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そのダンベルはいつか必ず持ち上がる ~在宅勤務が続く、新卒のみんなに今伝えたいこと~

『焦りや不安で、仕事が楽しいと感じられるときがなかなかないです。
どういうときに仕事が楽しいと感じられるようになるものですか。』
『成長実感はどのようなときに感じるものですか。』
『毎日忙しくて勉強の時間が見つけられません。いつ勉強していますか。』
『やりたいことが見つかりません。やりたいことはどうやって見つけましたか。』
先日行ったセッションで、新卒メンバーから僕に寄せられた質問です。
新卒の頃、みなさんはどんな悩みをお持ちでしたか。

同期の振り見て、我が振り直せ!ができない今年の新卒

緊急事態宣言の延長により在宅勤務が続きますが、さまざまな工夫の甲斐あって、この一年で在宅勤務の生活に慣れた方も多いと思います。マネーフォワードのメンバーからも肯定的な意見をよく聞きます。僕も在宅勤務のよさを実感している一人です。

その一方で、新卒のメンバーのように、まだ仕事を始めたばかりの人や、職場に入ったばかりの人にとって、在宅勤務は、過酷ともいえる一面があると僕は感じています。

出社が原則の今までの働き方であれば、隣の先輩の仕事を真似してみたり、同期が隣で先輩からアドバイスもらっているのを聞いて学んだり、世話好きな先輩が声をかけてくれたりと、出社しているからこその学びの機会が多くあったはずです。しかし、在宅勤務になって、こうしたある種受動的に情報を取得する機会が少なくなってしまいました。

新卒メンバーと社長が直接つながるセッションを企画

そのため、初めての社会人生活を在宅勤務で過ごしている、新卒のメンバーがこの一年を通じてどんなことを感じているのか、どういう状況にあるのか、ずっと気にかけてきました。

今回、彼らも、入社からもうすぐ一年を迎えることもあり、実際に顔を見て話せる(オンラインですが)セッションを行うことにしました。

【セッションの概要】
・新卒メンバーには、事前に、これまでの振返り・抱負・悩み・尊敬する先輩・相談等を記載したレポートを出してもらい、各自の状況を事前に把握させてもらいました。
・レポートの相談内容やその場で出た質問に僕が回答するような形でセッションをすることにしました。
・幾つかのチームに分けて、1チーム1時間半のセッションとしました。

転んだだけ、上手くなる。聞く回数が多いだけ、賢くなれる。

もらった質問の中でも特に多かったのは、冒頭に記載した内容でした。みんなの悩みは、僕が新卒当時悩んでいたこととまったく同じでした。僕も、とにかく焦っていたんです。

一方で、当時の僕と違って、周囲の先輩に相談できていないメンバーが多いようでした。マネーフォワードでは、ChatworkやSlackをコミュニケーションツールとして導入しているので、メールや電話に比べると比較的相談しやすい環境ではあるのですが、それでも隣の席の先輩にちょっと聞いてみたり、トイレでバッタリ会った先輩に話しかけるのとはやっぱり違います。

恥ずかしいとか、遠慮する気持ちは、とてもよく分かるのですが、先輩も新卒の時は、同じような悩みに直面し乗り越えてきたはずです。ですので、悩みに対する答えを知っている人が近くにいるなら聞いて学んだ方がとにかく早い!そして聞く相手、学ぶべき先輩がいるというのはとても恵まれた環境ですので、これを活かさない手はないと思うんです。

創業からしばらく、仲間はたくさんいたけれど、相談できる先輩というのが社内にいなかった僕は特にこのことを強く感じます。まさに「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」です。

新卒メンバーに周囲の先輩にぜひ相談してみてほしいということを伝えつつ、グループ全社員が参加しているオンライン朝会で、先輩社員のみんなには、新卒メンバーとの積極的なコミュニケーションを是非図ってほしいということを伝えました。

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▲当社の朝会風景

新卒特権「先輩との飲み会」を延長

また「新卒時代は、先輩に飲み会で奢ってもらえるのに、今年はそのような機会がないので、僕たち損しています!」という声もありました(笑)。

これは確かにその通りだなあと思いました。奢ってもらえるというのもそうですが、飲み会の場は、フランクに色々な話を聞いたり、職場ではなかなか相談できないようなトピックを話したりするとてもよい機会でしたよね。

僕もよく先輩や上司に飲みに連れて行ってもらって、色々教えてもらいました。ある飲み会でつい仕事の愚痴を言っていたら、「辻、飲み会で仕事の愚痴は言うな。酒がまずくなる!飲み会で仕事の愚痴を言うようなつまらないビジネスパーソンになるな!」と怒られたこともありました(笑)。確かに、飲み会は楽しくないと!と思いましたし、それ以来飲み会で愚痴は言わないと決めました。

マネーフォワードでは、新卒特権の延長?をしたいと思います(笑)。早く、コロナが収束してみんなとリアルに飲みに行ける日を心待ちにしています。先輩のみんなも、afterコロナに、2年目、3年目になっている彼ら、彼女らを、ぜひ飲みに連れて行ってあげてください!

