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『流れ星』その2(全3話)

彼女が夜空に目を凝らし流れ星を探しているのが分かったから、僕はもう許されているはずなのに、肩に腕を回せば良いだけなのに、助手席のシートが遠く感じた。緊張しているのか待っているのか戸惑っているのか、黙って星々を見つめる彼女の横顔は妙に無気質で気高くて冷たくて、僕は掛ける言葉が見つからなくて、サザンオールスターズのMy Foreplay Music の軽快な音楽がヤケに挑発的に暗い車内にコダマして、「この曲が終わるまでには!」って思うけど、気後れがして固まって、90分テープが一回転して始めから再演奏を始めても、「次にこの曲が掛かったら!」って思うだけで曲が掛かると手が出ない。この辺の憶病さは今もそのままなんだけど、流れ星をキッカケにするのはもう絶対にしないはず。同じ曲をたぶん三度は聴いたから、少なくても三時間は経っていたはずで、この間二人は何も話さず黙って夜空を眺めていた。さすがに空気が重くなって、「なかなか流れないねぇ~」って僕が言うと、彼女は急に緊張が解けたみたいに、いつもの笑顔が蘇り、「ははっ!そうねえ~残念!フフッ…」って言いながら僕の方に顔を向けた。その時初めて目が合って、そしたら自然に手が伸びた。

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