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ChatGPTの衝撃 ーー新しいテクノロジーがもたらすもの。

またすごいものが世の中に出てきました……。

「ChatGPT」、皆さんはもう試されたでしょうか?

ChatGPTとは、サム・アルトマン、イーロン・マスクを中心とした投資家たちが設立した研究機関「OpenAI」が開発した対話型AIチャットボットです。テキストで質問を打ち込むだけで瞬時に、機械学習による非常に精度の高い回答が、しかも会話として違和感のないごく自然な言語で返ってくることで、IT業界を中心に話題になっています。

2023年1月23日マイクロソフトは今後数年かけてOpenAIに投資し、「マイクロソフト製品にChatGPTを基本搭載する」と発表しました。その投資総額は、1兆円(100億ドル)を超える規模!!と噂されています。

これが実現すると、Office等にAIが搭載されるのはもちろんのこと、アカウントに紐づくデータとAIを組み合わせ、個人ごとに最適化された全く新しい体験も生まれてくるかもしれません。検索すら不要になる時代が、近い将来実現するかもしれません。

僕もさっそく触ってみたのですが、いやー、驚き、そして感動しました。抽象的な質問に対しても、ある程度の精度の回答がすぐに返ってくる

いままで、検索で自分で探していたものが、文章として返ってきますし、機械学習が実用レベルでここまで進んできたのかー! と。

さらには、「テキストを打ったら、すぐにテキストで回答が返る」という誰にとっても分かりやすいシンプルなUIが素晴らしいなと。

この「分かりやすさ」により、多くの人にとって今まで漠然とした概念でしかなかったAIが、一気に浸透するのでは、と直感しました

この感じ、いつかの何かに似ているなと思ったのですが、25年くらい前に「Eメール」が登場してきた時の「インターネット」との関係性に似ているのかもしれません。

すでに誕生し、一部の人の間では広がりつつあったインターネットの利便性を誰にとっても分かりやすい形で提示した一つのアプリケーションがEメールだったかと思います。「インターネットって、こういう便利なものにつながるのか!」と皆が驚き、触ってみて、その価値を実感して、その後はご存知の通り、今や生活の隅々にまで浸透し、なくてはならないものに進化していきました。

「怪しくて、よく分からないもの」から「面白くて、便利なもの」へと変わる転換点。あの時と同じようなインパクトじゃないかなあと、僕は勝手に感じて、ワクワクしています。

久しぶりにとんでもない波が来たなぁ〜、めっちゃ面白いな〜と興奮するあまり、いつもは1カ月に1回ペースで書いているnoteを早く書いてしまいました。しかも、日々多くの話題が出てきているので、書いている時からリリースまでの間に、このnoteも陳腐化しているリスクがあります(笑)

先週末も、起業家の仲間や先輩たちとひとしきりこの話題で盛り上がり、自分たちのサービスにどう活かせるのか、人間の生活はどう変わっていくのかを議論していたところです。

一方で、「人間の仕事を奪うんじゃないか」というネガティブな声もちらほら聞かれます。

これほど高精度なAIプロダクトが登場したことに、あたかも自分達の存在を脅かされるような恐れを抱く気持ちも分かります。人間は、未知のものに出会うと、その対象をどう処理していいかわからないので、まず恐れ、恐怖を抱きます。

実際のところ、ビジネスにおいて、あるドメイン単位では、ドメインそのものが吹き飛ばされるくらいのパワーがあるかもしれません。

けれど、テクノロジーの進化は不可逆であり、誰も止めることはできません。
だとしたら、それを恐れ、ネガティブにとらえるより、むしろ、「これをどう面白く使いこなすか?」と知恵を絞るほうがずっと前向きで楽しいのではと思います。

シンプルに「どちらが便利か?」と考えれば、「この波に乗る、この新しいテクノロジーを便利に使いこなす!」という選択肢を取るのが賢明だと思いますし、ワクワクします

振り返れば10年前、マネーフォワードの創業期に会計システムのクラウド化に挑戦し始めた頃も、なかなかの逆風でした。

「きっと便利になり、生産性を上げて、競争力を高めることに貢献できます」と説明しながら会計事務所様を回っていましたが、「セキュリティが心配。そんなことをされたら、私たちの仕事がなくなるじゃないか」というお叱りを受け、トボトボと帰る日をどれだけ繰り返したことか……。

それでもあの時、僕たちを信じ、新しいテクノロジーを恐れず、未来の可能性を信じて、導入を決めてくださった先生方は少なからずいらっしゃいました

そして「新しい波に乗る、便利なツールを使いこなす」という決意をしてくださった会計事務所様の多くは、今や大きく業績を伸ばしておられます。

当時は今後どうなるか、100%の確信をもつことはできていませんでしたが、10年かけてこの目で見てきた現実があるので、僕も当時の先生方のように変化にしなやかに対応できる自分でありたいなと思います。

