見出し画像

ミッション、ビジョンだけじゃない。会社経営には「スローガン」が必要だ

2024年が始まった!と思ったら、あっという間に、2月も中頃。 時が経つのは本当に早いですねー。

実は2023年の大晦日、スキーで大クラッシュをしてしまい、大打撲を負ったのですが、時間の経過と共にその怪我もすっかり良くなりました。(ちなみ2022年末には子供と鬼ごっこをして転倒し、肋骨を折ってしまいました。汗)

ということで、厄落としも無事?終わり、2024年も素敵な年になりそうですw(仕事には支障ありませんので、ご安心ください。今年はより健康管理には気をつけていきたいと思います。)

(写真は、大クラッシュのあと、嬉しそうに友達が撮ってくれたものです。)

マネーフォワードのスローガン

さて、今回は、「スローガン」について、書いてみたいと思います。
マネーフォワードでは、半期に1度、半期を振り返ると共に、次の半期に向けて、社員総会(Sokai All-Hands)を開催しているのですが、その中のCEOパートで毎回「スローガン」を発表しています。

ミッションビジョンは、「会社が追い求める社会への使命や目指すべき未来」ですが、「スローガン」は、それを達成していくために、この半期はどういったことにフォーカスすべきなのか、ということを分かりやすく伝え、全社員がそこにフォーカスしていくためのものです。

会社の成長ステージの変化と、それに伴う組織課題の中身に応じて、「今、大事なのはこれだぞ!」とベクトルを示して導くリーダーシップかな、と思っていて、2017年から取り組んでいますので、かれこれ、もう6、7年になります。

導入を決めた直接のきっかけは、サイバーエージェント創業者の藤田さんが語っているこの記事を読んだこと。

さすが藤田さんだなぁ〜と感動して、お手本にさせていただきました(単純でスミマセン!良いお手本は積極的にすぐに真似する主義です。藤田さん、貴重な知見のシェアありがとうございます!)。

初めてスローガンを作った2016年から17年にかけての時期は、「上場」という株式会社としての大きなジャンプアップに挑んだタイミングでもありました。

その前後で社員数は一気に増え、また、社員の入れ替わりも激しく、それまでなかった組織上の問題もあちこちで発生。ゆえに、新たに入ってきてくれたメンバーも含めて「目線合わせ」の必要性をヒシヒシと感じていた頃で、課題を共有し、課題解決にみんなでチャレンジしたい、みんなの「共通言語」を持ちたい、という想いから始まりました。

MVVCは一度決めたらしばらく変えることはない、中長期でみんなで持ち続けるキーワードですが、スローガンはその時々の組織の状況に合わせて、タイムリーな共通言語を掲げるもの。

ということは、過去のスローガンをふり返ると、マネーフォワードがたどった「課題の歴史」を理解できるかもしれません。また、藤田さんがシェアしてくださったように、次世代の経営者の皆さんの何か参考になるかもしれないので、今まで外部にはあまり発表してなかったのですが、シェアさせていただければと思います。

<マネーフォワードの「スローガン」の変遷と一言解説>

変遷がわかるように、当社の半期の売り上げ(左軸)と社員数(右軸)をグラフに、その時期ごとのスローガンを一覧表にしてみました。

2017年上期「大攻勢」
2017年下期「勝負所」

このあたりは、上場に向けて気合いを入れまくっていますね。最初の2年は、僕一人で直感的にスローガンを決めていたので、ストレート、かつちょっと圧が強い、暑苦しい感じの言葉のような気がします。

2018年上期「さあ、はじめよう」
2018年下期「感動を届けよう」

2017年9月に果たした上場を「ゴール」ではなく「新たなスタート」と捉え、初心に返って、プロダクトづくり、カスタマーサポートなど含め、ユーザーの皆さんにしっかりと価値を届けよう!ユーザーさんの期待を超えて、感動を届けていこう!上場というハードルを無事越えることができて、さあ、本番は今からだ!というメッセージを込めています。

