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”思いつき”定義集Ⅱ㊱「ら・り」

【ラジオ】たぶん最後まで生き残るメディアの一つ。有用性・利便性についてはTVや新聞を上回ることも多々ある。例えば災害時。災害大国日本では頗る重大な役割を果たす。情報が常に正確かどうかは判定できないが(あらゆるメディアに言える)SNSで細工された動画のお遊戯より信用度は高い。
 また、なんとなく対話が成立しているような雰囲気を醸し出すことも好ましい。基本的に聞き役だが、聞きながら同調できる場合が多い。心地悪い話しは途中で放棄して切り替え自在。意外と選択肢は豊富でストレスの少ないきわめて便利な相手。

【離婚】結婚できた人の特権。未婚率上昇ゆえ離婚数も減少かと思いきや上昇傾向にある。はて? 夢に破れた人が増えたとしか思えない。もっとも一時でも夢に酔えたことは称えられるべき事柄と言えるかもしれない。
◆注:個人的だが、離婚した親の子として言えば禍根というのが適切な表現である。

【理性】人間を人間たらしめている特性とされているが、すべての人間が持ち合わせていると断言するのは憚れる。また、その働きが必ずしも正しいとも限らない。人は同時に情動的で、そのとき理性は失われるためにあるとさえ見える。

【掠奪】基本的には物理的に奪うことだが、誰が誰からというのが肝心要。忘れられない事件がある(ずいぶん前だがTVで紹介されていたので知っている人もいるだろう)。
――ある老婆が銀行のATMでごく少額の、それなくしては生活に困窮する年金を引き出したあと、少年がそのバッグを奪い去る。老翁のために老婆は必死にバッグにしがみつくが、それがもとで引き摺られて死亡した。少年は悔恨するが、尽きた命は戻らない。
 掠奪の歴史は人類の歴史とともにある。その根底には自分では何一つ生産できないがゆえの未熟さがある。掠奪とは未熟な人間が怠惰をも兼ね備えていることの証し。詐欺師は自分を賢明と考えるかもしれないが、それは大いなる勘違い。詐欺師とは未成熟な人間の証明に過ぎない。

【良心】人を傷つけない、痛めつけない心持ち。また他者に寄与することのできる行為のもと。誰にでも(概ね)あるにはあるが自覚すると嘘になる摩訶不思議なる精神の働き。しかし良心を見失う人たち、そもそも持たない人たちもいる。
 ①貧すれば鈍する。良心の働きが物質的余裕を前提するとき。余裕があれば人に対しても余裕をもって接することができるし優しくもなれる。それが他者の心を癒すことができれば良心を具体化したものと言える(例:チャリティやボランティアなど)。しかし、余裕のない人は他者を攻撃することで自己を充足させようと行動する。これには物質的、精神的ともにある。物質的には強盗その他の犯罪行為。精神的には誹謗中傷、罵詈雑言を浴びせる犯罪行為など。
 ②貧することなき「刃傷」。精神を「病んでいる」とみなされる場合。人を痛み(傷み)つけることに無感動な人あるいは快楽を感じる人。殺人など何とも思わない。昔から猟奇的と言われる「事件」は多く小説・映画・アニメなど架空性の高いメディアでも紹介されてきたが、現実である。もはや良心を語る意味はない。
◆推し文献:たとえば殺人を罪の意識なく実行できる人の存在を「実感できた」のは、辻原登『冬の旅』(集英社、2013年)を通じてである。

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