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「ノンデザイナーのためのデザインスクール生」が見たフィンランド

校長先生が「社会課題があって、それをデザインの力でどう解決するのか」というコメントをされていたのがとても印象にのこっていて。

ちょうどフィンランドを訪問する機会があったので、社会的背景が、「シンプルで美しい」といわれるフィンランド・デザインにどう関係しているのかを自分なりに考えながの旅にしてみよう、と。

フィンランドは独立後約100年、だそうです。
昔はスウェーデン、その後ロシアに支配されて、ようやく勝ち取った独立。
人口はわずか550万人、北極に近く、かつ資源もあまりないそうです。
これを前提に、興味のある「食器、フォント」について考察してみました。

①Iittalaの食器
(Iittala工場およびIittala&Arabia Design Center)
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Iittalaといえば、シンプルの代名詞。
機能美に特化しているように見えます。
工場見学ガイドの方によると、フィンランド政府は昔から環境保護も敏感で、ガラスを透明にするために使う鉛を政府が使用禁止してしまったため、ベネチアなどで見られるようなガラス美術はあまり発展しなかったそうです。

結果、実用品に特化しつつ、その中で近場にある材料(木など)を利用して独特の風合いを出すようになったとか。
一方で近隣諸国を合わせても人口が少ないことから、事業拡大のためには「外」に目を向けざるを得ず、どこの国の食卓にもマッチし、かつ大量生産にも適したシンプルデザインが発展することにもつながったのではないかと思います。

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「外を意識する」ということでは、多くのフィンランド人(観光地だけでなく、電車の中でお金をせびりに来た酔っ払いの兄ちゃんまで)が英語を普通に使っていることにもつながるようです。
教育も注目されるフィンランドですが、英語教育は単なる外国語ではなく、かつて支配していた国に頼らず生きていくという「国家デザイン」の一環なのでしょう。


②フォント

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よく見かけたのは、細身で装飾の少ないフォント。
フィンランドの言語環境がどう影響しているかを考察してみました。

まず、公用語がフィンランド語とスウェーデン語の二つ。
駅などでは二つを併記するので文字が増えます。
さらに、フィンランド語は言語学的に「膠着語」というものに分類されるらしいです。

一つの言葉に、関連する言葉がくっついていく、例えば英語では「My house」と2語になるところが「talossani:"talo"(「家」)-"ssa"(~の中で、内格)-"ni"(私の、所有接辞)」という1語になる・・・綴りが長くなる・・・
といことで、とにかく字数が多い。
(日本語では「私の家」で一語ということで、同じ分類になるそうです)

駅名

上は、トラムの行き先。これだけ長いと、装飾してしまっては見にくい。結果、細身で装飾の少ないものにならざるを得ないのかも。

こじつけのようにも思いますが、Google先生で「font FInland」で「画像」を検索すると、本当にさっぱりしたものばかりが出てきます。

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ちなみに、宿泊したホテルは刑務所をリノベーションしたもの。雰囲気を残しつつも、まったく新しい価値観の提供になっていて、こちらも楽しめました。
https://www.hotelkatajanokka.fi/en/our-story/

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本などを見るとよく「フィンランドの人々は自然とともに、質素に生きる・・・」という記述がありますが、言い方を変えれば「モノがないので、あるものをうまくやりくりして暮らすしかない」とも言えます。

無駄をそぎ落として、その中で快適に暮らそう、という気持ちがあちこちに現れていて、興味はまだまだ尽きません。


ちなみに、"font usa"で画像検索すること・・・

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違いは歴然w