2019年上期「まず、動け。」
2019年下期「やりきる!!」

やや強めの言葉に変わり、特に上期のスローガンはそれまでになかった命令調になっています。この頃に僕が感じていた課題は、人数が増えて、色々議論するだけで、アクションに移るスピートが遅くなっているという危機感から生まれた言葉で、「目標達成へのコミットメント」や「メンバー一人あたり生産性の向上」がテーマでした。

2020年上期「アクセル全開!」
2020年下期「ガンガンいこうぜ」

LINEさんやヤフーさんの経営統合が発表されるなど、メガIT会社がダイナミックな意思決定をしていた背景から、「スピード感のある意思決定」の重要性が増したのがこの頃。スローガンにも「1分1秒でも速く!」と焦る僕の本心が見え隠れしてます。

また、2020年は新型コロナウイルスによる戦略修正を強いられた年。下期スローガンの「ガンガンいこうぜ」には、正解が見えない混迷の時期でも、とにかく明るく前へ進もう!という思いを込めたのを覚えています。

2021年上期「BEYOND●●(●●を超えて行こう)」
2021年下期「うれしい体験を届けよう」

長期化するコロナ禍の影響で、リモートワークなど「新しい日常」が定着してきた頃でした。対面でのコミュニケーションが減る条件下でのチームワークや個人の能力開発について深く思考した結果、メンバーをForwardしていこうという想いで「People Forward本部」立ち上げたのは2021年のこと。これまでの固定観念を軽やかに乗り越えて、社会を明るい方へと前に進めていこう!というメッセージが込められています。

2022年上期「熱をこめる」
2022年下期「本物だけが生き残る」

コロナ禍で社会全体のデジタライゼーションが一気に進み、ビジネス環境の変化が加速。多くのプレーヤーが登場し、淘汰も進む中、「ユーザーに本当の価値を届けることができる、本物として生き残れる存在になろう」と訴えかけました。

2023年上期「もっといけるっしょ!(Aim Higher!)」
2023年下期「On-site, Insight」

メンバーのグローバル化が進んだことで、直近1年のスローガンは英語表記に。下期スローガンの「On-site, Insight」は、CDO(Chief Design Officer)のセルジオさんと一緒に考えたもの。外出や移動の制限が緩和された社会の変化を受け、「ユーザーに会い、ユーザーを知る機会をたくさん持つことで、ユーザーが求める顕在、潜在ニーズを探り当てよう!」と呼びかけました。

こんなふうに7年分のスローガンをふり返ってみると、その時々の社会の状況や会社の成長に伴う課題の変化が面白いほど表れているものですね。

半年ごとに、経営環境や社内の状況を見渡しながら「今のマネーフォワードにとって大事なことは?」とじっくり考える機会を持つことは、僕にとっても非常に意味のあるルーティンとして定着しています。

スローガンの決め方についても、最初は僕が一人で考えていた(発表の当日にひらめいたり……)のですが、だんだんとチームで丁寧に議論をしたりするプロセスに変わりました。今はCDOのセルジオさん率いるデザインチームのクリエイティビティを大いに発揮してもらっています。

スローガンの目的は会社全体のベクトル合わせですが、押し付けにならない表現に整えることも重要です。例えば、「ユーザーに会いに行こう!」より、「On-site, Insight」のほうが受け入れやすく、かつ韻を踏む語感でより印象に残るんじゃないかと思います。

また、せっかく決めたスローガンを誰も活用してくれなかったら寂しく意味がないので、みんなが日常で使いやす言葉にすることも大切です。

ありがたいことに、マネーフォワードのメンバーは発表直後からすぐに反応してくれて、発表中にもかかわらず、すぐに社内チャットツールのSlackでスローガンの文言を使ったスタンプを量産してくれて、毎回嬉しくなります。

2024年上期のスローガン


ということで、2024年上期のスローガンですが、

「執着心」(Shuchaku - Shin) 

にしてみました。

目の前のユーザーさん一人一人にフォーカスすること。
どうすれば貢献できるかを、考え抜き実行していこう」

という想いが込められています。

このスローガンを胸に、この半期もユーザーさんに真摯に向き合い、貢献していきたいと思います。
皆様、引き続きどうぞご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?