至福の一時と利他の関係
人は誰しも豊かになるため、現状を打破打開したいと思う。
そうして主に周りを変えたいとそう願う。
その道程で必ず突き当たるのが人間関係、だから他人さえも思い通りにしたいと思いがち。
その心の動きは悪いことではなく、むしろ自然なこと。
とはいえ他人は変えることはできない。
他人を変えることができないだけでなく変える必要はない。
でもその心を動かすことはできる。
その方法はありのままの自分の姿を見せること。
人は他の誰かの情熱的な生き様に心動かされ、その時に内から変われる。
真の意味で権力やお金や暴力では人を動かせない。
自分の幸せのために周りを変えようとする己の心を我良しの心という。
己の利益のために周りの足を引っ張ったり、押しのけて前に出るその心を我先の心という。
そういった利己的な心では周りはおろか自分さえも幸せにはなれない。
むしろ利他的な心で周りと接している内に自分も幸せになるもので、これは我先の心と真逆なのは言うまでもない。
自分から先に利他の心で周りに接することができるようになってはじめて、己の幸せの扉が開かれるのである。
とはいえ利他の心に至るまでには越えねばならぬハードルがいくつもある。
それが己を慈しみ愛する心。
己を癒した先に利他の心へ繋がっている。
我先に我良しにと周りと戦っていては己を癒すこともままならない。
世界を変える能力がないと嘆いている、そんな自分は僅かな力で変えられるのだ。そうして自分が変わることによってのみ世界は変えられる仕組み。
もっと正確に言えば、自分は変わる必要などなく、ただ自分本来へと戻る、ありのまま生きるだけということ。
癒しと赦しと本来の自分
「見るだけで幸せになれる」「見えたら良いことが起こる」「最小限の力で奇跡を起こす」「○○％の人だけがわかるできる」
このような信じたいものを信じようとする心は、自らを癒そうとする行為、本来の自分に戻ろうとする心の自然な動き。
でも何故そうなってしまったの？
誰もが自分本来から始まり、いつしか自分とは無関係の軸を生きていてそのことにすら気づけません。
神や宗教、教義や目に見えない法則、お金や地位、権力や名誉、人それぞれ何かにすがりながら生きる。
一体いつになったら自分本来に戻れるの？
でもそれが何よりもむつかしい、何故なら人間は自分からかけ離れた何かになろうとすることによって生を実感できるから。だからやらなくてもいい仕事をしたり、有意義とは言えない学生時代を過ごす。
限りある休日、自分本来に戻りつつあるのにまた月曜日が来る。
そうしてまた他人軸へと漕ぎ出してゆく。
＊
本当に自分本来を生きてみたいの？
ほんとの本当に？
このまま自分と無関係な人生でも何の問題もないのに？
…そう、ついにその覚悟ができたのね。
だったらすべてを手放す必要がある。
何を？ どうやって？
それは自分にしかわからない。
ひとりひとり違っているから。
だってそれをしにこの世界に来たから。
ヒントは自分がやりたくないこと。
日頃から自分が本当は嫌だな、そう思いながらやっていること。
仕事、勉強、食事、子育て、介護、人間関係、お金、病気。
それはありとあらゆることに及ぶ。
それらすべてを手放す覚悟があるの？
無理だよね、そうだから無理しなくていいよ。
自分を赦し、受け入れ、手放せる人は全体の１％だから。
９９％の人たちと一緒にいるほうが安心だからそうするといいよ。
みんな勉強してるしね。
仕事するのが当たり前。
お金がないと困る。
健康じゃないとね体が資本だし。
家族だから面倒見るの当然だよね。
孤立するくらいなら嫌いな奴とも一緒にいないとね。
どうせ人生の最後には素の自分に戻れるからさ。
……それじゃ遅い？
でも生きてるうちに本当の自分になんて戻れるわけないでしょ？
怖がりでいつも未来に怯えてるのに？
後悔で過去ばかり振り返ってるのに？
少しでもいい学校に通って勉強しないといけないんでしょ？
お金がないと何かがあったとき困ると思ってるんでしょ？
