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⑦友はいるか【短編エッセイ】ハタチの私へ。人生計画
「明日、お葬式に来れますか」
とても優しいやつだった。
大学2年生の夏の終わりに、電話がかかってきた。おばさんというその女性は、友人の携帯電話に入っている番号に一つ一つ丁寧に電話を掛けている様子だった。
とても多くの人が来ていた。
高校の同級生もたくさんいた。私の卒業した高校は大学附属で9割がそのまま進学するのだけれど、一応テストがある。私とその友人は、そのテストの合格点に達しなかった。急遽、一般受験に切り替えるべく通った予備校で仲良くなった。
たまに、昔から知り合いだったのではないかという人に会うことがある。先祖が近いのか、前世で関係があったのか、不思議だ。彼との出会いもその一つだった。
お互い別々の大学へと進学したあとも、連絡を取り合いながら、よく遊んだ。
その彼が、亡くなった。自殺だった。
彼の顔を見た。
涙が止まらなかった。
なんでだよ、なにがあったんだよ、なんで相談してくれなかったんだよ。
何も答えてくれなかった。
棺を担いで、霊柩車にのせるまで、涙は止まらなかった。
「寿命だったのよ」
その後、大きな座敷の部屋に親族や親しい友人が集まった。電話をくれたおばさんが、私の様子をみて、いたたまれなくなったのか、そう言った。
当時の私は若く、言葉の真意がわからなかったので、聞き返した。すると、そう考えないと家族は辛くて堪えられなくなるし、本当の原因は本人しかわからないからと、私に丁寧に説明してくれた。
彼とは、まだまだ話したいことがあったし、そう簡単には理解できなかったが、数日して、こう考えるようになった。
彼の分まで、生きる。
とにかく、俺は生きてみる。
生きていたら、こんな楽しいことも、
生きていたら、こんな嬉しいことも、
生きていたら、こんな辛いことも、
生きていたら、あったよ。
と天国で伝えよう。
それからも、大事な友人ができた。
人生、山あり谷ありというが、調子の良いときは人は集まってくるもの。そして調子の良くないときに、人は離れていくものである。
しかし、その辛いときに、
痛みを共感してくれ、分けあってくれる、
何事もなかったように一緒に酒を飲んでくれる、そんな友人は、そんなに多くない。
本当の友人だけが残ることを知った。
辛いときに一緒にいてくれる
友人がいますか。
みんなが離れても残ってくれる
友人がいますか。
見返りを求めず助けてあげたいと思える
友人がいますか。
体や心の心配をしあえる
友人がいますか。
70歳になっても共に語り合いたいと思う
友人がいますか。
一生の友がいれば、人生は豊かになる。
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