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定期的な振り返りで、学習者の心の成長も分かる【Aflevering.54】

 私の日本語教室の授業では、学習計画や方針、その振り返りを大切にしています。
 日本語の屋外アクティビティ「あおぞら教室」に参加した生徒は、その振り返りを必ず行います。また、同時に「日本語学習サポートについての振り返り」も行っています。

 日本語学習に関して、私が子どもたちに立てた問いは、
「なぜ日本語の勉強をするのか」
「日本語の勉強をしてどうなりたいのか」
「そのために、授業でどんな勉強をしたらよいのか」

 私がそれぞれの生徒のノートに「問い」を書き、そこに生徒たちの考えを書いてもらいます。
 今の自分とこれからの自分を想像してもらって、授業は一体何のためにするものなのかということを考えてもらいます。

 最初は「分からない」でも構わないのですが、振り返りの習慣づけと、授業が与えられるだけのものではないという意識づけをしておきたいと思っています。

とある生徒の変化

 小学校高学年ぐらいになると、一度始めた学習方法を修正するための相談や提案なども出てきます。
 先日の授業で、生徒からこんな提案がありました。この生徒は、漢字と算数は年齢相応のレベル、読解や作文などは学年を少し下げて勉強しています。
 「ここまでは年齢に合わせた学年のレベルの漢字と算数を進めてきた。算数は今のところできているし、今行ってる学校の予習にもなるからこのままで良いと思ってる。でも、漢字は難しいのが多いからちょっと苦しくなってきた。大人になって仕事で使えるようになっておきたい。一から読み書きをやり直したいけど、先生どう思う?国語の勉強自体はこのままで良いと思ってるよ。」
 このような感じのことを伝えてくれました。私としては、そこまで自分の状態を客観視して勉強の方針を立てられたことがとても嬉しく感じました。
 この生徒は、元々はそんなに勉強は好きではないタイプの子でした。しかし、今は何のために日本語を学習しているのかを自分なりに把握できているのだと思います。正直、私としても漢字を一からやり直すという提案を自らしてくるとは思いもしませんでした。
 しかし、これはとても大きな進歩です。私が提案したのではなく、生徒自身が自ら道を選択したのです。
 自ら選択した学習は、与えられた学習の何倍も集中力・定着率が高くなります。この生徒に関して、これからはその方針に合わせて勉強のカリキュラムを作り、サポートしていきたいと思います。

ノートを使って「学習の方針」「授業で積み重ねてきたこと」を振り返られるようにしておく

 振り返りや話し合ったことをノートに記録するようにしています。また、日本語の学習したこともほとんどすべてをノートに書いています。
 そうすることで、子どもたちが初心を忘れることなく、今の学習は何のためにやっているのかを再確認することができ、さらにこれまでに積み重ねてきた学習が目に見える形で残っていることが日本語学習への自信となってほしいと思っています。

 授業1回ずつで取り組める量は限られているので、日々の積み重ねの大切さを子どもたちに伝えられたらと思います。

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