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僕にHIVをうつした人について思うこと

以下、多少生々しい表現もあるので、不快な方はこれ以上読み進めないようにお願いします。

最近、池袋の性産業で働いている女性に、意図的にHIVを感染させた中国人の留学生のニュースを見ました。
「他の人を道ずれにしてやろうと思った」という動機にショックを受け、強い憤りを覚えました。
HIVのキャリア(感染者)としては、こういった身勝手な考えの人がいることで、世間からの目が厳しくなるのではないかという不安もあります。
人を道ずれにしようなどと考える人は、ごく一握りであると思いますが、その一握りのおかしな人のせいで、辛い思いをする人が増えるのは本当に悲しいことだと思います。

僕にHIVをうつした人は特定はできないのですが、可能性が高い人は3人います。うち二人は関係を持った時にHIVとか病気は持っていないといっていました。もう一人は特に何も言っていませんでした。僕がHIVに感染していることが発覚したときには、3人とも連絡が取れなくなっていたので、誰にうつされたか分からないし、ひょっとしたら、その内の誰かに僕もうつしてしまったのかもしれません。

ゲイの人が全員そうだとは決して言いませんが、ストレートの人には比べれば、不特定多数の人と性交渉をするゲイは結構多いのではないかと思います。
今はパートナーとの生活に落ち着いている僕ですが、以前は、決して誇れるものではありませんが、結構「性に奔放」というか、、僕はこれまでに性交渉した相手の数は見当もつかないし、名前も知らない、連絡先も知らない人との行為も数えきれないくらいありました。(本当に誇れるものではない。。)
HIVなどの性感染症のリスクがあるのは、ゲイ向けのサイトやお店やイベントのフライヤーなどでよく知っていて、ネットで色々と調べて怖いと思っていたので、基本的にコンドームを使用をしていました。

ただ、色んな人としていると、ごくたまにコンドームの使用を拒否してくる人がいるのです。理性を保てているタイミングで「コンドームは使わない」と言われれば、「あっ、では、ご縁が無かったということで。」とお断りできるのですが、
既に行為が開始して、いざっ!ていう気持ちが高ぶっているそのタイミングで「病気じゃないから」「ゴムあると痛いから」とか言ってくる人もいるのです。そのときに理性を強く働かせられればいいのですが、ときには「病気じゃないっていてるし、大丈夫かな」とそのまま欲望に流されてしまう時がありました。後になって考えると「意思が弱いな」と情けなく思いますが、なかなか欲望が暴走しているようなときに理性的に考えるのって難しいです。

そんなふうに、ごくたまにリスキーな行為をしてしまうという生活を送っているうちに、一度、HIV以外の性感染症にかかったのです。
リスキーな行為の後には強烈に反省していたのですが、それでも病気になることは無かったので、「意外と大丈夫なのかな」と気がゆるんでいたました。性感染症が分かったときは精神的にだいぶ叩きのめされました。その時にHIVの検査もして、その時は幸いにも陰性でした。
ただ、性感染症にかかったというのは結構ショックで「もう絶対にコンドーム無しはしない!」と心に誓ったのでした。

その誓いをしてからは、長らくコンドーム無しの行為をすることは無かったのですが、上述の3人とはしてしまったのです。
仮にその3人をA、B、Cとします。

Aはその当時久しぶりにお付き合いした人で、海外から日本に来ている人でした。見た目がタイプだったし、久しぶりの恋人ということで、なんとか関係を続けていきたいと思っていたのですが、相手は英語しか喋れず、僕は片言の英語しかできず、あまりちゃんとコミュニケーションが取れないまま付き合っていました。
僕がコンドームを使わない行為はしたくない、ということは伝えていたのですが、毎度「わかった」というだけで結局最終的には「本当に自分のことを好きならコンドームはいらいないはずだ」とか「病気は持っていない」とか言われて押し切られて、結局リスクの高い行為をしてしまっていました。
その後、僕の英語が全く上達することも無く、コミュニケーションがうまく取れないうえに、色々と価値観が合わないので、結局半年もたたずにお別れしました。

Bは東南アジアの旅行先で出会った現地の人でした。Aと別れた後にいった一人旅で出会いました。
この人も「病気じゃないから」と言ってコンドーム無しでの行為を求めてきました。行為の真っ最中で、かつ、Aとの行為もしてしまっていたのもあり、「きっと大丈夫だろう」とまたその場の空気と欲望に流されてしまいました。
Bは「付き合おう」と言って、その後の旅行でも現地の案内をしてくれました。ただ、毎度すべての会計を当然の如く僕が払うようになり、「財布だと思われている?」と思いつつも、日本に帰ってからも連絡を取り合っていました。
その後、長期休暇の際に、もう一度会いに行って一緒に過ごしました。その間、突然「友人のマッサージ師を呼ぶ」と言い出し、「え?」て思っていると明らかにゲイとわかるマッサージ師が来ました。
そして、なんとなく予感はしていたのですが、3人で行為をすることになり、その際もコンドーム無しでしてしまいました。そして行為が終わった後に、「友人にマッサージ料を払え」と言われて、マッサージ料としてお金を払いました。「別に頼んだわけでもないのに勝手に友人(マッサージ師?)を呼ばれて、お金を請求されるのってどうなんだ」とモヤモヤしながら、「やっぱりこれは付き合っているのではなくて、金づるとして使われているんだな」と気持ちが冷めた状態で日本に帰りました。
そして日本に帰ってから数週間後に、急に40℃を超える発熱がありました。病院に行っても原因が分からず、HIVに感染した場合に初期症状として発熱が起こることがあるということは知っていたので「ひょっとして」と思いました。Bに発熱したことをチャットで伝えて、Bとその友人がHIVではないか、検査を受けてほしいと連絡しました。Bからは「どちらもHIVではない」「ただの風邪だろう」という回答が来るだけでした。何度も検査してほしいと送りましたが、「HIVではない」の一点張りで、僕も発熱でしんどいのもあって、諦めました。
そして、Bには検査を要求したのに矛盾しているのですが、「病院では原因不明だとしか言われていないし、ただの風邪なのかもしれない。HIVなら病院できっとわかるはずだ」「BはHIVではないと言っている」と自分に無理やり言い聞かせて、僕はそのあと検査を受けませんでした。病院で発熱している患者に対して、一々HIVを疑うことなどまず無いというのは想像に難くないのですが、HIV陽性という結果が出るのが怖かったので、自分に言い訳をしていたのです。