マネーフォワードの社内でもChatGPTは瞬時に話題になり、さっそく色々な使い方を試してみたり、中には使い道を検証したメモを送ってくれたメンバーがいて、いろいろな可能性が見えてきて非常に面白いです。

例えば、カスタマーサポートひとつをとっても、営業時間外でも質問に即回答できたり、対人間には遠慮して聞きづらいことまでお客様が質問できたりと、サービスの質向上のために活用度は高そうです。他にも、高齢者向けコミュニケーション、専属家庭教師、英会話学習など、新しいサービスがこれからどんどん出てくるでしょう。


さて、これを当社でどう生かすべきか? CEOとしてすぐに答えを出すべきなのですが、すぐに答えが出なかったので、ChatGPTに聞いてみました(笑)。

出所:米OpenAI、ChatGPTに尋ねた回答例

なるほどー。まだ一般論、抽象論に寄っている印象はありますが、日本語の精度も素晴らしいですよね(やり始めると楽しくて時間を忘れるのでご注意ください)。

今は質問する側の「問いを立てる力」が求められる段階ですし、精度もまだまだな点がありますが、そのうちそれもこなれてくるでしょう。

マクロのビジネス予測では、今後は情報獲得競争が進むだろうと言われています。このような圧倒的な性能を持ったモデルが登場したことで、独自データやモデルを持たないサービスは苦戦を強いられるという見方です。詳しくは、米国のベンチャーキャピタルa16zの記事と合わせて、久保田雅也さんの考察を読んでいただくとわかりやすいです。

一方で、「ログイン後」に扱えるクローズドの情報は独自データとして今後も活用できる価値があり、AIを組み合わせることで顧客満足度を高められる可能性はぐんと広がります

例えば、自社のクラウド会計システムを立ち上げて、対話AIに「売り上げを上げるにはどうしたら?」と聞くとすぐ答えが返ってくるなど、高度にカスタマイズされたサービスがあると助かる経営者は多いはずです。

マネーフォワードでも、Money Forward LabとAI推進部で研究を進めていきますので、我こそはというエンジニアの方、プロダクトを作りたい方は、ぜひお待ちしています!

といいながらも、今のChatGPTや技術ではできないことも、まだまだ数多くあります。(今のトレーニングデータは2021年までのものなので最新のものには対応していないようです)。ただ、これからこういった課題は、技術の進化により解決されどんどんできることが増えていくでしょう。

これから先、答えがすでにあるものはより早く正確に自動で導き出せる時代が到来することは間違いありません。詰め込み式教育が意味をもたなくなるように、正しい答えをインプットして、アウトプットするだけの行為はどんどん価値がなくなっていくと思います。

では、人間に残される活動は何になるのか? ChatGPTが最後まで答えを出せない問いは何なのか?

このテーマは、これから色々なところで議論されていくことだと思います。

AIは今、下記のような段階を経て進化していくと言われている様です。

・ANI(狭いAI、特化型人工知能、Artificial narrow intelligence )
特定のタスクを実行するために設計されたAI

・AGI(汎用人工知能、Artificial General iIntelligence)
人間ができる全ての知的タスクを実行でき、独立した思考や意思決定を発揮できるAI

・ASI(人工超知能、Artificial Super Intelligence)
あらゆる分野で人間を超える知性と能力を持つAI

ANIの時代であれば、まだまだAIへの指示だしなど行動の起点は人間でしかできず、感情を伴うコミュニケーションや思考の深さなど、人間を人間たらしめるものになっている部分は、AIにはできない領域かと思います。

「ピュアな主観」「自分は何をしたいのか? 何が好きなのか?」

そんな心の奥にしかない答えに向き合うことは、しばらくは人間だけができることになるんでしょうか?

さらに、AGI レベルの時代が到来した時は、AGIが他のAGIを使ったり、ブラウザなど人間が利用可能なあらゆるツールを使ったりして、主体的に行動を起こす未来も来るかもしれません。

そうすると、自ら行動を起こすのが、果たして未来において人間の専売特許になりうるのかわからなくなるでしょう。

さらにASIレベルの時代になると、人間を支配するAIがでてくるSFの世界が見えてきます。

直感や想像力(各種生成AI) など人間にしかできないと思われていた事項がすごいスピードで実現していく今では、むしろ脳の活動よりも身体性生死 など動物であるアイデンティティが人間とAIの差になるのかもしれません。

いずれにせよ、今考えていることより、よりすごい未来がやってくることは間違いなさそうです。テクノロジーを使って、現状の課題を解決し、もっと前向きな未来を実現していきたいですね。


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