自己啓発にハマった若かりし頃のこと

夢中で読んでいるものがある。

スピ系自己啓発にハマった人が己の黒歴史をありありとかいてくださったもので、なかなかの読み応えがある。ただ、絶賛、自己啓発ハマり中の人独特の客観性のなさ、みたいなエンタメ性は低く、「めっちゃ平熱の文章だなー」という感じはあるので、背筋にぞわっとくるスピ系の気持ち悪さをお求めの方にはちょっぴり物足りないとは思う。ただ後半、若干の教祖感のある文章が徐々に出てくるので、あーこの人は本当に自己啓発にハマるタイプの人だなぁと実感してしまった。

実は、かく言う私も20代半ばに自己啓発にハマった?金を貢いだ時期があった。当時はそれなりにがむしゃらに働いていたので、そこそこの年収があった。余裕があったわけではないのだが、そもそも忙しすぎて金使う時間がないわけだし、それなりに貯金出来る程度には金はあった。その当時、思い通りに成長できない自分に私は焦りまくっていた。能力値は低いのに、自己評価は高いというなかなか痛い状況にいたと思う。

変な話、大学までと同じように何の努力もしなくても昇進(進級)できるのが当たり前だと思っていたように思う。努力とか、ガンバるとか、そういうのをやれば、自分の思い通りに生きられるというか。そんな中、私は某大手メーカーをやめて、情報商材の営業マンになったという先輩から何度も営業をかけられていた。「お金をかけることが本気度の現れ」とか「自分を追い込むことが成長につながる」とか、今にして思えば、自己啓発系あるあるのフレーズで、営業をかけられていた。それでも、大学時代からの知人であった先輩の話を鵜呑みにして、ローンを組んで、80万くらいの情報商材を買ってしまった。その情報商材は、ようは、ありがたいお話系の大きなバインダーとCDだった。イメージ的には、認知行動療法のように、自分の行動様式を変えていこうというもの。最初の30ページくらいは読んだけど、正直飽きてしまってほとんど読んでいない。

その書いてあることを実践できるように、メンター的な人のところへ通わないといけなかった。仕事しながら、それをやるのはクソだるかったのだが、ときは「朝活」やらなんやらといった、できるビジネスマンは朝から活動的になるものというのがすごいはやりはじめていた時代、7時集合とか、なめくさった早朝に呼び出されたりしていた。

私はがんばって、1度その朝活っぽいやつに行ってみた。そこは、たしか、舞浜とかの湾岸エリアの高級マンション。海が見える家なのか?オフィスなのか?よくわからないところ。

そこで、何をするのか?なぜか事前には全く教えてもらえなかったので、実際何をやるのか私にはわからなかった。圧倒的成長、的ななにかをするらしい。私の中では朝7時に舞浜にいる時点でかなり困惑していた。海きらいだし、ギラギラした金持ちもきらいだ。そもそも朝が苦手だ。オフィスというよりかは、高級タワマン感ある館内の様子に、もう帰りたい、とエレベーターを乗った時点で萎えまくっていた。とはいえ、未知の世界にドキドキ、ワクワクしていたことは否定しない。

高級なエレベーターホールを降り、重い扉を開くと、高級スーツに身を包んだセレブっぽい雰囲気の人たちがキラキラした目で集まっていた。皆、顔見知りなのだろう。朝とは思えない落ち着いた空気感に、少しだけほっとした。細かいことはもう10年以上前なのですっかり忘れてしまったが、バインダーの内容を復唱するということを行われた。メンターはさすがに、情報商材の内容を暗記、さらでいえるようだった。朝活は、バインダーの内容深く理解して、実行できるようにするものだったわけだが、ただ読んでフィードバックするなんておだやかなものではなかった。

力の限り、大声で、情報商材の内容をシャウトする、というものだった。

でもさ、朝超頑張って起きてきて、超眠くて朦朧としている中で、なんで私、大声出さなきゃいけないわけ?初回限定、見学って感じでもいいんでしょ?と、斜に構えていたら「ほら、もっと大きい声で!!」と怒られてしまった。マジ?これ、声を張り上げる以外の選択肢はなしなの?と、怯えながら周りを見回す。すると、周りはさも当然という表情で、声を出せない私を見下していた。怖い。でも、これが成長のためか…。でも、声出したくない。なんで、こんな高級マンションの一室で私は大声を出しているんだ…と怖くなってしまった。

その恐怖体験で私の心は完全に萎縮してしまった。営業マンやメンターから何度声をかけられようとも、あらゆる言い訳を尽くしてすべての誘いを断った。情報商材自体も決して悪いことがあったわけでないのだが、内容の面白くなさに、徐々に見る気を失い、引っ越しと友に捨てた。

バインダーとCD…それだけのために私は80万も使ったのか…と思い出すだけでゾッとする。数年経った後、これが田舎者が都会で浴びる洗礼というやつかな、なんて思ったりもした。でも、ただ、もし、私があそこで、ドン引きせずに、足繁くかよったら、もっとお金を搾り取られていたのだろうか?

それはよくわからないが、あの「これ、何の冗談なの?」感半端なかったなー。あの自己啓発系の人々独特の気持ち悪さもいったいなんなのだろう。いやはや、至って不思議だなー。まあ、わたしも同じ穴の狢ですけれども。

(読み返して思ったけど、あんまりハマった感ないね。どっちかっていうと終始引いてる感じだね、ハマったのは、大学生のころかな…?ともかく何かというと自己啓発に声をかけられていた10代20代でした。ちょっと記憶を再度整理してみます)

一応、まだ続きます。よければ合わせてお読みくださいな。

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