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水原一平被告から見るアメリカのスポーツ・ギャンブル事情①

あなたは、スポーツ・ギャンブルの実際をご存知であろうか。私は、ギャンブルは全くと言ってしないのであるが、NFLやNBAの情報収集のため、ほぼ毎日と言っていいほど、アメリカのポッドキャストやYou Tubeを聴いたり観たりしている。

そのため、アメリカのスポーツ・ギャンブルについて、かなり詳しくなってしまった。まず、今回は、スポーツ・ギャンブルの仕組みについて、おさらいをしておきたい。

ここでは、分かりやすくするため、登場人物を3人としよう。顧客A、顧客B、胴元である。

さて、「胴元がどうして損をしないのか(儲けられるのか)?」という話から入るのが、一番分かりやすいので、そこから説明しよう。
胴元のビジネスは、いわゆる「さや抜き」である。不動産屋さんや証券会社のように、「手数料」を取るのがビジネスである。

少し、分かりにくいのは、契約書等で「手数料」が明示されないからである。それでは、どのように「さや抜き」をしているのであろうか。
天秤を考えていただきたい。左の皿に顧客Aのお金を、右の皿に顧客Bのお金を置くとする。そして、支点の位置が「かけ率」になる。

この左右の皿から、「手数料」をかすめ取るのが、胴元のビジネスである。
具体的に胴元の行動原理を説明すると、
1. 左右の皿に乗せる、顧客Aと顧客Bのお金を同じにする。
2. できるだけ、多くのお金を両方の皿にのせる
という2点である。

理由を説明すると、1.は、単純に自分のお金を出さなくていいという当たり前のことである。すなわち、Aの儲けはBに払わせるのである。2.は胴元のビジネスは「さや抜き」なので、お金の総量が多ければ多いほど儲かるということである。

以上の二つの行動原理をもとに、「かけ率」を設定するのである。そのため、一般的にギャンブルは、顧客と胴元が勝負している、と思われるかもしれないが、実は、スポーツベッティングは顧客同士で勝負しているのである。そして、胴元は自らの「さや抜き」を最大化するために「かけ率」を設定するのである。

このことを頭に入れて置かなければ、水原被告が2年間で、19,000回(1日あたり約25回)という膨大な賭けを行ったということを理解できないであろう。つまり、水原氏はおそらく自ら賭けの対象を探しに行っていたわけではなく、胴元が推してくる賭けにホイホイ乗って賭けを行っていた、と推測できるのである。

以上、大まかにスポーツ・ギャンブルの説明をした。次は、水原被告の事件がどのようなものであったかを、アメリカのニュース記事を参考にして紹介したい。私は、アメリカのESPNのサイトでニュースを追っていたので、日本のメディアでのこの事件の扱いは全く知らない。私の間違いについてはご容赦ください。



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