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考えて、試して、ふり返る、そしてまた考える。トップアスリート・伊達公子さんからの学び。

いやー、痺れました!個人的に、とてもとても幸せな時間でした。

世界のトップステージで戦ってきた人は違うなと、心から納得、感動しました。

テニス選手の伊達公子さんのことです。

アスリーボ代表の金沢景敏さんが運営するアスリート支援プロジェクト「AthTAG」の企画によるイベントで、僕がファシリテーションをする形で伊達さんと対談する機会をいただき、数日たっても、今もおさまらぬ学びと興奮のままにこのnoteを書いております。

中学以来のテニス好きの僕にとっては、嬉し過ぎる、幸運すぎる、またとないチャンスでしたし、それはもうずっと聞きたいことを、根掘り葉掘り聞かせていただきました。

僕がここで説明するまでもありませんが、伊達公子さんといえば、アジア出身の女子テニス選手として、史上初めてシングルス世界ランキングトップ10入り、日本女子選手初の全仏オープンシングルスベスト4・ウィンブルドンシングルスベスト4進出者。世界4大大会(グランドスラム)での女子シングルスベスト8を6回も果たしている超一流選手。この記録は日本女子選手の歴代最多記録です。

当時、圧倒的世界No.1だったグラフにも勝利するなど全盛期を迎えられていましたが、なんと世界ランキング8位で引退、その後37才で競技に復帰し、46才!!まで現役生活をまっとうされました。

日本人として、当時誰も見たことのない世界を切り開いた伊達さんに、僕が聞きたかったテーマはシンプル。

なぜ、伊達さんは世界で勝てたのか?なぜ、日本女子選手で初めて世界4位にまで上り詰めることができたのか?」です。

SaaS×Fintech企業の経営は、テニスとはまったく異なる競技ではありますが、「世界で勝つ」という域に達するために必要な思考や行動には、きっと共通点があるはずです。

伊達さんのお話は、僕の期待を大きく超えるもので、共感・感嘆・リスペクトの嵐でした。

そして、同時に「あー、自分はまだまだだな。やるべきこと、やれることは、まだまだたくさんあるな」と背筋が伸び、圧倒的な、しかし爽快な敗北感に浸ることができました(自分の“伸びしろ”を確認できて幸せです。まだまだやれる)。

対談はAhtTAGの会員様向けの非公開コンテンツでしたが、「貴重な学びの一部だけでも、皆さんにお裾分けできないでしょうか」と伊達さん、金沢さんにご相談したところ、快くOKをいただけました(ありがとうございます!!)。

僕の視点・解釈によるものですので、多少偏っているかもしれませんが、以下、「世界を相手に戦ってきた伊達公子さんから辻が勝手に学んだ、成果を生む思考と行動」のポイントを、シェアしたいと思います。

<世界を相手に戦ってきた伊達公子さんから辻が学んだ、成果を生む思考と行動>

1 目標設定と、ふり返りと試行錯誤を繰り返す

まず、目標を短期のものと長期のもので2つ設定し、その目標を達成するためのプロセスを逆算し、細かく日々の練習メニューまで策定する。
そして、それを日々コツコツと徹底的に、妥協せず行う。

この点は、まさに経営と相通ずるところがありますが、お話ししていて、目標設定のプロセスの解像度がめちゃくちゃ高いなと感じました。

さらに、勝つために何が必要だったのか、勝ったとしても、もっと良い勝ち方はなかったのか、伊達さんは試合の後には必ずふり返り、内省を深めてきたのだそうです。

前例がないほどの高いレベルを目指すから、目標達成の方法は自分で考えるしかない。自分で仮説を立て、試してみて、ふり返る。この繰り返しをひたすら回していくしかなかったのだと教えてくださいました。

今はプレー中の映像をスマホで録ってすぐに確認できる時代ですが、伊達さんの現役時代の大半はスマホがなかった時代。ではどうやってふり返るのかというと、驚くべきことに、伊達さんの頭にはプレー中のワンプレーワンプレーの記憶がしっかりと脳内に残っているのだそうです。

「あのときに、どうしてあの位置にクロスを打ったのか」など失敗に向き合い、二度と同じ失敗をしないように考え続けてきたのだと。失敗自体はネガティブではなく、怖いものでもない、むしろ次の成功をつかむステップ、学びであるという徹底した考え方でした。

そして、例え成功したショットだとしても、常に考えて、色々違うショットをあえて打ちに行っていたとのこと。試行錯誤の回数と、そこからの学び、そしてその実践のPDCAサイクルが異常に速く、多いなと言う印象を受けました。 

