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【書籍レビュー】愛着障害  子供時代を引きずる人々


今年は読んだ本の整理も兼ねてレビューをしていこうかなと思っています。単なるレビューというか、自分なりにどう消化したかという点でまとめていくつもりです。

早速ですが、今回は岡田尊司著「愛着障害 子供時代を引きずる人々」を取り上げたいと思います。


読もうと思ったきっかけは子供が初めて生まれるということで、Twitterのタイムラインに流れてきた発達心理学という言葉に興味を持ち始めたところ、愛着の発達が重要だという点を知ったこと。

さらに話題になっていた「ケーキの切れない非行少年たち」を読んでより子供を育てるということに新しい視野が生まれたことでしょうか。この書籍については別途書きたいなという思いもあります。


結果、読んでみて思ったこと。それは


・この知識をうまく活用するのが難しい(なんにでも当てはめられそう)
・子供の発達を第一に考えるなら、夫として一番大事にするのは奥さんのこと


というところでしょうか。とくに、子供を第一に考えるのに奥さんのことを一番に考えるという一種のパラドックス的な感覚が自分の中で新しい発見でしたね。

それでは、幼少期からの自分の実体験を踏まえて消化していきたいと思います。


愛着とは〜いくつかの愛着パターンが存在する


人間が幸福に生きていくうえで、もっとも大切な物ーそれは安定した愛着である。

本書はこの一文から始まります。

それほどに、愛着の安定が大事であるということなんでしょう。では、愛着の定義とはなんなんでしょうか。本書では以下のように定義されています。

愛着とは、人と人との絆を結ぶ能力であり、人格のもっとも土台の部分を形造っている。

これだけだとピンとこないなと思ったのですが、もともとはイギリスの児童精神科医ボウルビィの愛着(アタッチメント)理論のことなんだと思います。

不安や恐れを感じた子供が信頼できる大人にくっつくことで安心感を獲得するという経験の積み重ねが、のちの社会性の発達の土台になる
               ベーシック発達心理学  東京大学出版会 より

こっちの表現の方がイメージがしやすかったです。

終始この後語られるのですが、とにかく子供にとって安心して帰るところがあるという状況が安定した愛着の発達には重要だと。これは深く考えなくてもそうだなと納得できましたね。

そして、安定した愛着を得られていない状態が本書のタイトルにもなっている”愛着障害”というやつなんですね。

そしてやっかいなのが、この愛着障害というのは大人になっても引きずる一生の問題であるらしい、ということ。

愛着の発達は3歳くらいまでといいますから、ここで様々な要因で愛着障害になってしまうと、一生引きずってしまうわけです。パーソナリティ障害などの遠因になっていたり、発達障害と診断されるケースがあるなど知れば知るほとやっかいだなと。その反面、本当か?と疑った目で読み進めた感も否めません

しかしまあ、”三つ子の魂百まで”とは言いますが、本当であればとんでもない事実だなと思っちゃいました。


そして愛着パターンは4つに分類されるそうです。

まずは正常というか安定した愛着の発達がされた「安定型」。6割がここなんですって。

それ以外は全部「不安定型」なのですが、「回避型」「抵抗/両価型」「混乱型」があるそうですね。ってことは程度の差はあれど、4割の人はなんらかの愛着障害があるということなんですかね。まあ恐ろしい。

そしてこの後、ひたすら現在や過去の偉人のケースで愛着障害について語られています。オバマだったり、ルソーだったり、日本だと太宰治や夏目漱石など。

正直作者の仮説ラッシュという感じで「へ〜」程度でここは流し読みをしてしまいました。なんかもう、なんにでも当てはめられそうじゃない?みたいな感想を持ってしまったので。


様々な愛着傾向を自分や周囲の人間に当てはめて考えてみる


親と確執を抱えるか、過度に従順になりやすい

これが愛着生涯の共通した特徴だそうです。

よく漫画でありますよね。エリートの父親に勉強ばかり強制されて、抑圧された子供みたいな描写。

もしくはシングルマザーで母親が男を取っ替え引っ替え連れてきて居場所がなくなった子供とか。

まずはそういった極端な例で理解をしました。

つぎに、思えば小学校時代っていろんな同級生がいたなって振り返りました。だってそうですよね、ただ単に住んでいる地域が一緒というだけで集められたコミュニティですから。様々な層が集まっていて。なんかのるつぼのように感じます。

高校くらいになると、似たような学力で分けられますからね。少し様子が変わってくる気がしています。


話が少し横道にそれましたが、小学校の頃に話を戻します。

なんかやたらと「毎日絶対遊ぼうね!」と約束したがって煙たがられてた子とかいませんでしたか?その子の顔を思い出して、当てはまるなあとか考えてみたり。

ぼくなんかは人と正面から向き合うというか感情を吐露しあうというのが昔から苦手でして、これなんて特徴だけ見たら回避型の愛着障害とも言えなくもないですしね。

あとはシングルマザー宅の鍵っ子の女の子は中学になったらいろんな男と遊びまわったりしてたなあ、とか。

とここまできてちょっと危険だなとも思ったんですね。

これ、いくらでもこじつけられるし、勝手に偏見を持ってしまう危険性も十分に孕んでいるな、と。

なので、この知識は使いどころが難しいという冒頭の結論に至ったわけです。


愛着の発達を助けるために自分に律すること


とはいえ、我が子の愛着が安定し、将来をできるだけ明るく生きてもらいたいというのが親の願いでもあったりするわけでして。

そのためには自分がどうしたらいいかと考えることに集中することにしました。

愛着障害の細かい定義とか例にばかり囚われるのは一旦やめておこうと。


愛着障害は両親の離婚や死別なんかも大きく影響するのですが、最近は両親が健在でも増えてきていると本書には書いてあります。

キーワードは核家族化。

身近に子育てを頼れる人がおらず、親がパンクしてしまうケースで起こるんでしょうね。放任したり、精神が参って虐待してしまったら?十分ありえそうですね。

ましてや母親は産後うつになりやすいというのに、この産後うつも愛着に影響を与えるというのだから厄介極まりないわけです。

となるとまあ、自分がやることって決まってきますよね。

そう、奥さんのケア。

ぼくら夫婦が仲良く家の雰囲気が明るくていつでも子供の安全基地として機能する家庭を築いているというのがあるべき姿なわけです。

家事育児なんてするのが当たり前なんですけど、それ以外でもしばらくは仕事をなるべく早く切り上げて帰るとか、飲み会は控えるとか(コロナもありますけど)。自分を律して奥さんのケアをすることが一番だなあと。

不倫して離婚なんてもってのほかですね笑

まさに、子供の愛着の安定を一番に考えるなら、実際に一番に考えるべきは奥さんなんだなという理解をすることができました。

これは新しい発見ですね。

SMAPの「らいおんハート」じゃないですけど、子供より奥さんを一番ときちんと表現することが大事なんだなと思いました。


総評

非常に細かく、いろいろな例で紹介しているので知識としては詳しくなるが、若干眉唾感も残る読後感でした。

とはいえ、自分の今後の立ち振る舞い方について考えることができたので、読んだタイミングも含めて良書だったなという評価をしておきます。

あとは実践ですね。

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