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映画「レミングたち」の覚書 | #12 宮垣貴宏

「レミングたち」でメインタイトルロゴをデザインをしてくれたのは、グラフィックデザイナーの宮垣貴宏くん。同じ大学、学科の同級生でした。

ものづくり

彼は大学1年次の頃から同級生の中で、明らかに突出している1人でした。入学の時点でグラフィックデザイン、タイポグラフィ、モーショングラフィックス、CG、一発ギャグと、何が出来ないんだと言いたくなるくらいなんでも出来るクラスメイトでした。何より、僕から見れば既にとんでもなくすごい存在なのに、彼自身は謙虚にストイックに、現状に満足せずもっともっと上を目指していることが衝撃でした。同級生として友人としての付き合いはあれど、クリエイターとしては知識、技術、経験、教養、何をとっても驚くばかりで、先を見据えて活動している彼には、正直なところ最初から戦える気もしませんでした。それでも大学生活の4年間で間近で彼と接し、クオリティの高い作品とその制作過程の一端に触れることができたのは、とても運が良い経験だったと思います。

大学時代の集大成である映画「限界突破応援団」のオープニング映像も彼に作ってもらいました。導入部として、とてもワクワクする引き込まれる映像になったと思います。

文字のちから

今回、宮垣くんと後述する須藤くんに「レミングたち」全般のグラフィックを扱ってもらっていて、彼にはタイトルロゴを作ってもらいました。編集途中の本編と作品でやりたいことを説明して、それだけで作り上げてくれました。

スクリーンショット 2020-04-09 22.09.17

制作過程の画像です。

彼からはこのタイトルロゴについての意匠を、以下のように語ってくれました。
「古い生物図鑑や標本といった要素をビジュアルの共通言語として展開する中で、全体の佇まいとしては温度を持たないけれども、各文字に着目したときには重力や跳ね上がりといった登場人物と重なるような身体性を持った骨格にしました。さらにレタリングの痕跡を微かに残すことで、土の匂いを感じさせつつ、自身とその外界との間にある境界や摩擦を表現しています。」

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そしてこちらが完成形となりました。作品の意図を汲み取ったうえでとても美しいタイトルロゴを作ってもらえて、本当に気に入っています。このロゴだけでも自慢して回りたいくらいです。是非、ロゴにも注目した上で改めて予告編をご覧ください。

彼と須藤くんが作るものを見て、なんとなく綺麗なもの、なんとなくかっこいいものではなく、全ての要素に説明がつく・意図があるということがビジュアルコミュニケーションを形作ると学びました。それは映像を作る上でも、撮影をする上でも十二分に意識しないとならないと感じます。

実はいまだに恐れ多い存在ですが、焼き鳥とビールを前にすると「うめえ」以外の語彙がなくなる姿を見て、そういえば同じ人間だったとホッとしています。

ちゃんと仕事でいつかご一緒できる機会があったときに、彼の足を引っ張らないだけのものを撮れるよう、精進します。


次は、須藤史貴くんについてです。


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