少しでも偉くならないと悪い奴らの言いなりなんでしょ？
常にいいことをし続けてみんなから尊敬されてないと不安なんでしょ？
家族や組織の輪の中じゃないと生きていけないと思ってるんだよね？
ずっと起こりもしないことに気を使うことが好きなんじゃないの？
本当は自分の人生なんてどうでもいいんじゃないの？
そんな筈ない？ 一所懸命頑張ってる？ おかしいのは周り？
それじゃあなんでいつまでたっても幸せになれないの？
……まだわからない？ これは仕組みの話なの。
自分本来になることが幸せの始まりなの。
だからこれまでの全部を手放さないといけないの。
どれを？ 全部、何もかも全部だよ！
これには時間がかかるの、わかるでしょ？
今まで抱えきれないほど溜め込んできたんだから。
本当に幸せになりたいなら焦らなくていいの。
まずは自分に素直になること。
そうして一つずつ手放していけばいい。
それをしに来たんでしょ、この世界に…思い出した？
幸せになるのが困難なのは当たり前、それを体験したいから。
やらないといけないんじゃない、それが当たり前なの、だから自分本来。
わかるでしょ？
奇跡という名の日常、至福のひと時
自分に余計なものが一切なくなったらいよいよはじまるわ。
本当に恐ろしいのはそれからよ、だって豊かさは無限だから。
でもそうなったらあとは自動的なの、押し返そうとしてももう無理。
自分を押し流してしまうほどの幸せが音もなくやってくる。
涙も何もかも全身の毛穴から全部吹き出しそうなほどの豊かさ。
命を投げ出しても足りない、返しきれない思い。
本当の苦悩はここから始まる、人間が生きる本当の意味。
かつてあれほど思い悩んでいた頃など産湯に使っているようなもの。
受け取り切れないほどの幸せ、だから何度も生まれ変わって返そうとする。
どうすればもっと周りに感謝が伝わる？
自分が皆にできること、どの順番でやれば？ 沢山ありすぎて選べない！
どうしよう、あれもしたい、これもしたい！！
だってアイディアが溢れてくるんだもの、自分はこんなにも凄かったのね。
あんなに体や気が重くて、常に色々な病気と闘ってたのに、今はもう全然気にならないわ！
お金？ 使う暇なんてないよ、昔はあんなに通帳と睨めっこしてたのにね。
そんなことより私の歌を聞いてよ、昨日出来立てホヤホヤなの！
ちょっとまって、あのむかつく連中はどこ？ いつの間にか居なくなってる、死んだの？
デブだのブスだの言ってたあいつらは？ 全員癌にでもなったのかしらね？
まぁどうでもいいか、もともと興味なかったし。
そんなことより私のダンスを見てよ、一緒に踊りましょ！？
ホラみてみて、あんなに星が奇麗よ、昔からそうだっけ？？
明日も明後日も明々後日も、予定で一杯、でも足りないくらいよ。
奇跡？ 馬鹿言わないで、そんなの自分らしさに比べたら大したことない。
自分の中からどんどん感謝がわいてくるの、今日も空気がおいしいわ。
生きているだけでこんなにも幸せ、昔の自分に教えてあげられたらどんなにいいでしょう。
ね？ 幸せって素敵でしょ？？ 全部自分次第なの。
でも、だって一度も幸せだなんて感じたことないよ……？
そんなの当り前だよ、それを自分が望んで生まれそう生きてきたんだから。
そしてそれはこれからも続くんだよ、でもみんなそうだから安心しなよ。
……もうこんな時間ね、それじゃあ私はあっちだから、もう行くね。
もう会うこともない、元気でね、バイバイ。
＊
至福とは、この上ない境地に自分が既に存在していることへの気づき。
まずは既に自分が至福のひと時の最中を生きていることに気づくこと。
利己の間は満たされることはなく、利他に至ることを至福の時と言う。
人生とは既にその相反する事象を持ち合わせ、そのどちらかを自分で選択しているに過ぎないということだ。
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いつも本当にありがとう。 これからも書くね。