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今までの参加レコーディングを振り返る  Vol.9 塩谷哲トリオ Eartheory 2007

今までの参加レコーディングを振り返る (年代など順不同です)
Vol.9 塩谷哲トリオ Eartheory 2007

 さて、身近で重要な面子のレコーディングが続いたので、ここは絶対に外せない塩谷哲トリオを取り上げます。

 このトリオ、活動も毎年ブルーノートで行うなど、定期的に演奏していたのですが、アルバムはたった1枚!どういうことやねん、という声も聞こえてきそうですね。

 僕がアメリカから帰国して、いや違う!その2年ぐらい前に、辛島トリオのツアーのために日本に一時帰国していた時に、新宿ピットインでの辛島さんのセッションの時にドラムが山木秀夫さんだった事がありました。
 この「今振り」シリーズ(勝手に命名)の1回目で触れた中川さんのレコーディングでもご一緒した山木さんですが、それ以来の共演。多分2001年ぐらい?
普段の辛島さんのトリオとは違った、いろんな惑星を巡る旅のような演奏が繰り広げられて、それはとてもいい感触だったのです。
 そんなご縁で、山木さんと意気投合したのですが、こちらはニューヨークに住む身。あれ、もっと前の出来事だったような気もしてきました。
とにかく、山木さんとは再会を誓ってアメリカに戻り、数年が経ち、僕は日本に帰国することに。それが2004年でした。
 2005年の新年早々に、山木秀夫セッションというのが新宿ピットインで催され、そこで塩谷哲くんと山木秀夫さんが揃うこととなりました。
このセッションは2日間行われ、各日にゲストが参加してくれました。
ゲストは確か三好三吉くんと小沼くんだったように思います。あ、山本拓夫くんも。
 とにかく楽しくて充実して、そしてまだ見ぬ世界に足を踏み入れたようなセッションでした。再会を誓ってそれぞれの持ち場に戻りました。

 と、ここで時をもっと戻します。

 塩谷くんとの出会いは僕が大学を卒業して上京してすぐの頃、六本木のアルフィーという日野元彦さんの奥様が経営されているライブハウスがあります。僕の東京の生活はそこから始まり、いろんなミュージシャンと巡り合わせてくれた恩ある場所。そのライブハウスで日野元彦さんが若手でトリオを組みたいということで抜擢されたのが僕と塩谷くんでした。おそらく1987年ごろの話です。僕と塩谷くんはギタリストの三好三吉くんのバンドで一緒に演奏していましたので当時僕は23歳、塩谷くんは21歳だったと思います。
 今思うと恥ずかしいぐらいの知識と実力でしたが、若さという武器でこのトリオに果敢にも挑戦。ライブも何度か行いました。毎日が厳しい指導だったこのトリオ、勉強になったこともたくさんありましたが、結局、何かが起こる前に解散となりました。
 しかし、そこで二人とも、当時はそんなにおしゃべりではなかったと記憶していますが、ウマがあったというのでしょうか、時折電話などでいろいろな相談をしたりする仲に。そしていよいよ塩谷哲トリオ結成、という話を持ちかけられた時にすでに僕は渡米することを決めていました。その時、もう少し早く言ってくれたら、なんて思いましたが、もう、心はアメリカにあったので、丁重に誘いを断ることに。

 その後、オルケスタ・デラルスのニューヨーク公演などでニューヨークで会ったりと、連絡は取り合っていましたが、今と違ってメールもSNSもない時代ですから、風の噂で聞く、という話の方が多かったと思います。とにかくそれからの活躍ぶりは友達としてとても誇らしいものでした。

 さて、またまた2005年の山木さんセッションの後の話になります。塩谷トリオは当時、凄い人気でベースは別の方が担当されていました。しかし山木セッションの後、塩谷くんから電話があり、トリオに参加して欲しいという事。20年近い前のトリオの誘いを覚えてくれていたのか、再びトリオへの誘いが来たことは、塩谷くんという人間を物語るエピソードの一つでもあります。長いスパンで物事を俯瞰的に見ることに長けているのかもしれません。そうでないこともありますが。

 そして、活動して間も無く2007年にアルバムのレコーディングをする事となりましたが、何せ、準備に時間のかかると業界では有名な塩谷くん、スタジオに着いてからも譜面とにらめっこ。録音がスタートするまでにまだ時間がかかるという事で山木さんとしばし談笑。まあ、そんな時間も音楽にとっては大切な時間なのです。

 そして生まれたのがこのアルバム「Eartheoly」です。地球という意味の「Earth」と理論という意味の「Theoly」を合わせた造語です。この世界の理論を表す壮大なタイトルで、彼の目指す世界が広い、ジャンルや音楽だけにとどまっていないということを物語っています。

 このアルバムでは僕の曲も「Hard Cookie Dance」と「To Be Stars」の2曲を取り上げてくれ、さらに僕の推薦曲「Ladies In Mercedez」も取り上げてくれ、僕のトリオへの関わりをより深くしてくれる心遣いに感謝です。

 その後における、僕と塩谷くんとのコラボはまだまだ続きますが、なぜこの後、トリオの活動は盛んだったのにアルバム制作がないのは本人に聞いてください。

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