見出し画像

昔の友達と仲良くしてるとこを、今の同僚に見てもらいたい

ないだろうか。こんな欲求。

めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、最近強く感じる欲求をなんとか言葉にすると、タイトルのような感じになる。

居酒屋とかがベストだ。

大学の友達とか、何らかの会社外のつながりとか、そういうコミュニティの仲間と一緒に、はしゃいで楽しそうに飲んでいる自分。
会話の中心で笑いをかっさらっていく自分。
それに対してそのコミュニティでしか通じない、ちょっとだけ知的(と本人が思っていそう)なツッコミをされて、さらに笑い声が大きくなる。

そんな場面に、偶然、会社の現同僚たちがやってくるんだ。

いつもより楽しそうな僕をみて、ちょっとだけ気まずそうに、はにかんで軽く会釈される。僕も笑って軽く手を振る。

その場での絡みはそんなもので、僕はまた仲間との会話に戻り、同僚もまた違う席で、各々楽しむ。

で、後日、職場で会って「あ、そういえばあのとき…」って会話になって…

「あー大学時代の同期だよ。みんな馬鹿だけどいい奴だからまだ付き合いあるんだよ」なんて簡単に説明する。

そんな風に、自分が所属してきたコミュニティや、何度も会話した友人を見せつけたい。自分にはほかにこんな世界があるんだぞってことを、暗に伝えたいんだ。

…いや、「こんな世界」じゃなくてもいいか。

僕には君以外の「別の世界」もあるんだ、って他の手札があることさえ見せられれば、それでいいんだ。カードを裏返す必要はない。そんなに強いカードでもないだろうし。

なんだか正直、情けない欲望だよな。みんなこんなこと思って生きてるのかな?


僕は今年の4月から新しい部署に異動した。

前の職場とはぜんぜん違う雰囲気で、ヒトで、文化で、これまで学んできた仕事内容はさっぱり役に立たない。
当然、すでに部署内に仲がいいグループというのは複数できていて、案の定、僕はそこにうまく組み込まれることができていない。

いじめられてるとか、そういうんじゃない。聞けば丁寧に教えてくれるし、上司も「大丈夫?困ってない?」と積極的に話しかけてくれている。
これは日本の職場ではかなり当たりの部類だと思う。(他の会社知らないけど)

慣れの問題なんだ。

ただ、慣れの問題って一番苦しいんだ。

即効性が全くないから、しばらく耐えるしかない。その「しばらく」がどれくらい続くかも正直分からない。

僕は、残業が増えることについてはそこまで苦ではないのだけれど、「役に立てていない」という後ろめたさがあると精神的に疲弊するタイプだ。

そのうえ、陰キャだし、積極的に友達を作ろうとするタイプでもない。

だから配置転換で、慣れるまでってだいぶ苦痛なんだ。

めちゃくちゃ仲いいひともいない、仕事もできない、役に立てない。だから過去の自分が「役に立ってた」思い出に縋るしかない。

これを書きながらやっとわかった。ないと思っていたけど意外と高かったプライドを捨てて白状すると、僕は今「拗ねてる」んだ。

今がうまくいってないから、「いや、俺ほかにも楽しいこといっぱい知ってますから」「職場以外にも、友達もたくさんいますから」「仕事だけがすべてじゃないですから」って過剰に外にアピールしたいんだ。

同僚と仲良くしたいけどできていない自分、役に立ちたいけど何もできない自分を、とにかく肯定したいんだ、と思う。

ああ情けない。まじで恥ずかしい。

感情は自由だ、何を思っても思っているだけじゃ罪じゃないなんて言うけれど、これってすごく歪んでると思う。

だって、『今の同僚に、過去の友達と仲良くしてるところを見られたい』ってつまり、友達と仲良くすることを手段にしてしまってるんだよな。

誇らしい仲間を見てほしいって気持ちもあるにはあるけど、どちらかというと、友達をコレクションとして見せつけたい!みたいな側面が強い。

それでもって自分の価値をあげようとしてるんだから、性質が悪い。

なにより問題は、そんなことをしても問題は解決しない、ってことだ。

同僚に、他の友達を仲良く楽しそうにしてるとこを見られて、自分には別のコミュニティがあるんだぞってアピールして、なんになるんだ?

自分が逆の立場でどうなんだよ。

普通に考えて、「ふーん」で終わらないか?

「すっげーアイツ、職場以外のコミュニティがあるんだな!見直したぜ、今度飲みにでも誘ってみるか!」なんて、なるわけなくない?

むしろ、職場よりずっと楽しそうだな、なんて思われたら同僚は傷つかないか?逆に、飲みに誘ってくれなくなるんじゃないか?


…あ、また気づいてしまった。僕は同僚に嫉妬してほしいのか…?

素晴らしい仲間がいることに、職場より楽しいコミュニティがあることに。

自分より職場に馴染んで、仕事もできる同僚に、そこだけは勝ってるって自慢したいのか?

ああ、まじで恥ずかしい。

でも残念ながらこの欲求は消えない。本当に苦しい。僕はただ今の職場に馴染みたい、力になりたい、必要とされたいだけなのに、なんでこう歪んだアウトプットになってしまうんだ。どうしてこう、まっすぐ頑張ることができないんだ、お前は。

…でも、少しだけ肯定できることがあるとすれば、この記事で欲求を言葉にできたことだ。潜在的に何がしたいか、なんとなくつかめたことだ。

感情を口にする前に、思ったことを行動に移す前に、とりあえず文章にするのは、お前のほとんど唯一の美点かもしれない。(優柔不断ともいえるかもしれないけど)

決めた。

明日、少しでも移動先に馴染むために、そこそこ話せる先輩を2人、飲みに誘ってみよう。

仕事でわからないことがあれば、これまで以上に積極的に質問しよう。

そうやって、なんとか今の職場に、環境に、そして人に、馴染んでいこう。陰キャでコミュ障だけど、本当の僕は友達が欲しいのだ。

でももし、もしこの記事を読んで、僕と同じような欲求を持ってる人がいたら、教えてほしい。本当に教えてください。僕は笑わない、からかわないと約束します。そういう人がいたら、きっと僕らはいい友達になれると思う。

#創作大賞2024 #ビジネス部門 #エッセイ部門





この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?