そして、Cと出会います。
出会い系のアプリで出会った日本人です。アプリに書いてあるプロフィールからも、不特定多数の人とリスクの高い行為をしているのが分かる内容が書かれていました。ある日、Cから誘いのメッセージがきたのです。
それまでの自分であれば、危ない人だと思って会わなかったと思うのですが、「ひょっとすると自分がHIVに感染しているかもしれない」という思いから人との接触を避けて、悶々としていた時期で、「この人なら、既にHIVに感染しているかもしれないし、もともと無防備な行為をしている人なんだから、、」という自分勝手な解釈をして、会うことにしました。その頃は、毎日遅くまで残業している時期で、上司との関係も悪く、仕事のストレスもあって、自暴自棄になっていた部分もあったと思います。「仕事は辛いし、病気かもしれないし、人生どうなってもいいや」と。ある意味、冒頭の留学生に近い思考なのかもしれません。
その後Cとは何度か会いましたが、その内、今のパートナーと出会って疎遠になり、連絡も取らなくなり、気づくと連絡に使っていたアプリからも姿が消えていました。ただ、これは後になって共通の知り合いから聞いたのですが、やはりCは以前からHIV感染者だったようです。HIVのキャリアであっても、伝えずに行為する人はいます。無防備な行為をしているのだから、お互いリスクを覚悟の上、というような意識があるのかもしれません。また、薬で治療をしてウイルス量が抑えられている場合は、相手に感染させる可能性が殆どなくなるので、伝える必要が無いと思っていたのかもしれません。今となっては、Cが治療を受けていたのか、どういう状態だったのかも分からないので憶測でしかありませんが。。

そして今のパートナーと付き合い始めて検査を受けてHIV陽性であることが判明したのでした。
パートナーとはリスクの高い行為はしていなかったのですが、感染の可能性は0ではないので、申し訳ないことをしたと思っています。
僕がHIV陽性とわかったときに、パートナーも検査も受けましたが、たぶんすごく不安な思いをさせてしまったと思います。

長らく、B(とその友人)との行為の後に発熱があったことから、感染の原因はその時ではないかと思っていました。
ただ、HIVの治療をしている病院で受けた検査でB型肝炎の抗体を持っているが分かりました。知らない間にB型肝炎にも感染して、それが治っていたようなのです。詳しくは分かりませんが、B型肝炎で発熱する場合もあるようですので、ひょっとしたらあの時の発熱はB型肝炎のせいだったのかもしれない、とも思います。なので、結局誰にうつされたのかは分からないなと思っています。

長々と書いてしまいましたが、タイトルの件について、誰からうつされたのかも分からないからということもあるのですが、特に3人に対して恨んだりするような気持ちは無いです。
本当に自分が病気である自覚がなかったのかもしれないし、なんなら自分がうつしてしまった可能性もあるし。
ただ、もしも、冒頭に書いた留学生の件にみたいに、相手に感染させるのを目的に色々な人と行為をしているのであれば、それは許せないし、やめてほしいと思います。
「普通そんな酷いことしないよね」と思っているようなことをしてしまう人は意外といて、まして、素性がよく分からない者同士での出会いだったりすると、余計にその危険性は高いのではないかと思います。自分もCとの出会いに関しては、「この人ならいいだろう」と、自分のことを棚に上げて、相手を思いやる気持ちが無かったと思います。

そんなわけで、自分の意思の弱さでHIVに感染してしまった僕ですが、不特定多数の人との性交渉をしている人は、自分の意識だけを頼りにせずに、色々な防御線を事前に張っておくことをお勧めします。常に理性的に考えるのって、結構難しいことだと思います。少なくとも僕はできませんでした。
例えば、明確にコンドーム無しでの行為をしないことを約束してから相手と会うとか、最近は予防薬としてHIV薬を飲むことで防ぐPrEPなどもあります。梅毒とか、サル痘だとか、HIV以外の病気もあるので、PrEPしているから無防備な行為がOKというわけではないですが。。
あと、お互いのことをよく知らないのに「病気じゃないから」とか言って強要してくる人は信用してはいけないと思います。その人が最後にいつ検査したのかも分からないし、そう言って不特定多数の人とコンドーム無しでしている人なのだから、むしろ感染症のリスクが高い人だと思います。そのセリフを言われたら、「危ない人」だと思ったほうがいいと思います。

あと、HIVのキャリアで、薬での治療を開始してウイルスの量が検査で検出できる限界よりも少ない状態を維持できる人からは、HIVの感染の可能性は殆ど無いと言われています。定期的に病院に通って血液検査しているので、ことHIVに関しては、検査をしていない人よりも感染リスクの低い人と言えるかもしれません。「HIVのキャリア=危険」というわけではなく、ちゃんと治療をして、ウイルスの量が抑えられている人に関しては、感染するリスクは低いということを知っている人が増えることで、「HIV陽性が発覚したら性行為できなくなる」というような誤解がなくなり、HIVの検査を受けて早期に治療をする人が増えることにもつながるのではないかと思います。






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