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”思いつき”定義集Ⅱ④「う」

【右往左往】心の動きにも射程を広げるとすべての人間が経験する。焦る、慌てるというのはごく当たり前。初めての経験を積み重ねていくのが人間の常。受験、就職、結婚、出産、育児、新たな出会いーー実はそれらのライフイベントの到来を心待ちにしていたりもする。人は冒険的体験をどこかで期待する(そのレベルの違いが大きいとしても)。そして、たとえ瑣末な私事でもオロオロする。人生はその意味で常に試行錯誤。毎日が試行錯誤とも言える。
◆注:ライフイベントの経験には個人差が大きい。なので、多く経験したからといって自慢できるものでもないし、すべきでもない。

【穿つ(うがつ)】雨だれ岩をも穿つ。地道な努力の積み重ねが成果をもたらすとの俚諺だが、その通りになることはない。社会通念として言えば努力と果報が比例することは稀である。「努力=理想の実現」はそれ自体としては画餅である。ただし絵に描いた餅(理想)を失えば、努力(へ)のプロセスの意義もまた失われる。それほど残念なことがあろうか。

【嘘(2)】プーシキンによれば、われわれを高めてくれる嘘は百の真実より尊い(らしい)。箴言としてはなんとなく首肯できそうな気になる。問題は「高めてくれる嘘」など本当にあるのか。いや、そもそも「高める」って何?
 フェイク(嘘とごまかし)が遍く社会にあっては百の真実を尊ぶべきではないのか。プーシキンを引くのは時代錯誤だとしても、一部の文学者の弱点は、実際に生起している事実をデフォルメしすぎることにある。

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