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学習者の「振り返り」は指導者にとっても大切なもの【Aflevering.91】

 私の日本語教室では、「少人数展開」かつ「個に応じたカリキュラム」による授業を行なっています。特に、個々に応じたカリキュラムについては、ある程度の方向性は決まっているものの、完成することはなく、常に学習者が目標を達成するために何が必要なのかを考えながら変化させます。
 しかし、「学習の質」は高く保ち続けなければなりません。そのために、私はある一定の区切りの期間で学習者と一緒に行う「振り返り」によって、自分が設定したカリキュラムの振り返りも同時に行うようにしています。

授業の中でこれまでの振り返り

 今日は、先日「1年生の学習」を無事終えた9歳の子(Aさん)の授業でした。今回の授業では、「2年生の学習」に入るための準備をしました。2年生で習う「漢字の一覧表」を渡して一緒に眺めてみたり、これまでに読んできた教科書やたくさん書き込んだノートを見返しながら、1年生の学習について振り返りました。

 まずは、「1年生の学習どうだった?」と私が尋ねると、Aさんは「とても楽しかった!」と答えてくれました。
 そして、私は「どんな時に楽しいって感じたかな?」とさらに尋ねました。
 すると、「お話が上手に読めるようになったり、漢字が読めるようになった時!」と答えてくれました。

 「よし、じゃあノートに1年生の勉強が終わった今の気持ちをノートに書いておこうか!」と伝えました。
 Aさんは、自分がこれまでにできるようになったことや、学習をしてきて感じたことをノートに書き始めました。

子どもが集中している時は講師はただ静かに見守る

 これまでの学習について振り返っている間、ふと上を見上げては「ハッ」とした顔になり、何か思いついたことを一生懸命に書いています。
 Aさんの頭の中は、思い出したり考えることに集中しているので、私はずっと待ちます。
 この時に私は、子どもたちが思う存分振り返りができるように、予め「書きたいと思ったことが全部書けたら教えてね。時間は焦らなくて良いから、とにかく思い浮かんだことは、文章が合っているか間違っているかは気にせず言葉にしてみてね。」と声をかけ、その後は邪魔にならないようにしています。

 するとAさんはこんなことを書いてくれました。

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 【4】に関して、Aさんは、日本ではひらがなとカタカナと漢字の3種類の文字があることが面白いと感じている子なので、それが学べて嬉しいという意味で書いています。
 振り返りの文章全体を見ると、一部誤字が見られます。自分で声に出して読んだ時に気づいたものは修正してもらっていますが、ここの活動において子どもが自分の気持ちをたくさん文字に表現することに充実感を感じることが目的なので、細かい指摘はあえてしていません。

学習者がどこに喜びを感じているのか

 Aさんの振り返りを簡単にまとめると、日常生活の中でこれまでに分からなかった漢字が読めるようになったり、日本語が以前よりもすらすらと読んだり話したりできるようになったことで、自分が成長を感じられることが喜びとなってもっと学びたくなるということが示されていると思います。

子ども一人ひとりが自信を持てるように応援する


 Aさんがここまでそれを実感し、文章として表現できたことはとても素晴らしいことだと感じます。
 これを声に出して読んでもらった後、私からもAさんがこれまでに頑張っていたことや、できるようになったことを伝えると嬉しそうな表情をしていました。
 初めは学年が遅れていることを気にしていたAさんでしたが、次第に今の目の前にある勉強から得られた成長の喜びを感じることができるようになったAさんは、これからもっと自信を付けていってくれると思います。

 そして私としては、これからも学習サポーターとして、Aさんの日本語へのモチベーションを保ち続けられるように、カリキュラムの構成を熟考して2年生の学習も一緒に頑張っていきたいです。

 子どもたちが何かに一生懸命になり、自らの成長を喜び、自分に自信を持つお手伝いができるような学習サポーターになりたいと思います。

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