身につかないので、手挙げ制にしていて、実際やる気のある素晴らしいメンバーが受講してくれています。)

LFPでは、僕や経営陣の成功、失敗体験を披露しながら、リーダーシップの開発に役立つフレームワークを提示しています。

例えば、LFPでも伝えているフレームワークの一つ、「成功するリーダーの共通項6つ」。

これは、当社の社外取締役も務めてくださった御立尚資さん(元ボストン・コンサルティング・グループ日本代表)から教えていただいたものです。

漠然と捉えられがちな「リーダーシップ」を6つの力に因数分解することで、「リーダーシップのうち、自分は何ができていて何が足りないのか。これからどの力を強化すべきか」といった具体的な策がイメージしやすくなりませんか?

例えば2番目に挙げられる「判断力」を磨くにはどうしたらいいのか。実際にLFPの期間中に、メンバーから受けた質問です。

僕からは、「正しい意思決定をするために必要な情報を大量にインプットするし、意思決定を行い、後でその意思決定について振り返ること」。とお伝えしました。

インプットの方法は、人から話を聞いたり、本を読んだりと色々ありますが、とにかく情報や知識を入れることで、判断力はある程度のレベルまで引き上げられると思います。僕自身も20代の頃から、経営者の大先輩の本や、経営学などの本を色々読んで、貴重な体験に基づく智恵やフレームワークをインプットし、自分の意思決定に活かしてきました。情報の力や量が、意思決定の基盤にあるので、決して「センス」だけではないんです。つまり、勉強大事!経験大事!ってことになるわけですが(笑)。

3番目にある「EQ」はいわゆる「心の知能指数」と言われるもので、他人の感情を感じ取る力や自分の感情をコントロールする力など、人間理解に通じるスキルです。

僕もまだまだ勉強中ですが、リーダーは正しいことだけを言っても、チームは動かないなあと日々感じます。メンバー、一人ひとりが何を感じているのか、チームメンバーの気持ちをどうやって前向きに、モチベーションをあげるような状態にできるか。実際に人間が動くのは、そして、最後頑張ることができるのは、ある程度の合理性を超えれば、感情的な面だと思います。

そして、6つの中で最も継続が難しいのは6番目の「目標に向かって歩み続けるための原動力」かもしれません。いわゆる、パッションです。

つらいとき、しんどいとき、それでも投げ出さずにやり続ける熱源になるのは、やはり動機の強さ。

「エラくなりたい」「もっと稼ぎたい」といったような動機も勿論いいのですが、難しい課題にぶつかった時に、それだけの動機では、諦めてしまったり逃げてしまったりして、高い目標にはなかなか到達できない人が多いように感じます。苦しい時にでも、「なぜそれをやり遂げたいのか」という熱い思いを、内側に燃やし続られるかが重要かと思います。
 
また、最初は小さな火種であったとしても、周りに“可燃性”の仲間が集まってくると、火はどんどん大きくなります。

マネーフォワードの創業メンバー達もまさに、“可燃性”の仲間ばかりで、チームの火がどんどん大きくなっていく、そんな感覚でした。お互いに薪をくべ合い、大きな火を作っていけるようなチームに恵まれたら最高ですね!

加えて、これからのリーダーに必須と言われる「ビジョンを描く力」も、世の中で思われている以上に、後天的にも磨けるスキルだと思います。

「辻さんはビジョナリーなリーダーですね」とたまに言っていただけることがあり、それはそれでとても嬉しいのですが、ビジョンを描く力も最初から備わっていたわけではありません。

何十回、何百回も、目の前の相手になんとか理解していただこうと、自分の言葉で必死に伝えていくうちに、目指す未来が少しづつ明確になり、人にもうまく語れる力が少しずつ、ついてきた気がします。

もう一つ、僕がLFPに参加した若手リーダー候補のみんなにどうしても伝えたかったことがありました。

それは「リーダーは、現実を受け止めて、たとえ逃げ出す人がいても、最後まで踏ん張って、困難を超えていく覚悟を持ってほしい」ということ。

リーダーとなる人に対しては、常に多くの目線が向けられます

この人についていって、本当に大丈夫なんだろうか?
やりがいや学びを得られるのだろうか? 
この人を信じることは、本当に正解なのだろうか?

そんなシビアな目線に常にさられているのがリーダーです。そして、その現実から逃げてはいけないという危機感を僕はいつも抱いています。
 
誰にとっても一度きりの大事な人生。「本当にこのリーダーについていって、大丈夫なのか?」と、真剣に考えない人はいないと思います。

自分を顧みても、周りを見渡せば、マネーフォワードの他にも素晴らしい会社はたくさんありますし、優秀な人は引く手あまたです。

「果たして自分自身は、仲間に価値を感じてもらえるリーダーになれているか」という問いは、日々自分自身に問い続けなければいけないなと思っています。(辛い。。涙)

リーダーシップは、後天的に獲得できる部分が多い、と言いましたが、勿論決して簡単なわけではありません。時間はかかる部分もありますし、停滞する時期もあると思います。

でも、なかなか前に進めなかった人が、リーダーとしての覚悟を決めてブレイクスルーしたときの成長や迫力は、目を見張るものがあります。
また、自分自身もリーダーとして大きな結果を残せた時の充実感は計り知れません。

目の前のことに集中して、「すべては自分の責任だ。ここで、この仲間たちと、結果を出してやるぞ」と腹をくくった人は本当に強いなあ、と見ていておもいます

マネーフォワードは2,000人規模まで成長し、素晴らしいリーダー陣が益々必要になってきています。

そんな環境において、経営者である僕の役割は、多様な魅力あるリーダーが自分の持ち味を活かして、活躍、成長できる環境をつくることだと思っています。

日ごろから大事にしているMVVC(Mission/Vision/Values/Culture)を一層大事にしながら、「お金を前へ。人生をもっと前へ。」を合言葉に、同じ未来を目指せる仲間を増やしていきたいと願っています。

リーダーとして成長できる機会を求めている方、お待ちしています!


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