2 徹底した自責

さすが前人未到の記録を打ち立てた伊達さん。「誰かに教えてもらおう。導いてもらおう」といった甘えの発想は一切なかったようです。

どんな状況下であっても、うまくいかなかったときは全て自分のせいだと考える。眠れないほど悔しい夜も数えられないほど過ごしてきたそうですが、常に自分の中に答えはあると信じて考え続けるからこそ、自分を超え続けられたのでしょう。

また、それ故に自分の感覚を信じる、という点も圧倒的に強くて、コーチの言うことなどを一般的には信じがちですが、自分のことは自分が一番理解している、と言う意識のもと、自分の日々の感覚を理解し、それにあった練習メニューや休養を自分で考案し、行っていたとのこと。

そして、自分が決めた以上は、「何がなんでも絶対やり切る」という覚悟。

「他人は騙せても、自分は騙せないんです」という言葉は特に深く刺さりました。

3 プライオリティがブレない

結果を出すためには、それが可能になる生活を維持するのも重要なファクター。

伊達さんはテニスの練習に打ち込むために1日のスケジュールを設計。ただ、伊達さんも人間なので、楽しそうな誘いなどが来たら行きたくなるなど、どうしても甘くなってしまいます。なので、できるだけ誘い自体が来ないように、飲み会などの目標達成への可能性が下がってしまうような誘いが舞い込まない環境づくりを心がけていたそうです。

勝つために今の自分がやるべきことは何なのか。

圧倒的な成果を支えたのは、目の前の行動に真摯に向き合う積み重ねがあったのだと納得しました。ストイックな姿勢は、今、日本中を沸かせているスーパースター大谷翔平選手にも重ね合わせられる気がします。

4 プレッシャーを味方にする

18歳でプロになって、25歳で世界ランキング4位に。絶頂期に惜しまれつつ引退をし、37歳で復活してさらに約10年、現役プレーヤーとしてラケットを振る。

そのキャリアの中で経験した大舞台の数々で、プレッシャーを感じる場面はもちろんあったそうです。しかし、「プレッシャーが全く無ければ、力を発揮できない」とも。過度な緊張はよくないが、適度なストレスはポジティブに働くのだとおっしゃっていました。

ちなみに、「モチベーションが下がる、という感覚は理解できない。自分で決めたことをやっているのに、モチベーションが下がるなんて無い」とのことでした。

5 ユニークな武器をつくる

海外の強豪選手に体格では圧倒的に劣る中で、どうしたら勝てるのか。

普通の選手なら、体格差はどうしようもない、とあきらめるところですが、伊達さんは考えに考え抜いて「これだけは絶対に負けない」という強みとして、ご存知「ライジングショット」を磨くことに集中したそうです。

企業経営で競争優位性を作り出すためにも、ユニークポイントを磨くことはものすごくものすごく重要なことと同じですね。

以上、ほんの一部になりますが、僕の感動をシェアさせていただきました(マネーフォワードのメンバーにもぜひ伝えたかったので、さっそく社内にも共有しました)。

とにかく、考えて考えて考え続ける。考えたことを、コツコツとできるまで、チャレンジし続ける。結果を人のせいにせず、全て自分の責任として、反省し、次に活かす。

そのストイックさに圧倒されましたし、(ビジネスとスポーツで領域は違えど)「世界」に向けて勝負に挑む上で欠かせない姿勢を学ばせていただきました。

僕やマネーフォワードは、まだまだ足元にも及ばないレベルですが、世界のトップステージに立った伊達さんのお話に刺激を受け、日々の仕事のやり方を見直す良いきっかけになりました。

ただ、反省しながらも、一つうれしかったのは、伊達さんがやってきたことのすべてが、愚直でコツコツと積み重ねてきた努力の結果であったことです。

持って生まれた才能だけでなく、自身の努力によって能力を高めた結果が、多くの人を感動させる夢の舞台につながったのだという事実を確認できました。
 
経営も才能ではなく「能力」であると、僕は思います。

経営の能力については、普段の仕事の中で体系立てて習う機会はなかなかないので、「自分はリーダーに向いていない」と思い込んでいる人も少なからずいます。

でも、誰でも成長の芽はあると僕は思います。要は、経営能力を磨くための試行錯誤をいかに重ねられるかなのです。僕もいまだに試行錯誤だらけです。

経営能力を磨く試行錯誤のベースとなる“型”のようなものを提示することで、成長サイクルを早められるのではないか。

そう考え、マネーフォワードではリーダーシップ育成プログラム「Leadership Forward Program」を2021年から立ち上げ、「リーダーとしてのあり方、経営能力の言語化・体系化と継承」にもチャレンジしています。

リーダーシップについても、色々記載したいことはあるのですが、それはまたの機会に。

2023年の後半も、日々やるべきことにコツコツと向き合っていきたいと思います。

伊達さんのインスタとても素敵なので、ご興味ある方はぜひフォローください。貴重な機会、ありがとうございました!!

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