若手療法士に知っておいて欲しい心不全でよく使われる利尿薬について
患者さんのリハビリ経過を追うなかで、身体所見に注目するセラピストは多いことと思います。
身体所見以外にも、血液データや食事摂取量などの確認も大切です。
ですが、次の項目を忘れてしまっているセラピストも少なくないと思います。
それは、「患者さんがどんな薬を使っているか?」です。
こういう僕も、数ある薬の名前全てを覚えられているわけではなく、
また患者さん一人一人に使用している薬の確認ができているかといわれると自信を持って「はい」といえません。
ですが、患者さんの調子がいつもと違うなと感じた時に、
結果として「薬の影響だった」ということが少なくないため、
よく用いる薬は、しっかりと理解しておく必要があると実感しています。
その中で今回お伝えする薬は『利尿薬』です。
心不全を診る上で、利尿薬の知識は必要で、
体液貯留を伴う浮腫に対して利尿薬を用いる患者さんは多いです。
今回の内容は、
・心不全の患者さんを担当したばかりの人
・薬について考えることが少なかった人
・利尿薬の注意点や副作用について知りたい人
にオススメです。
特に、若手セラピストに知っておいて欲しい内容です。
なにより、僕が心臓リハビリテーションを学ぶ上で、薬の知識をしっておくことが重要と感じたため、今回まとめてみました。
今後利尿薬を服用する患者さんを対応した時に活かせるように、
学びましょう。
心不全の内容に絡めながらお伝えしていきます。それではどうぞ。
・心不全で使われることの多い利尿薬とは?
体液管理を行うことを主として、利尿薬は用いられます。
心不全の患者さんでは、
うっ血がある患者さんの労作時呼吸困難、浮腫の症状軽減
に多く用いられます。
また利尿薬は、心不全を治療するための薬ではありませんが、
左室駆出率の低下した心不全HFrEF(ヘフレフ)
左室駆出率の保たれた心不全HFpEF(ヘフペフ)
の両方の病態で症状緩和として用いられます。
なので、ほとんどの心不全患者さんが使用する薬に利尿薬が含まれているのです。
ちなみに、僕も最近まで利尿薬=心不全の治療薬だと思っていました。。
・利尿薬を語るうえで欠かせない尿細管
さて利尿薬ですが、文字通り”尿を促す薬”です。
なので、尿がどのようにできるかを把握しておく必要があります。
国家試験や解剖学で学んだ、泌尿器系の内容になってきます。
少しだけおさらいしましょう。
泌尿器系は、尿を作る腎臓、尿を運ぶ尿管、尿を溜める膀胱、尿を出す尿道から構成されています。
その中の腎臓は、腎小体と尿細管から構成され、
腎小体の糸球体で血液から尿が濾過され、尿細管に入ります。
そして尿細管は、
・近位尿細管
・ヘンレループ
・遠位尿細管
・集合管
の4つに分けられ、尿の中に含まれる成分を血中に戻す働き(再吸収)が
あります。
利尿薬は、この尿細管に作用し、再吸収を抑制することで利尿を促します。
・臨床で用いられる利尿薬4種
腎臓(尿細管)の場所によって作用機序が異なるため、利尿薬は次の4つに分類されます。
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