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今徒然草 その三 「007 ノータイムトゥダイ」への偏見的考察(ネタバレあり)

 映画にはまったのは、随分前。一時期映画館のスケジュール表を見ながら殆どの作品を網羅したこともあった。
その中で007シリーズは私の「必ず観る作品」リストの一番になるもの。昔の作品もレンタルやTVで観た。(但し記憶力が悪いのでちゃんと覚えてはいないが)
初代ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーはセクシーさとワイルドさを併せ持っているが、一番好きなのはロジャー・ムーアだ。ソフトなセクシーさと、スタイルの良さ、それに何と言っても顔が好き。だからダニエル・クレイグが出てきた時はかなり違和感があった。金髪碧眼、これまでのボンドに比べ身長低め。でも回を追うごとにいつの間にか彼以外のボンドのイメージがわかなくなってしまった。もうお別れなんて寂しいかぎり(涙)

 そしてダニエルボンドの最期の作品「ノータイム トゥ ダイ」。監督が日系人で、映画には日本的要素が随所にちりばめられている。日系人だから単純に日本の畳・能面・土下座・・を取り入れているとは考え難い。ここで、映画批評を人生初めてお披露目する「ただの映画好き女」が色々深読みしてみた。

①タイトル  

「No time to die」直訳すると「死んでる時間は無い」。つまり、死なないってこと。ダニエルボンドは離島にある悪役ラミ・マレックの本拠地で、ラミを倒した後イギリス軍のミサイルが島を破壊する前に脱出する予定だったが、アクシデントで脱出が叶わず、最期に崖の上で観念したように微笑んで終わる。いや、これ絶対死んでいないでしょ?ダニエルの次回作があるなら、さしづめ次のカットでは南米リゾート地あたりの海で恋人のレア・セドゥとヨットでバカンスを楽しんでいて、その次のカットで脱出の種明かしをするところだ。(あ、ラミに仕込まれた毒でレアに触れることが出来ないんだった・・やはり愛する人に触れられないから死を選んだのか?)ダニエルの次回作が無いから「えっ、死んだの?!」と思わせているだけ。そこのところ曖昧にして次のボンド俳優が007を拝命しシリーズは続くのだ。次のボンドは誰になるのか楽しみだ。

②突っ込みどころ その1 能面

日本的要素をいくつか取り入れているものの、結構突っ込みどころ満載だ。
まず、能面。ラミ・マレックはレア・セドゥが少女の頃、能面をつけてレアと母親を殺しにくるが、何故能面?悪役ラミは全く日本と関わり無いようなので、他の仮面でも良さそうなものだ。まあ、後に悪の本拠地が和風に作られているので単に日本的なものを好んでいるだけなのかもしれないが、何かエピソードが欲しかった。
 本来能面はあまり目鼻の動きが無い分、日本の能楽ではどの様な場面・どの様な角度から見ても色々な表情に取れるのが特徴だ。しかし映画に出てくる能面(レプリカだけど)は少し違和感がある。目の開きはまあこんなものだが二重の細い瞼、口がやけに赤くて開き具合がセクシー。これは日本の能面ではなく日系人の仮面だ。日本のちゃんとした職人が作った物ではなさそうだが、あまりお金をかけられなかったのか?

③突っ込みどころ その2 土下座

ボンドがラミの本拠地に乗り込んだ時、畳敷きの和室に通された。ラミが作務衣を着て正座してお迎え。ボンドはラミに土下座するが、頭を畳につけながらスキをみて銃口を手にし発砲する。
この場面、日本人の私はちょっとムッとした。悪人とは言え向こうはちゃんと正座して対峙している。ボンドが土下座するのは驚きだが、「土下座」は日本人にとってかなり屈辱の姿勢だ。屈辱の姿勢で相手を油断させ、その隙をついて攻撃するのはどうなのか?「日本人って、礼儀正しく丁寧だが実は卑怯なんだぞ」と言われているみたいだった。因みに本物のサムライはきっとこんな卑怯なことはせずに正面から斬り込んで行って玉砕するだろう。日本の文化を取り入れるのは良いが、土下座は止めて欲しかった。

④突っ込みどころ その3 悪の本拠地

ラミの本拠地は日本近海の孤島で、日米露が覇権を争っている、とされている。えっ、どこどこ?と目を凝らしたが、チラッとぼんやり出たきりで、一瞬だが日本列島の南、尖閣っぽい位置の様な感じがした。尖閣だとリアルは日中台が争う感じだが、あの位置でロシアって・・リアルを入れると色々問題があるからなのかも知れないが、日本近海で米と露の組み合わせはちょっと無理がある。更に英国がミサイルを打ち込むなんて、後々の国際紛争を心配してしまった。悪役ラミが日本びいき(?)だから日本近海に設定したのかも知れないが、ここは太平洋のどこか架空の位置でも良いと思った。

⑤悪役ラミ・マレックの日本びいきについて

悪役ラミが何故日本的なものを好んでいるのか?それはズバリ、ラミの出世作「ボヘミアン・ラプソディー」のフレディ・マーキュリーが大の日本好きだったからだ。ラミと言えばフレディ、という印象がついてまわる。監督が日系人と言うのもあるが、フレディラミを逆手に取った映画のマーケティングじゃないかと深読みしてしまった。

以上、長々と拙い評論を読んでいただき、ありがとうございました。これに懲りず今後も印象に残った映画を批評していきますので、よろしくお願いします。

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