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真の「攻撃力」、「守備力」を数値化する。ーサッカーは勝点1から始まるゲーム

この記事では、従来の順位表の「得点数」、「失点数」「得失点差」からは分からない、そのチームの真の「攻撃力(得点力)」、「守備力(失点力)」を導き出し、「勝負強さ」というものを数値化したい。

下記は、J1リーグ第22節時点の順位表である。
勝点、得点、失点、得失点を抜き出したものである。
さて、この表から何が言えるだろうか。一番、疑問に思うのが、私がハイライトしたところであろう。

順位表1 J1 第22節

「得失点差」と「順位」が逆なのである。
Jリーグのレギュレーションでは、順位を決めるのに、⒈「勝点」、⒉ 勝点が並んだ場合は「得失点差」なので、「得失点差」がそのチームの強さを表す指標であるというのが大方の合意として言えるのではないだろうか。

すなわちは、この「得失点差」と「順位」が逆転しているという事象については、考察を加えなければならないということである。

そこで、下記コラムに書いたが、「サッカーは勝点1から始まるゲーム(以下、仮説と呼ぶ)」であるという仮説をたてると、この「得失点」と「順位」をうまくせつめいできる。

詳しくは、下記コラムを読んでほしいが、我々は、「仮説」に立つと、追加点の価値を0にできる結論に達した。つまり、2-0の試合については、1-0と戦績表に記入するのである。5-0の試合も1-0となる。この場合、勝ちチームの得点を減らし、負けチームの失点も減らしている。

この作業を行い戦績表に記録し、作ったのが、下の順位表である。

順位表2 J1 第22節 仮説より導出

見ていただきたいのは、まずは得失点差である。1位から20位まで、一つ例外があるが、きれいに並んでいると思う。これはあくまで「仮説」であるがこの結果により実証できたとして、考察していきたい。下表は、現実の順位表と、左に「仮説」から導出した順位表を並べたもので。

注目していただきたいのは、まず神戸の得点、実際に勝利に貢献したのは、現実の33点から10点引いた23点であったことが分かる。それに対して、ガンバは26点中22点を勝ちに結び付けている。

また、ガンバは負けに結び付いた失点は実際より少ない15点だったことが分かる。実際の順位表では、神戸とガンバは失点数が並んでいるが、「仮説」による「失点」を計算するとガンバの方が少ないのである。

これにより「得失点差」と「順位」が逆転しているという事象を、「勝ち負けに結び付いた得点というフィルター」を通して説明できたと思う。

次に、広島と福岡であるが、広島の得点を見てほしい、広島は38点中13点もの得点が勝ちに結び付いていないのである。
対して、福岡を見てほしい。福岡は、23点中21点を勝ちに結び付けている。また、福岡は守備も堅い。これが実際の勝点に結びついているのである。

さて、このコラムでは、各チーム真の「攻撃力(得点力)」、「守備力(失点力)」を導き出し、「勝負強さ」というものを数値化するのが、目標であった。それでは、下記がそのチームの「勝敗に結びついた得失点」を試合で割ったものである。

例えば、首位町田と3位ガンバを比べてみよう。失点数は同じであるが、町田の得点力が高いので、この順位になっている。
次に、町田と7位広島を比べてみよう。得点数は同じであるが、町田の方が失点数が低く、圧倒的に守備力が高いため、この順位差になっているのである。

そして、最後に「得失点差」であるが、これが大きければ大きいほど、勝負強いと考えて頂きたい。
このように「サッカーは勝点1から始まるゲーム」という仮説に立つと、得失点という得体の知れないものに、ある程度の合理性をもたらせるのである。

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