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「暑さ」の環境と再考


暑い

暑い。7月、日本の最高気温が、6地点で更新された。
山梨県、岐阜県、群馬県の2ヶ所、埼玉県の2ヶ所で、観測史上初の40度台を記録し、最高気温35度以上は200地点で観測された。

地球(日本)が安定した状態にあるとは到底言えない。明らかに、異常だ。私はデスクワーカーで、大体朝8時半に家を出る。開口一番、「暑い」。どれくらい同じことを思うがいるか、想像は容易だ。朝出勤する全ての人が、私に同意してくれると思う。願わくばテレワークにと。

これは「私たちが暑さに耐えられていない」という問題ではない。まさに「気候変動」の問題に直面している表れだ。日常の生活が、仰々しくも「文明の幸福」に大きな悪影響に晒されている。そして皆が知っている通り、地球が私たち「生命」にとって安定した状態であるためには、温室効果ガスを多く含まない大気が必要だ。先日、国連からは「地球温暖化」は終わり「地球沸騰化」へ移行した、と会見があった。私たちが「暑い」というのは当然だ。私たちは沸騰している。

https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2022/07/01/18177.html

日本気象協会

小さな視点

地球沸騰化が進まないためには、大気中の二酸化炭素の割合を抑える必要がある。安全な二酸化炭素濃度の限界値は約350ppmだ。
(PPMーparts per million の略で、百万分の1の割合。大気中の物質の濃度は「体積比率」で表記するので、「1㎥中にどれくらい」と考える。)

350ppmの限界値は、1987年にすでに超え、2020年には415ppmを超えた。地球は少なくとも過去300万年の間に、待機中にこれほど高濃度の二酸化炭素がある状態を経験していない。人間を原因とする二酸化炭素排出量の半分は、1990年からの30年間に排出されており、人類史上前例のない速さで大気は汚染された。結果、機能的でバランスの取れた地球の大気は限りのある天然資源となった。今日では、限られた資源が主にごく少数の人々によって使い果たされようとしている。このことを、「気候不正義」という。この問題は、国家や政治にとどまらず、すべての社会・生活が抱え、関与しているし、原因でもある。私たちは「暑い」と言い熱中症のリスクを抱えながら、過度に空調を利用し、二酸化炭素をどれくらい排出しているか知らない。

二酸化炭素排出量において日本は、中国・アメリカ・インド・ロシアに次ぐ5位だ。
グローバルノートー https://www.globalnote.jp/post-3235.html

大きな視点

世界人口のうち、最も裕福な10%が、残りの90%より多くの二酸化炭素を排出している。また平均すると、所得者の上位1%が1人あたり年間74トンを輩出している。一方、世界人口の50%を占める低所得者層の排出量は、1人あたり年間0.69トンである。二酸化炭素排出量の上位10カ国また、続く国は上位から先進国である。当然だが、上位の国ほど責任の重さの認識と、それを負うことが必要だ。

気候変動とともに起こる災害等を「気候危機」という。気候危機が起こらないよう、つまり地球沸騰化を防ぐ機能的な方法は唯一、「パリ協定」のみ。拘束力のない自発的な目標と目的が掲げられており、完全な公平性と道徳に基づいて締結された条約だ。

二酸化炭素(温室効果ガス)の排出量を減らすことが人類の主な目標の1つであることに、同意しない人は殆どいない。毎日、外に出るたびに「暑い」と言うのはハッキリと、嫌だ。しかし、現在の人類は排出量を減らすことを目標としていない。私たちは、エアコンを使い、車を運転しながら、それがどのくらい二酸化炭素を排出しているか知らない。

1992年、リオデジャネイロで開かれた国連地球サミットの直前、当時大統領であったブッシュは「アメリカの生活様式は交渉の対象ではない」と述べた。それ以来、大きな行動変化のないまま経過した結果、地球は沸騰した。

そこで人類は、排出量を減らす代わりに「解決策」を探し始めた。私たちがこれまでと同じ生活を続けるため、気候危機を解決できる策を。しかし、実現させるにはもう遅い。入手できる最良の化学報告書3つ、

  1. 1.5度の地球温暖化に関する政府間パネル特別報告書

  2. 国連環境計画による排出ギャップ報告書

  3. 政府間科学政策プラットフォームによる生物多様性と生態系サービスについての地球規模評価報告書

をまとめれば、気候と生態系の危機は、今日の財政システムと法制度の中ではもはや解決不可能なことがわかる。
(上記資料は、あらためて取り上げたい)

解決策

解決策は、あらゆる方面から考えられる。政策、経済、教育、産業、哲学、メディアなどだ。しかし、問題は各方面の戦略や方向性の策定時点で、判断の前提という部分で考えられなければならない。エシカル消費の常套文句は「環境にいい服を買って、着て、地球に貢献しよう」だが、それはファッションの流行の移り変わりがあまりにも早いことが消費者に対してマイナスなイメージを与え、売上が下がることを防ぐためのコピーライティングだ。
ファッションの問題を本当に解決するなら、廃棄される洋服の問題や、廃棄されない仕組みを作るべきだ。

あらゆる気候変動、気候危機の問題に私たちは関わっている。
関わっているとは、消費者であり、仕事上の取引があり、私たちの暮らす地域社会で事業が動いている。日本の二酸化炭素の65%はエネルギー転換部門(発電)と産業部門(鉄鋼業)から排出されている。また、運輸部門(自動車や航空)や家庭部門(照明や自家用車など)や業務部門(オフィスビルや店舗など)からの排出量も全体の25%を占める。発電、自動車、照明、オフィスビルに全く関わりのない人はいない。関わっているということは、利用しているということだ。しかし「何をやればいいのか」と考え、取組む人はほとんどいない。

必要なのは「何を考えるべきか・知るべきか」ではなく、「何を導入するか・取り組むか」ということだ。

ファーストステップ

気候危機の問題の処方箋を語る場合には、当事者性が欠かせない。もっと言えば、「当事者性が欠かせない」という事が言われることを「おかしい」と思わない場合、責任を果たす必要もわかっていないということになる。

しかし、私はあなたを当事者にして、かつ取り組みたくなる魔法の言葉を知っている。少しでも環境への責任を果たす気を持ちたければ、声に出して欲しい。

「わたしの使う1時間のエアコンと、毎日のお風呂がどれくらい二酸化炭素を出しているのだろう。」

声に出したあなたのために、この後何をしたらいいのか教えよう。
Googleで、「CO2 減らす 個人」と検索することだ。
1つ補足すると、テレビで「エアコンを使わない生活法」とか、「電気を使わない生活法」を放送している。これは解決策ではない。エアコンを使わない生活は体調を崩す危険もあるし、電気を使わないことは不可能だ。仕事もできない。常識の範囲内で行おう。

もう1つ、会社や組織では個人とは全く違う方法・解決策が必要だ。少しオフィスの電気を暗くすればいいというわけではない。その時は、Googleで「CO2 減らす 会社」と検索しよう。もし、あなたの会社が取り組んでいなければ人事や研修担当の人に「サステナビリティ研修って流行ってるんですね。ウチもやりましょう。」と言ってみよう。これは大きなステップをクリアできる可能性そのものだ。

私は今日も、玄関を一歩出て「暑い」と言った。日中は外に出たいと思えない。子供を持つ人は、尚更そう思うだろう。子供に何かあってからでは遅い。しかし、30年前はそのような状態で無かったことは事実だ。あらゆるところに関係し、寄与し、責任があるのは私たちだ。そのことを今一度認識して、エアコンの風の意味を感じたい。

あなたと取り組みたいと私は思う。

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