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【らんまん】エングラー博士と牧野富太郎

朝の「らんまん」が悲しすぎて、昨日の金曜日は一日中、何となく頭が働きませんでした…。でも、園ちゃんの子役さんは本当に可愛かった。。

今週はストーリー展開が衝撃的過ぎて、色々と気になった細かなことを書ききれなかったので、備忘のために別記事で書いておくことにしました。
(TOPのポピットさんの画像お借りしました)



ムジナモ発見とエングラー

まだ万太郎がロシア行きを画策していた第88話で、マキシモヴィッチ博士から届いた手紙に、「ドイツのエングラー博士が編集した書籍に、万太郎が発表したムジナモのことが掲載された」といった旨が記されていました。

調べてみると、牧野富太郎の『ムジナモ発見物語り』という文章に、このことが出てくるようです。

…ドイツで発刊された世界的の植物分類書エングラー監修のかの有名な「ダス・プランツェンライヒ」にはその開いた花の図を、上の私の写生図から転載して、私の名と共にこの檜舞台に登場させてあつた。

牧野富太郎『ムジナモ発見物語り』

また、大正2年(1913年)、牧野博士51歳の時にエングラーが来日した際には、一緒に日光で採集を行ったとの記録もあります。

新エングラー体系

植物の分類を調べることがある方は、エングラーという名前をご存じかと思います。
アドルフ・エングラーはドイツの植物学者で、植物の分類体系であるエングラー体系を提唱し、それをもとにハンス・メルヒオールによって新エングラー体系が提唱されました。

その後クロンキスト体系(1988年発表)→APG体系(1998年発表)といった新しい分類体系が発表され、現在ではAPG体系が主流となっていますが、新エングラー体系は平凡社『日本の野生植物』などに採用されていたことから、これをもとに作成された図鑑などで、新エングラー体系に親しんだ人が多いのではないかと思います。

植物分類の変遷(元ユリ科が解体…?)

私は分類の専門家でもなんでもないので、ざっくりした理解で申し訳ないのですが、新エングラーやクロンキストでは主に花の形態によって、APGでは遺伝子解析によって、植物を分類しているという違いがあり、そのため新エングラー分類は、感覚的に「近い仲間」という理解がしやすいような気がします。

たとえば、新エングラー体系(とクロンキスト体系)では、以下のニラ、ノカンゾウ、ホソバオオアマナはすべてユリ科に分類されています。

ニラ
ノカンゾウ
ホソバオオアマナ(ボケボケですみません)

外花被(がくに当たる部分)と内花被(花弁に当たる部分)がそれぞれ3枚の計6枚で花弁のように見える点など、ユリとの共通点がありますよね。

しかしAPG分類では、ニラはヒガンバナ科、ノカンゾウはワスレグサ科、ホソバオオアマナはクサスギカズラ科(キジカクシ科)に…
ヒガンバナ科はまだ何となく理解できるような気がしますが、ワスレグサって?? クサスギカズラ?? と、最初はかなり戸惑いました。
(補足:ワスレグサは、ノカンゾウを含むカンゾウの仲間の別名でした)

ゴマノハグサ科も解体?

「ゴマノハグサ科」だった植物の多くも、ほかの科に移りました。

例えば下のツタバウンランは、新エングラーとクロンキストではゴマノハグサ科でしたが、APGではオオバコ科にお引越し。オオバコと似てないなぁ… なんでかな… と思いましたが、きっと遺伝子的には何か近いのかな??
ゴマノハグサ科には好きな植物が多かったので、何となくしっくりきませんでした。

ツタバウンラン

でも遺伝子の観点から、植物の進化に関する研究が進むのは、とても良いことですよね。進化の過程が解明されれば、植物の保護にもつながるかもしれませんしね。

ちょっと話が脱線しましたが…

エングラー博士の話からちょっと脱線しましたが、牧野富太郎が生きていた時代は、現在につながる植物の分類や進化に関する研究が、どんどん発展していった時期だったのだな…と、ドラマを見ていて実感しました。
もちろんムジナモをはじめとする牧野博士の数々の発見も、植物分類に関する研究の発展に大きく貢献したのだということを改めて感じ、感動を覚えました。

今週は辛い展開が続いた「らんまん」でしたが、これからいよいよ万太郎が、世界に向けて飛躍していく時期に入っていくと思いますので、来週以降も楽しみに視聴したいと思います♪

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