Amazonでバカな買い物をくりかえす自分に腹が立ったので
こんにちは、よすです。
買い物をする際、なるべく良いものを安く買いたいですよね。
ぼくも買い物をする際は、Amazonのクチコミや価格.comなどからあらゆる情報を集め、かしこい買い物をするように努めています。
1ヶ月前にも、考えに考えた末にこれ買っちゃいました。
ですが、ふと気がついたんです。
かしこい買い物をしたつもりが、むしろバカな買い物をしていたんじゃないか、と。
「かしこい買い物」とは?
かしこい買い物とは、より良いものをより安く買うことだという定義に意を唱える人はほとんどいないでしょう。ある商品について価格を比較して、肯定的な口コミが少ない商品よりも肯定的な口コミが多い商品を買うのは今や当たり前のネットリテラシーです。
ですが、実はその定義だけだと不十分なようです。
結論から言うと、以下の2つの条件が不足しているからです。
より少ない時間で決断する
買ったあとの満足度が高いものを買う
より少ない時間で決断する
「より少ない時間で決断する」とは、ある商品について情報収集をはじめたときから実際に買う時間までの時間がより少ないほうが、「かしこい買い物」だという意味です。(「買う」という決着が同じな場合)
例えば、書き心地がいいと噂のボールペンを買うために、情報収集に1時間かけて買った場合と、時間をかけずに衝動買いで買った場合で比べると、衝動買いで買った場合のほうが経済的な買い物をしたといえます。
なぜなら、情報収集に費やした時間も立派なコストだからです。
経済学では「機会費用」と呼ばれています。
これは心理学的な側面から見ても同じ結論になります。
僕たちは「情報を集めるほど賢明な判断ができる」と思い込みがちですが、科学的研究によってその思い込みは否定されています。たしかに情報収集は判断の質を高めますが、それには限界があるのです。
2004年から2017年の期間における情報過多研究を分析した研究によると、「情報量が増加すると、ある時点で情報処理能力の限界に達し、意思決定のパフォーマンスが低下し始める」ようです。
情報量と意思決定のパフォーマンスの関係は、一般的に逆U字型の曲線で表されます。つまり、情報量が少ない状態から情報量が増加するにつれてパフォーマンスは向上しますが、ある時点(閾値)を超えるとパフォーマンスは低下し始めます。
そして、この閾値は状況によって異なります。例えば、
時間的制約がある場合
情報の複雑性が高い場合
にその閾値は低くなります。
さらに、個人差も大きな要因です。経験や知識、モチベーションなどによって、情報処理能力や閾値は異なります。
したがって、情報収集は適度なところでやめて、買うか買わないかの判断をするのが良さそうです。
買ったあとの満足度が高いものを買う
だからといって、自分が欲しいと思ったものを即決で買えばかしこい買い物なのかというとそんな単純な話ではありません。
ずっと欲しかったものを買っても、時間が経つと感動が薄れていきますよね。「あんなに欲しかったものなのに、なんて自分は飽き性なんだ」と何度自己嫌悪したことか。
この現象を示す心理学研究がいくつかあります。
「快楽的適応(Hedonic Adaptation)」
「購買後の不協和(Post-purchase Dissonance)」
「経験(Experience)」vs「モノ(Material Goods)」
快楽的適応(Hedonic Adaptation)とは、ポジティブな出来事やネガティブな出来事に対する感情的反応が時間とともに弱まっていく心理的プロセスを指します。
快楽的適応に関する主要な研究論文の一つに、Brickman, Coates, & Janoff-Bulman (1978)の研究があります。この研究では、宝くじ当選者と事故で重傷を負った人々の幸福度を比較しました。
宝くじ当選者は当初、非常に高い幸福感を報告していましたが、時間が経つにつれて、その幸福感は徐々に低下し、当選していない人との差が小さくなりました。
反対に、事故で重傷を負った人々は、事故直後は幸福度が大きく低下しましたが、時間とともに幸福度が回復し、健常者との差がちぢまりました。
この研究は、人々が極端にポジティブな出来事やネガティブな出来事によくもわるくも適応する能力を持っていることを示唆しています。
つまり、「ずっと欲しかった念願のものを手に入れた」という感動は徐々に低下してしまうことは心理的に避けられないかもしれないということです。
購買後の不協和(Post-purchase Dissonance)は、消費者が商品やサービスを購入した後に経験する心理的な不快感を指します。これは特に衝動買いによって引き起こされる可能性が高いようです。
米国の大学生を対象に行われたGeorge & Yaoyuneyong (2010)の研究によって、衝動買いは、時間の経過とともに購買後の満足度や幸福感を低下させる可能性があることが示されています。
また、「経験」と「モノ」が幸福度に与える影響を比較した代表的な研究論文の一つに、Van Boven & Gilovich (2003)の "To Do or to Have? That Is the Question" があります。この研究は、幸福度に与える影響について、「経験的購入」と「物質的購入」を比較しました。
研究によると、経験的購入は物質的購入よりも幸福度に与える正の影響が大きいことが示されました。経験的購入は、社会的つながりを促進し、自己イメージに積極的に統合される傾向があります。例えば、「世界一周旅行をした」「チャリティーマラソンに参加した」といった経験は、個人の自己概念に深く結びつき、「冒険心のある人」「社会貢献に熱心な人」といったアイデンティティの一部になります。このように、経験は自己概念の中心的な部分になり、個人の肯定的なイメージに寄与する傾向があります。
反対に、物質的購入は、比較や適応、後悔などのネガティブな感情を引き起こしやすいです。先ほどの快楽的適応や購買後の不協和によって後悔しやすいことに加え、他人との比較によって自分の所有物が他者のものに劣ると感じた場合、嫉妬や劣等感を経験する可能性もあるためです。
なので、Amazonで高価な買い物をする前に、一度「これから買うものは、自分にとって貴重な経験や個人的な成長、意味のある人間関係に繋がるだろうか?」と冷静に問いなおすことが重要になりそうですね。
これからの買い物
結論として、かしこい買い物をする際に今後気をつけたいことをまとめます。
情報収集に時間をかけすぎない
時間はコストである
過度な情報収集は、意思決定のパフォーマンスを低下させる可能性がある
物欲を満たすことだけを追求しない
物を買った後の満足度は時間とともに低下する傾向がある
経験や個人的な成長、人間関係の構築などを重視する
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