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僕の音楽体験 Vol.2 ドナウ川のさざなみ

第2回 ドナウ川のさざ波

備忘録としての自分が触れて影響を受けてきた音楽を綴っていきます。(順番は年代順ではありません)

前回よりもさらに幼少の頃。
小学2年生の頃だったと思います。
3歳年上の姉がピアノを習っていました。
しかも先生がうちに来て教えてくれるというなんともいいご身分。
その頃、僕は特に音楽が好きだったとかでは無かったように思うのですが
姉がレッスンを受けている様子を側でずっと見ていたそうです。
何が面白かったのか記憶が定かではありませんが
とにかくじっと見てたそうです。
何ヶ月もその状態だったらしく、見かねた先生が
「陽介ちゃんも習う?」と聞いてきました。
母の事を飛ばしてのまさかのオファー。
僕はすぐに「うん!」と言ってレッスンがスタートしました。

それから程なくしてピアノの発表会があるという報告が。
有無を言わさず発表会に出ることが決まってしまい。
姉と一緒に連弾をする事に決定。
まだ習って間もないのにいきなり発表会とは無茶振りもいいところ。
しかも曲は「ドナウ川のさざ波」
伴奏パートを担当でしたが、途中なんとなくメロディーを弾く事になり
焦って練習した記憶があります。
しかもこの曲、知ってる方はわかると思いますが
主和音から始まらないで、いきなりのドミナントから。
ジャズでいうキャラバンみたいな曲です。
それが子供心にとっても不安な気持ちをかき立てられて
なんとも言えない異国の地にさらわれていく気持ちになるのです。
「赤い靴」髭の長いおじいさんが出てきて外国に連れて行かれ
そこでサーカスの玉乗りや綱渡りの訓練を受けている少年になった気分です。
(ほとんど子供の空想の世界なので悪しからず)
無事に発表会が終わったかどうかは記憶の彼方なので定かではありませんが
なんとなくその後も習い続ける事に。

そしてなんと発表会が終わるとどういう理由だったわかりませんが
先生が変わる事になりました。
今度の先生はいかにも音楽大学ピアノ科を卒業した感じのお姉様。
しかもかなり情熱的な艶やかな先生だったのです(子供の記憶の中です)。
毎週、何度かレッスンに来てもらって、ある日のこと。
その日も先生が来るのを姉と二人でピアノの前で待っていました。
ところが。
待てど暮らせど先生は来ない。
母が連絡を取っても連絡がつかない(当時は携帯電話というものが無い)。
結局、その日は先生は現れませんでした。
そして、その先生は二度とうちに来ることはなく
僕のピアノレッスンはここで一旦終了となります。

しばらくして母からあの先生は「駆け落ちしたのよ」と告げられました。
「駆け落ち」?
その意味を全く理解しない母は丁寧に「駆け落ち」の意味を説明してくれました。
初めて「駆け落ち」の意味を理解した僕の頭の中にはなぜか
「ドナウ川のさざなみ」が流れていました。
以来、この曲を聴くと、遠くに許されない恋人と逃げていくあの先生の姿を思い浮かべるのでした。

https://music.apple.com/jp/album/%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A6%E6%B2%B3%E3%81%AE%E3%81%95%E3%81%96%E6%B3%A2/1452455341?i=1452455934

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