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ぶんぶん手を振りながら、毎朝ちょっと泣きそうになる。 (育児日記#1)

朝、8時22分になったら近所の公園にバスがやってくる。娘の幼稚園の送迎バスのことだ。

朝起きて、ごはんを食べて、お着替えして、公園に向かって、バスに乗る。文字に書いてみると信じられないくらいシンプルなこの工程。

しかし、子どもには(誰にでも?)ご機嫌が悪いときもあるし、甘えたいときもある。お腹が痛いときもあるし、ちょっとだけ遊びたいときもある。

『決まった時間に置きて、用意して、バスに乗る』という、たったそれだけの毎朝のベルトコンベアは、なかなかスムーズには回ってくれないのだ。

わが家では、この『バスに乗る』という目標をばっちり達成するために、毎朝ドラマチックなどんちゃんお祭り騒ぎに汗を流している。

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ところで、お子さんがいない方は考えたことがないかもしれないが、みなさんは毎朝そこらじゅうを駆け巡っている「ママチャリ母ちゃん」もしくは「ママチャリ父ちゃん」の表情を見たことがあるだろうか。

うちは今でこそ、バス送迎になったのだけど(それでも四苦八苦しているが…)、ちょっと前までは主に妻が、ママチャリをぶんぶん鳴らして娘を乗せながら保育園へ爆走してくれていた。

僕はこのママチャリ族をみると「ブオォォォン!!」と聞こえないはずのエンジン音が聞こえてくるような気がして、よく振り返ってしまう。

たとえば最近は、こんなママチャリ族を見た。

ー おそらく計算ミスで厚手のスーツを着てきちゃって、炎天下を汗だくで爆走してひいひいなママチャリ父ちゃん(めっちゃわかる、家出る前って「寒いかも?」ってなぜか思うんだよねぇ)

ー 晴天の霹靂、超必殺技である「ママー!トイレ行きたい!」が炸裂。空を見上げながら白目を剥いているママチャリ母ちゃん(先週目撃したんだけど、まじで本当にトイレ連れてってあげようかと思った)

ー 遅刻しているのか、オフロードバイクばりに歩道と車道をシュンシュン!と素早く乗り降りしながら車より速く走っていくママチャリ母ちゃん(知る人ぞ知る、大抵の朝は車よりチャリのほうが速く目的地に着くのだよ)

ー 超優秀!子どもといっしょにアンパンマーチを歌いながら幸せそうに優雅でやわらかい風を楽しんいるママチャリパパ(これは月に1回くらい奇跡が起こったときの僕)

こうしていろんな親が、ドラマチックな朝を過ごしている。

僕ももちろんその一人なんだけど、本当にみんな頑張ってるな、生きているな、と毎朝なんかグッときてしまう。

名前も、年齢も、まったく知らない通りすがりの親たちと、まるでひとつのコミュニティでつながっているような気分になる。もう1回言うけど「みんな頑張ってんな」って勇気をもらえる。

だからぜひ皆さんも、毎朝駆け巡っているママチャリレーサーたちに注目してみてほしい。できれば箱根駅伝のように、心のなかで大きな歓声と拍手を贈ってあげてほしい。

自分で選んだ人生なんだから、決して「そういう親たちって偉いよな」って言いたい訳ではない。

僕が伝えたかったのは、

そんな親たち一人ひとりのドラマを想像すると元気もらえるからぜひ見てみてよ、っていう前向きなレコメンドだ。(ちなみに親側は必死の形相をしているから、まったく見られたくないと思ってるので要注意だ)

また明日も、ドラマチックな朝がやってくる。がんばろう、父ちゃん母ちゃん、そして子どもたち。

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幼稚園バスに乗り込むとき、
うちの娘は、なぜかよく手を振る。

今朝バスに乗ったときも、僕が見えなくなるまで満面の笑みで手を振ってくれていた。

僕はまだ近所のママ友たちに馴染んでいないから恥じらいがあるんだけど、思わず、両腕を頭上にあげてぶんぶんと手を振ってしまう。

ある日、理由を聞いてみると「パパが寂しそうだから」という仰天の答えが返ってきた。

「まじ?」
「その手のぶんぶん、パパのためだったの?」

なるほど、たしかにそうかもしれないな、と妙に納得した。

僕は、バタバタとドラマチックな朝の中で、自分で靴を履けるようになってたりとか、「帽子忘れてるよ」と忘れ物に気づいてくれたりとか、「急げー!」とダッシュするのが思ったより速かったりとか、そんな娘の成長シーンにいちいちセンチメンタルになってたかもしれない。

本気であと何日いっしょに居られるかなぁ、とかよく考えてしまう。

・・・そう考えると、いっしょにバスの窓越しにぶんぶん手を振っている時間がとってもエモく感じてきた。

必死に幼稚園へと見送る親と、親が寂しいだろうなと気遣って手を振っている娘の物語はなかなか面白そうだ。

ドラマチックな朝に、毎日の娘の成長に、置いてけぼりにされないよう、僕は親としてあしたを必死に生きていきたい。

そしてこの親子の記録を、これからもちょっとずつ綴っていきたい。

おわり

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