そのダンベルはいつか必ず持ち上がる

さて、そんな新卒メンバーの悩みに対する僕からの回答は「みんなの悩みや焦りは、とても健全な危機感なので、焦りすぎることはない。健全な危機感をバネに、今は目の前の仕事にフォーカスして、とにかくがむしゃらにやりきってほしい。ユーザーの方々に価値を届けることにフォーカスしてほしい。」ということでした。
ユーザーの方々と真摯に向き合い、お役に立つことこそが全てです。「顧客と市場を知っているのはただ一人、顧客本人」(ピーター・F・ドラッカー「創造する経営者」)というドラッガーの有名な言葉があります。

社内で議論したり、書籍を読んで勉強したりする時間よりも、ユーザーのみなさまとお話をする時間、お役に立つために取り組む時間こそが最も意味のある時間です。
ユーザーのみなさまの声を泥臭く聞きまわって、ユーザーの求めるニーズを知ってこそ、はじめて価値を届けられる人になれると思います。

*顧客と直接接点のない職種の方の場合は、ユーザーが社内のメンバーという場合もあります。例えば、僕は新卒の時に経理配属だったので、ユーザーは社内のメンバーと捉えていました。当時はあまりデジタル化されていなかったので、経費精算にしても、領収書を申請用紙にペタペタと貼って上長の承認印をもらって…という途方もない世界でした。その頃、体感した課題が『マネーフォワード クラウド』というクラウド型のバックオフィス業務の支援サービスのリリースにつながっています。スマートフォンのカメラで領収書を撮影することで経費精算できます。

僕は、昔のことは大体忘れてしまうのですが、マネックス証券の松本社長の下で働きだした頃の絶望感は鮮明に覚えています。
元から、自分とは違う、頭の出来が良すぎる人だと思うことで自分に言い訳をしていたのに、それに加えて、松本社長の毎日の圧倒的な努力の積み重ねを間近でみた時に、差が広がるばかりで、いつになったら追いつくんだろう、と途方にくれました。

それからは、振られた仕事はノーと言わずに、毎日「今日はがんばった。100%出し切った。」と思えるまでやろうと頑張りました。ちょっと美化された記憶かも知れませんが(笑)。

そのようにして、がむしゃらに働き、目の前の仕事で成果を出すと、周りの方々は実はよく見てくれて、もっと難易度の高くてやりがいのある仕事をさせてもらえます。その繰り返しの中で、まわりに認めてもらえたり、ユーザーの方の喜びの声が聞けたりして、自分自身も成長することができ、僕は仕事が楽しいと感じるようになってきました。

また、仕事を通じた成長は筋トレのようなものだと僕は思っています。
仕事をしていても、自分が成長できているかどうかはなかなか自分自身わからないもの。でも、今は持ち上げられないダンベルが、ある日いつの間にか持ち上げられるようになっていて、自分の成長に気付けるのではないでしょうか。

おわりに

僕は、36歳のときに、この繰り返しの中でラッキーにも自分がやりたいことが見つかって、マネーフォワードの創業に至りました。今回のセッションは、そんな記憶が蘇り、僕にとっても初心に立ち返るよい機会となりました。

そして、何よりみんなが一生懸命に仕事に取り組み、健全に悩み、そして在宅勤務下においてもめげずにがんばっている姿や成長を知れて、とても心強く思いました。
新卒のみなさんにとっても、少しでも意味のある時間になったのであれば、うれしいです。僕の答えは僕の経験でしかないので、ぜひ周りの先輩にも遠慮せず、恥ずかしがらずに相談してもらえればと思います

新しい働き方が定着しつつあります。
ユーザーのみなさまに価値を提供し続けていくために、どうコミュニケーションの量や質を担保していくのか、必ずしも在宅勤務のメリットを享受できない新卒メンバーのようなメンバーにとっても働きやすい環境をどう整えていくのか、これからも模索し続けたいと思います。

(当社の新しい働き方や、そのなかでのカルチャーの発信やインナーコミュニケーションの活性についての取り組みは、以下のnoteをぜひご覧ください。)


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